
AIの時代だからこそ、心の経営。エンジニア150名を率いる36歳経営者の信念|株式会社ギグー 上田 剛史
「仲間に感謝を持ち、明るく、自分が一番行動し続ける」——。
株式会社ギグーの上田剛史代表取締役が、経営で最も大切にしていることです。37歳でエンジニア約150名を率いる若き経営者は、数字を徹底的に分析しながら、同時に「心の経営」を実践しています。IT業界でエンジニアを採用するには通常200万円かかるところを、わずか18万円で実現。それでいて、社員たちは「楽しい」と言いながら働いています。AIの時代だからこそ人の心が大切——。上田氏の経営から、これからのリーダーシップのヒントが見えてきます。
目次
- 1 飲食からIT、そしてM&Aへ。異業種を渡り歩いた理由
- 2 採用単価200万円→18万円。業界の常識を覆した「データドリブン採用」
- 3 「やると決めたら浮気しない」。100個のタスクを完遂する実行力の秘密
- 4 【核心】AIの時代だからこそ、「心の経営」を。Panasonic出身の経営者から学んだこと
- 5 情報収集を徹底し、即断する。若手経営者の意思決定スタイル
- 6 エンジニアの仕事はAIに奪われる? 10年後を見据えた事業変革
- 7 10年後、世界に影響を与える会社へ。シンプルな哲学が生む、大きな未来
- 8 コントリからのメッセージ
- 9 プロフィール
- 10 ギャラリー
- 11 会社概要
- 12 御社の想いも、このように語りませんか?
飲食からIT、そしてM&Aへ。異業種を渡り歩いた理由
上田氏は、飲食業界で10年間働いた後、全くの未経験からIT業界へ転身。
そして2021年に業務委託で入った会社を、わずか2年後に買収し、代表取締役に就任しました。
飲食からITへ。きっかけは「これからはITの時代だ」という直感でした。
「最初はアメブロを書くことがエンジニアだと思っていたぐらい、全然何もわからなかったです」と、上田氏は当時を振り返ります。
本屋で技術書を手に取り、Progateで基礎を学びながら、独学で知識を深めていきました。
学んだことはすぐに形にし、ECサイトの制作や、飲食店の週間清掃を管理するLINEアプリの開発など、実践を重ねていきます。
そうした取り組みを続ける中で、フリーランス登録サイト「ランサーズ」を通じて、株式会社ギグーの前代表・橘川氏と出会いました。
その後、フリーランスとして業務委託で参画することになります。
上田氏は一度、別のIT企業で正社員としてのキャリアを歩み始めます。
しかし半年後、再び橘川氏から声がかかりました。
きっかけは、上田氏がXに投稿していた仕事の実績でした。
その発信を、橘川氏が目にしていたのです。
「SES事業を立ち上げたい。戻ってきてほしい」
そう声をかけられ、上田氏は再び株式会社ギグーに入社し、
採用・営業・バックオフィスと、事業の中核を担う役割を任されることになります。
そのわずか2カ月後、副代表に就任。
事業の成長を牽引する立場として、会社経営の最前線に立つようになりました。
そんな中、ある言葉が上田氏の心に残ります。
「オーナー経営じゃないから、本当の意味で責任を持っているとは言えないよね」
副代表として会社の中核を担っていたからこそ、その言葉は重く響きました。
「自分で株を持ち、決裁権を持ったうえで、覚悟を決めてやりたい」
独立の意志を伝えた際、橘川氏から持ちかけられたのが、 「会社を買ってくれないか」という、会社の買収という選択でした。
その提案に、上田氏は即答で「やります」と答えます。
そして副代表就任から2年後、会社を買収し、代表取締役に就任。
「まだまだ、この会社は大きくできる」
そう語る上田氏の言葉どおり、買収後、社員数は100名以上増加しています。
採用単価200万円→18万円。業界の常識を覆した「データドリブン採用」
IT業界でエンジニアを1人採用するには、通常200万円かかります。
ところがギグーは、わずか18万円で採用を実現しています。
「とにかく、数字で【見える化】することを心がけてきました」と、上田氏は語ります。
「感覚に頼りがちな採用を、データで分析する。それが成功の鍵だと思っています」
この成果の裏には、採用業界の【常識】を疑う姿勢がありました。
