経営者が知っておきたいSNSの基礎知識〜各プラットフォームの特徴比較

「SNSってどれを使えばいいのだろう」朝、会社のパソコンを開きながら、そんな想いを抱いたことはありませんか。

大手企業がInstagramやXで華やかな発信をしているのを見て、「うちもやらなきゃ」と焦りを感じる経営者の方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ始めようとすると、数あるSNSの中からどれを選べばいいのか迷ってしまうもの。

SNSは今や、広告費を抑えながら認知度を高める貴重な手段となっています。中小企業こそ、このツールを味方につけることで、大手にはない温かみや人間味を伝えることができるでしょう。

この記事では、主要なSNSプラットフォームの特徴を整理し、それぞれがどんな経営課題の解決に役立つのかをご紹介します。あなたの会社に合った一歩を踏み出すヒントにしていただけたら幸いです。

なぜ今、経営者がSNSを知っておくべきなのか?

中小企業にこそSNSが必要な理由

日本のSNS利用者は、2024年末には8,452万人に達すると見込まれており、国民の約8割がSNSを日常的に使っています。つまり、あなたのお客様の多くが、SNS上で情報を探し、商品やサービスを選んでいるということ。

テレビや新聞に広告を出すには数十万円から数百万円という費用がかかります。一方、SNSは無料でアカウントを開設でき、投稿も無料。限られた予算で最大の効果を目指す中小企業にとって、これほど心強いツールはありません。

広告費ゼロでも届く想いがある

SNSの最大の魅力は、「拡散力」にあります。お客様が「いいね」やシェアをしてくれることで、その友人やフォロワーにも情報が届いていく。従来の広告では考えられなかった広がり方です。

また、お客様と直接コミュニケーションを取れるのもSNSならではの強み。コメントやメッセージを通じて、リアルな声を聞き、信頼関係を築いていけます。大手企業にはできない、一人ひとりに寄り添う姿勢こそ、中小企業の武器となるはずです。

主要SNSプラットフォームの特徴を知ろう

それぞれのSNSには独自の特性があり、得意とする分野も異なります。ここでは代表的な6つのプラットフォームをご紹介しましょう。

LINE:日本で最も使われているコミュニケーションツール

LINEの月間利用者数は、2024年12月時点で9,700万人。日本人口の約7割が利用している、まさに国民的SNSといえます。

10代から60代まで幅広い年齢層に浸透しているため、ターゲットを選ばずアプローチできるのが特徴です。特に、公式アカウントを作成すれば、お客様に直接メッセージを送ることができます。

キャンペーン情報やクーポンの配信、予約受付など、実店舗を持つ企業様には特に相性が良いでしょう。チャットボットを設置すれば、よくある質問への自動応答も可能になります。

Instagram:視覚で伝えるブランドの世界観

Instagramの国内月間利用者数は約6,600万人以上と推定されています(Meta社公式発表では2019年の3,300万人から倍以上に増加)。10代から30代の若年層、特に女性に人気があります。

写真や動画をメインとするSNSなので、商品の魅力を視覚的に伝えたい企業に最適。飲食店やアパレル、美容室、インテリアなど、「見た目」が購買意欲につながる業種では高い効果が期待できます。

ストーリーズ機能を使えば、24時間で消える気軽な投稿も可能。日常の風景やスタッフの様子など、親しみやすいコンテンツで距離を縮めることができるでしょう。

X(旧Twitter):リアルタイムで情報を届ける

国内月間利用者数は約6,700万人で、20代の利用率は78.1%と圧倒的です。

Xの強みは「リアルタイム性」と「拡散力」。140文字という短い文章で気軽に投稿でき、リポスト(リツイート)機能により一気に情報が広がる可能性があります。

キャンペーン告知や新商品の発表、イベント情報など、「今」を伝えたいときに威力を発揮するでしょう。また、お客様の声を直接聞ける場としても活用できます。

ただし、拡散力が高い分、炎上リスクにも注意が必要です。投稿前には必ず内容を複数人で確認する体制を整えましょう。

Facebook:信頼性の高い情報発信に

国内利用者数は約2,600万人(2019年時点の最終公式発表)で、30代から50代のビジネス層に支持されています。

実名登録が基本のため、信頼性の高い情報発信ができるのが特徴。BtoB企業や、経営者向けのサービスを提供している場合には相性が良いといえます。

企業ページでは、会社の基本情報や営業時間、写真アルバムなどを充実させることができます。また、Facebook広告は詳細なターゲティングが可能で、年齢や地域、興味関心に基づいた効果的な配信ができるでしょう。

