
Z世代採用を成功させる3つの視点|デジタルネイティブ世代が求める企業像とは
「最近の若者は何を考えているのだろう」そんな想いを抱いたことはありませんか。採用活動がうまくいかない、せっかく採用しても早期離職してしまう。そんな悩みを抱える経営者の方も少なくないでしょう。
実は、2025年以降の採用市場の主役となるZ世代は、これまでの世代とは大きく異なる価値観を持っています。彼らの心を掴む採用戦略を、データとともに紐解いていきましょう。
目次
Z世代とは何か|デジタルネイティブ世代の特徴を知る
1997年から2012年生まれの新しい価値観
Z世代とは、1997年から2012年頃に生まれた世代を指します。2025年時点で13歳から28歳にあたり、新卒採用の中心層となっている世代といえるでしょう。
この世代は生まれた時からインターネットやスマートフォンが身近にあり、「デジタルネイティブ」として育ってきました。情報収集の方法、コミュニケーションの取り方、そして働き方に対する考え方まで、従来の世代とは根本的に異なる特徴を持っています。
SNSを使いこなす情報収集のプロ
Z世代にとってSNSは、単なる交流ツールではありません。企業選びの重要な情報源として活用されているのです。
就職活動においても、企業の公式サイトだけでなく、InstagramやTikTokで現場社員の生の声を探します。口コミサイトで企業の評判を徹底的にリサーチし、本当の職場環境を見極めようとする姿勢が特徴的といえるでしょう。
表面的な採用情報では響かない。そんなZ世代の特性を理解することが、採用成功の第一歩となります。
SDGsと社会貢献|Z世代が企業に求める社会的意義
約6割が社会課題解決に高い関心
SHIBUYA109 lab.の調査によると、Z世代の約6割が「社会課題解決に関心がある」と回答しています。さらに注目すべきは、約7割のZ世代がSDGsに取り組む企業に対してポジティブな印象を持っているという事実。
これは単なる建前ではありません。Z世代の約4割が、実際にSDGsに取り組む企業の商品やサービスを購入した経験を持っているのです。
ジェンダー平等と働きがいを重視
Z世代が特に関心を寄せるSDGs課題は明確です。「ジェンダー平等を実現しよう」が42.8%でトップとなり、「貧困をなくそう」が41.3%、「働きがいも経済成長も」が39.5%と続きます。
多様性を尊重し、誰もが働きやすい環境を整備しているか。そうした企業姿勢が、Z世代採用の成否を分ける重要な要素となっているといえるでしょう。
表面的な取り組みは見抜かれる
ただし、注意すべき点があります。Z世代は情報リテラシーが高く、企業の「見せかけ」の取り組みを敏感に察知する力を持っているということ。
本気で社会課題に向き合っているか、それとも採用のためのアピールに過ぎないのか。日々の事業活動を通じて、本質的な社会貢献を実践している企業かどうかが問われています。
ワークライフバランス|給与より大切にする価値観
「誰と働くか」が最優先事項
リクルートマネジメントソリューションズの2023年調査で興味深い結果が出ています。Z世代の内定受諾の決め手として、「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が1位となり、従来上位だった「社員や社風が魅力的」「給与など制度や待遇が魅力的」を上回りました。
従来の世代では重視されてきた給与や企業規模。しかしZ世代にとっては、それ以上に「どんな仕事に携わるか」「誰と働くか」「どのような環境で働くか」が重要な判断基準となっているのです。
プライベート時間の確保が最重要
SHIBUYA109エンタテイメントの調査では、Z世代の53.3%が理想の職場として「プライベートの時間も確保できている・残業が少ない」を挙げました。
仕事とプライベートのバランスが取れる環境。有給休暇を取得しやすい風土。フレックスタイムやリモートワークなどの柔軟な働き方。こうした制度が整っているかどうかが、企業選びの大きな要素となっています。
自分の人生を大切にしながら働きたい。そんなZ世代の想いに、経営者としてどう応えていくかが問われているのではないでしょうか。
次のデータは、Z世代の価値観を理解する上で重要な指標となります。
採用戦略の実践|明日からできる3つのアクション