採用のプロからは、こんな助言を受けることもあったといいます。
「求人原稿は、あまり書きすぎない方がいい。スクロールが大変ですから」
しかし、上田氏の考えは違いました。
「自分が本気で転職を考えている立場だったら、会社の情報はきちんと知りたいと思うんですよ」
少し考えてから、上田氏は続けます。
「刺さるワードがひとつでもあって、『この会社、どんなところなんだろう』と気になったら、もっと情報を見たくなる。わざわざホームページを見に行くのも手間ですし、だったら最初から全部載せてしまおう、と」
その結果、ギグーの求人原稿やスカウトメールは、あえて情報量の多さを選びました。
業界の常識を鵜呑みにせず、求職者の視点で考え、数字で検証する。
「数字が下がったら『なぜ下がったのか』、上がったら『なぜ上がったのか』を徹底的に考える。できることを全部書き出して、『採用するための100個の小さなこと』を洗い出しました」
「それを、すべて実行したんですか?」
そう問いかけると、上田氏は即答します。
「全部やりました。出したらもうやることは決まっている。あとはやるだけです」

「やると決めたら浮気しない」。100個のタスクを完遂する実行力の秘密
上田氏の強みは、決めたことを徹底的にやり切る実行力です。
「とにかく行動を大切にしています。自分の理想に届いていない場合は、行動量を増やす。これが大事だと思っています」
その実行力を支えているのが、「書き出す」習慣です。
「できることを細かく書き出すのが得意なんです」
やるべきことを小さなステップに分解する。上田氏はこの作業が得意だといいます。
「遠くを見すぎると、結局何も進んでいなかったりする。だから書き出してみるんです」
最初は1個か2個しか出てこなくても、それをまずやる。そしてまた書き出す。これを繰り返すと、着実に前進していることが実感できるといいます。
そして、最も重要なのが「浮気しない」こと。
上田氏は強調します。
「多くの人ができないのは、浮気するからだと思います」
やろうと決めたことをやっている最中に、別のやらなきゃいけないことが出てくる。そっちに手を出してしまう。そうすると最初のタスクがずっと残り続けて、嫌になってしまう。
「マルチタスクが苦手な人も同じですよね」
目を輝かせながら、上田氏は続けます。
「でも僕は、着手したものは必ずやり切ります。1個ずつやって、ちゃんと完遂する」
その姿勢は、行動にも表れています。
前日には渋谷で開催されたAIイベントでピッチに登壇。さらにシリコンバレーでは、英語が十分に話せない中でも、英語でのピッチに挑戦しました。
「初めて参加する交流会や、初対面の人が集まる場には、できるだけ足を運ぶようにしています。情報は、やっぱり命だと思うので」
【核心】AIの時代だからこそ、「心の経営」を。Panasonic出身の経営者から学んだこと
上田氏が経営において最も大切にしているのが、「心の経営」です。
この信念の原点には、ある女性経営者との出会いがありました。
その方は、とある証券会社からPanasonicへ転職し、その後、起業の道を選んだ人物です。
上田氏は、静かに語り始めます。
「その方は、證券会社時代、本当にハードな環境で働かれていて、かなりつらい経験をされたそうです」
表情を少し曇らせながら、こう続けました。
「それを心配したご家族が、Panasonicを勧めてくれたそうなんです。そこで出会った上司や周囲の人たちが、まったく違ったと」
Panasonicでの経験は、その女性経営者の価値観を大きく変えました。
「一緒に食事に行っても、上司が部下に気を配ってくれる。『俺は家族がいるから、今日は1,000円だけでいいよ』と、奢る・奢られるではなく、対等な関係で接してくれたそうです。悩みがあれば、真正面から話を聞き、言葉を尽くしてアドバイスしてくれた。その言葉が、今も心に残っていると聞きました」
上田氏の声に、次第に熱がこもります。
「Panasonicって、本当に平等なんですよね。上に立つ人ほど、心を大切にしている。その姿勢が忘れられなくて、その方自身も【心に寄り添う経営】を実践されているんです」
そして、目を輝かせながら、こう締めくくります。
「自分も、そういう経営者になりたいと強く思いました。だから最近は、社員にもよく伝えています。――心の経営を大事にしていこう、と」