YouTube:動画で伝える想いと技術

月間利用者数は7,370万人を超え、年齢を問わず幅広い層に視聴されています。

動画という形式は、テキストや写真では伝えきれない情報量を届けられます。製造業なら製品の製造工程を、サービス業ならスタッフの対応の様子を見せることで、安心感と信頼を築けるはず。

最近では「YouTubeショート」という60秒以内の短い動画も人気。スマートフォンで気軽に撮影・編集できるので、ハードルは以前より下がっています。

TikTok:若年層への訴求力抜群

月間利用者数は3,300万人以上(2024年11月時点)で、10代から20代前半の若者に圧倒的な人気があります。

短尺の縦型動画が特徴で、エンターテインメント性の高いコンテンツが好まれます。飲食店や小売店で、商品の面白い使い方や裏側を見せる動画が「バズる」ケースも。

ただし、TikTokは娯楽性が求められるため、硬い企業イメージの業種では工夫が必要かもしれません。若手スタッフに任せて、柔軟な発想で取り組むのも一つの方法でしょう。

どのSNSを選べばいいのか〜選び方の3つのポイント

ターゲット層はどこにいるのか

まず考えるべきは、「あなたのお客様がどのSNSを使っているか」という点です。

若い女性向けの商品ならInstagram、ビジネスパーソン向けのサービスならFacebookやLinkedIn、地域密着型ならLINEといった具合に、ターゲットに合わせて選択するのが基本となります。

実は、既存のお客様に直接聞いてみるのが一番確実。「どのSNSをよく使われていますか」というアンケートを取ってみるのもおすすめです。

発信したいコンテンツの形は何か

次に重要なのは、「何を伝えたいか」という視点。

美しい写真で魅せるならInstagram、製造工程や使い方を詳しく説明したいならYouTube、日々のちょっとした情報ならX、といった具合に、コンテンツの性質に合わせた選択が大切です。

無理に苦手な形式に挑戦する必要はありません。得意な表現方法から始めてみましょう。

運用できる体制が整っているか

SNSは「始めること」より「続けること」が難しいもの。週に1回も投稿できないアカウントは、かえって企業イメージを下げてしまう恐れがあります。

専任の担当者を置くのが理想ですが、難しい場合は複数人で分担する方法もあります。「月曜日は社長、水曜日は営業担当、金曜日は製造担当」といった具合に役割分担すれば、負担も軽減されるはず。

最初は1つのSNSから始めて、慣れてきたら広げていくという段階的なアプローチも賢明な選択といえるでしょう。

中小企業のSNS活用〜成功のヒント

完璧を求めず、人間味を大切に

大手企業のような洗練された投稿を目指す必要はありません。むしろ、中小企業の強みは「顔が見える」「温かみがある」という点にあります。

スタッフの笑顔、製造の様子、お客様との何気ないやりとり。そんな日常の一コマが、共感を呼び、ファンを増やしていきます。

プロのカメラマンや編集者に依頼しなくても、スマートフォンで撮った写真で十分。大切なのは、そこに込められた想いが伝わるかどうかです。

お客様との対話を楽しむ

SNSは一方的な情報発信の場ではありません。コメントやメッセージには、できるだけ丁寧に返信するよう心がけましょう。

「いつも美味しいパンをありがとうございます」というコメントに、「こちらこそ、いつもご来店いただきありがとうございます」と返すだけで、お客様との絆は深まっていきます。

時には厳しいご意見もあるかもしれません。しかし、真摯に向き合い改善につなげる姿勢を見せることで、かえって信頼を得られることもあるでしょう。

小さな成功を積み重ねる

最初から何万人ものフォロワーを目指す必要はありません。まずは100人、次は500人と、着実に増やしていくことを目標にしてみませんか。

投稿へのいいねが増えた、コメントがもらえた、お客様が「SNSを見ました」と来店してくれた。そんな小さな喜びを大切にしながら、続けていくことが何より重要です。

SNS運用は長距離走のようなもの。焦らず、楽しみながら取り組んでいただければと思います。

まとめ

SNSは、中小企業が限られた予算の中で認知度を高め、お客様との信頼関係を築くための強力なツールです。それぞれのプラットフォームには独自の特徴があり、ターゲットや発信したい内容に応じて最適なものを選ぶことが大切。

完璧を求めず、人間味のある発信を心がけること。お客様との対話を楽しみながら、小さな成功を積み重ねていくこと。そんな姿勢でSNSに向き合っていただけたらと思います。

「明日からSNSを始めてみようかな」そう思っていただけたなら、これほど嬉しいことはありません。あなたの会社の想いが、SNSを通じて多くの方に届きますよう、心から応援しています。

関連記事一覧