SNSでリアルな情報を継続発信
Z世代採用の最も効果的な手法は、SNSを活用した情報発信です。InstagramやTikTokなど、Z世代が日常的に利用するプラットフォームで、企業の日常を発信していきましょう。
重要なのは「作り込んだ完璧な情報」ではなく、「現場のリアルな姿」。社員インタビューや職場の雰囲気、社会貢献活動の様子など、飾らない日常を伝えることが効果的といえます。
週1回程度の定期的な発信を続けることで、企業の透明性と信頼性を高めていくことができるでしょう。
社会的価値を明確に言語化する
自社の事業が社会にどのような価値を提供しているのか。改めて整理し、言語化することが大切です。
「誰の何を解決しているのか」「地域にどう貢献しているのか」。そうした社会的意義を明確にすることで、Z世代の共感を得られる可能性が高まります。
中小企業だからこそできる、地域密着型の価値提供。そこに誇りを持ち、堂々と発信していく姿勢が求められています。
オンライン選考と柔軟な働き方の整備
デジタルツールに慣れたZ世代には、オンライン面接や選考の効率化が効果的です。物理的な移動や時間的制約を減らすことで、より多くの候補者にアプローチできるようになるでしょう。
また、入社後の働き方についても、リモートワークやフレックスタイムなど、柔軟な制度を検討していく価値があります。完璧な制度でなくても、試験的に始める姿勢を示すことが大切といえるのではないでしょうか。
よくある失敗と成功のポイント
採用サイトだけ整備して満足していませんか
よくある失敗パターンとして、採用サイトやパンフレットを作成しただけで満足してしまうケースがあります。
しかしZ世代は、企業が発信する公式情報だけでなく、SNSでの継続的な発信や社員の生の声を求めているということ。一度作って終わりではなく、日々の情報発信が重要な意味を持ちます。
「本音」の発信が信頼を生む
建前ではなく本音で語ること。これがZ世代の心を掴む最大のポイントです。
会社の良い面だけでなく、課題も含めて正直に伝える姿勢。完璧を装うのではなく、成長過程にある企業として誠実に向き合う態度。そうした透明性が、Z世代からの信頼獲得につながっていくでしょう。
予算とROI|無料から始められる採用改革
SNS運用は内製化で低コスト実現
SNSでの情報発信は、基本的に無料で始められます。若手社員に運用を任せることで、内製化も十分可能でしょう。
月1万円程度の広告予算があれば、ターゲット層へのリーチを拡大することもできます。大きな投資をしなくても、工夫次第で効果的な採用広報が実現できるのです。
採用単価の削減と定着率向上の両立
適切なZ世代採用戦略は、採用単価の削減にもつながります。自社の価値観に共感した人材が集まることで、入社後のミスマッチが減少。早期離職率の低下も期待できるでしょう。
厚生労働省の調査では、大卒者の3年以内離職率は約35%。この数字を改善できれば、採用コストと育成コストの両面で大きな効果が見込めます。
まとめ|Z世代との信頼関係構築が未来を拓く
Z世代採用の成功は、彼らの価値観を理解し、誠実に向き合うことから始まります。
SNSでのリアルな情報発信、社会的価値の明確化、柔軟な働き方の整備。この3つのポイントを押さえながら、段階的に取り組んでいくことが大切といえるでしょう。
まずは自社の社会的価値を再確認し、経営者の想いを言語化することから始めてみませんか。Z世代という新しい仲間を迎え入れることで、企業は新たな成長段階に進んでいけるはずです。
一人ひとりの想いが、企業の未来を、そして日本の未来を支えていく。そう信じて、今日から一歩を踏み出していただけたらと思います。
参考資料・相談窓口
Z世代採用に関する調査・データ
- Z世代のSDGsと消費に関する意識調査(SHIBUYA109 lab.)2022年9月
- Z世代の仕事に関する意識調査(SHIBUYA109 lab.)2023年2月
- 2023年新卒採用 大学生の就職活動調査(リクルートマネジメントソリューションズ)
- 新規学卒就職者の離職状況(厚生労働省)令和3年3月卒業者
- Z世代の就職活動に関する調査(マイナビ)
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