具体的にどんなことをしているのでしょうか。
社員のアイデアを500円で買い取る取り組みや、イベント参加を強制せず社員に寄り添った運営などを行っています。
「仲間に感謝を持ち、明るく、自分が一番行動し続けること。これが経営者としての軸です」
上田氏は力強く語ります。
「もちろん売上を作っていくことも大事です。でも、それよりも心が大事だと思っています」
上田氏は穏やかに続けます。
「怒鳴ったりはしないですし。みんなハードワーカーなんですけど、『楽しい』って言いながらやってくれている。それが本当にありがたいです」
AIが仕事を奪う時代だからこそ、人の心が最も重要になる。
上田氏は確信を持って語ります。
「これからはやっぱり絶対そこだと思います。逆にまた原点回帰するんじゃないかなと」

情報収集を徹底し、即断する。若手経営者の意思決定スタイル
会社の買収という大きな決断を、上田氏は迷わず即決しました。
その背景には、独自の意思決定スタイルがあります。
「不安なときももちろんあります。そういうときは、情報収集をしっかりするんです」
上田氏の判断プロセスはシンプルです。
少しでも迷ったら、情報を集める。判断材料が揃ったら、即座に決める。
「決める・決めないでの迷いは、あまりないかもしれないです」
時間がないときはどうするのでしょうか。
「即断しなきゃいけないときは、もう決断します。そこに対しての緊張とかは全くないです」
上田氏の情報への貪欲さも印象的です。
「情報は命だと思います」
仕事で忙しくても、初めて会う人がいる交流会には積極的に参加する。渋谷でのAIイベントでピッチを行い、シリコンバレーでは英語が話せないながら英語でピッチに立つ。
「そういう挑戦を大切にしています」
エンジニアの仕事はAIに奪われる? 10年後を見据えた事業変革
ギグーは現在、エンジニア派遣を中心に、システム開発やAI・DXのコンサルティングなど、幅広い事業を展開しています。
しかし、上田氏は既に次の展開を見据えています。
「AIエージェントが、エンジニアの仕事を取っていくんです」
上田氏は率直に語ります。開発期間がどんどん短くなれば、エンジニア派遣のビジネスは変化を迫られる。
「そうなったときに、ちゃんと対応できるように準備しています」
上田氏が目指すのは、「AI導入の伴走型支援」です。
どういうことでしょうか。
「システムを納品すると同時に、お客様の会社にもAIエンジニアを育てるんです」
これまで多くの企業は、システム開発を外注してきました。
ギグーは、それを自社で完結させるだけでなく、顧客企業の社員も育成します。
「納品して終わりじゃない。運用も保守も、お客様が自分たちでできるように支援する。これを一気通貫でやります」
既に、動物病院、不動産会社、IT企業など、様々な業界でコンサルティングを行っています。採用支援も手がけ、シリコンバレー発のAIエージェントについては、アジアでの独占販売権を獲得しました。
さらに、製造業の買収も視野に入れています。
「自社プロダクトも作っていきたい。そのために、企業買収やジョイントベンチャーも考えています」
会社概要の表記にも、上田氏らしいアイデアがあります。
「社員数200名+AIエージェント○体、みたいな書き方をしたいんです」
目を輝かせながら語る上田氏。AIと人が共存する、新しい会社の形が見えてきます。

10年後、世界に影響を与える会社へ。シンプルな哲学が生む、大きな未来
ギグーのビジョンは、「10年後に世界に影響を与える会社」。
この大きな目標は、上田氏が代表になって1年かけて設定したものです。
前任の代表は、ミッション・ビジョンに懐疑的だったといいます。「心から言えてない言葉を掲げるのが嫌だ」と。
しかし上田氏は、調べていくうちに確信しました。ビジョンとは、何年後かにどうなっていたいかを描くもの。ならば、エンジニアが誇りを持てる会社にしたい。
なぜ「世界」なのか。
上田氏は穏やかな表情で説明します。
「エンジニアには、自分たちの技術に誇りを持ち続けてほしい。新しい挑戦をちゃんと続けていく。その先には、みんなが胸を張れるような企業になる必要がある」
力強い口調で、上田氏は続けます。
「世界に影響を与えられる会社だったら、誰も文句言わないですよね」
具体的には、GAFAのように市場で圧倒的な存在感を持つ企業を目指しています。
ビジョンを掲げたことで、実際に変化が生まれました。
「世界って言い始めたときに、世界に行くきっかけができたんです。そういう繋がりもできました」
ミッションには「ワクワク」という言葉も入れています。
「ワクワクという言葉を入れたことで、新しい取り組みのアイデアが生まれやすくなりました。まずは自分自身が、ワクワクすることに挑戦しています」
上田氏の哲学は、驚くほどシンプルです。
「物事を難しく考えすぎていることが多いと思うんです」
そう語る表情は、穏やかです。
「やるべきことを書き出して、決めたことをやり切る。それだけです」
これからの展望を聞くと、上田氏は目を輝かせて答えました。
「ソフトウェアからハードウェアまで、幅広く対応できる会社にしたい。そして、AI導入をお客様と一緒に進めていく。自社プロダクトの開発にも挑戦していきたいですね」
そして、最後にこう締めくくりました。
「メンバー全員がワクワクしながら、会社を大きくしていく。そんな未来を、本気で思い描いています。」
コントリからのメッセージ

上田氏の経営哲学は、一見矛盾するように見える二つの要素が見事に融合しています。一つは、採用単価18万円という成果が示す徹底的なデータドリブン経営。もう一つは、パナソニックの上司から学んだ「心の経営」という人間性重視の姿勢です。
しかし、上田氏と話していると、この二つは決して矛盾しないことがわかります。むしろ、データで見える化するからこそ、感覚ではなく本質的に人を大切にできる。数字を追うからこそ、心に余裕が生まれ、仲間に感謝できる。AIが進化する時代だからこそ、人の心が最も重要になる——。
「やると決めたら浮気しない」「できることを書き出して全部やる」「情報収集を徹底して即断する」。上田氏の成功の秘訣は、驚くほどシンプルです。しかし、そのシンプルな哲学を徹底的に実行し続けることこそが、37歳でエンジニア150名を率い、10年後に世界に影響を与える会社を目指す原動力となっています。
AIの時代だからこそ、心の経営。上田氏の挑戦は、多くの経営者にとって、明日から実践できる具体的なヒントに溢れています。
プロフィール

株式会社ギグー
代表取締役
上田 剛史(うえだ・つよし)
飲食業界で約10年間、店長職や新規事業のブランディング、社員教育などを経験した後、2022年にIT業界へ転身。フリーランスとして活動を開始し、株式会社ギグーにプロジェクトマネージャーとして参画。入社から2ヶ月で副代表に就任し、採用・営業・バックオフィスを統括。2024年6月、創業者から株式の3分の2以上を譲り受け、代表取締役に就任。現在、エンジニア約150名を率い、「挑戦と技術で世界を前進させる」をミッションに掲げ、AI導入支援や業務DXコンサルティングなど幅広い事業を展開している。
ギャラリー





















会社概要
| 設立 | 2021年6月 |
| 資本金 | 3,000万円 |
| 所在地 | 神奈川県藤沢市藤沢991-19 落合ビル203 |
| 従業員数 | 150人 |
| 事業内容 | ◆ Technology Solution(技術支援) エンジニア・デザイナーによる開発・運用・技術サポート ◆ DX Solution(業務改善・受託開発) RPA・クラウド・自動化を通じたDX推進支援 ◆ AI Solution(AI導入・教育) 生成AI/LLMを活用した実装支援・AI研修・PoC支援 ◆ Consulting & Strategy(戦略・実装コンサルティング) DX・AI戦略立案、SaaSローカライズ、企業変革支援 |
| HP | https://www.gigooo.com/ |
御社の想いも、
このように語りませんか?
経営に対する熱い想いがある
この事業で成し遂げたいことがある
自分の経営哲学を言葉にしたい
そんな経営者の方を、コントリは探しています。
インタビュー・記事制作・公開、すべて無料。
条件は「熱い想い」があることだけです。
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