
新年の抱負の書き方|「良い一年だった」と心から思える経営者になるために
新年を迎えるたび、多くの経営者が今年の抱負を考えます。しかし、昨年の年初に掲げた抱負は、いつの間にか忘れられ、日々の業務に追われる日常が続いてきたのではないでしょうか。
多くの経営者が同じ経験をされているはず。形だけの抱負では、忙しい日々の中で埋もれてしまうもの。本当に必要なのは、心の底から実現したいと思える抱負です。
この記事では、経営者の想いを軸にした抱負づくりのプロセスをご紹介します。昨年の振り返りから始まり、自分が大切にしたい価値観を見つめ直し、それを言葉にして日々の経営に活かしていく――一年後、心から「良い一年だった」と思える抱負を、一緒に考えてみませんか。
目次
形だけの抱負で終わらせないために
年初に立てた抱負が、いつの間にか忘れ去られている。多くの調査で、新年の抱負を達成できる経営者は2割程度という結果が出ています。形式的な抱負ではなく、心の底から実現したいと思える抱負こそが、一年を通じて経営者を支える羅針盤となるのです。

多くの経営者が抱える新年の抱負への悩み
新年を迎えた今、「立派な抱負を書かなければ」というプレッシャーを感じていませんか。実際、調査では約4割の経営者が年初の抱負を忘れてしまうという結果も。
「昨年も同じことを書いた気がする」という焦りや迷い。そういった素直な気持ちは、決して特別ではありません。
一年後に忘れ去られる抱負と心に残る抱負の違い
形だけの抱負は、どこか他人事のように感じられてしまいます。研究によると、明確で具体的な目標は曖昧な目標よりも高い達成率を示すことがわかっています。
その違いは「想い」が込められているかどうか。従業員が成長した瞬間の喜び、お客様から感謝された時の温かい気持ち――そういった感情を伴う想いこそが、一年後も色褪せることなく心に残り続けます。
| 項目 | 形だけの抱負 | 心に残る抱負 |
|---|---|---|
| 動機 | 外発的・義務感から設定 | 本心からの願い・内発的 |
| 継続性 | 時間とともに薄れやすい | 一年後も色褪せない |
| 困難時の支え | 挫折しやすい | 感情の記憶が支えになる |
| 達成後の充実感 | 達成感が薄い | 深い充実感を得られる |
想いを軸にした抱負づくりが経営者に必要な理由
数字や目標だけでなく、何を大切にしたいのかという想いが軸にあると、日々の意思決定がブレなくなります。中小企業白書でも、経営理念を明確にしている企業の生産性向上が報告されています。
想いを軸にすることで、従業員との一体感も生まれやすくなるでしょう。経営者の本気の想いは、言葉を超えて伝わっていきます。
昨年を振り返り自分自身と向き合う時間
新しい年を迎えた今こそ、昨年の自分と静かに向き合う時間を持ちませんか。
売上や利益も大切ですが、従業員の成長や取引先との信頼関係など、数字では表せない価値にこそ経営の本質があるのでは。心が温かくなった瞬間を思い返すことで、自分が本当に大切にしているものが見えてきます。
数字だけでない一年の振り返り方
売上目標や利益率といった数字は、経営の成果を測る大切な指標。しかし、それだけが振り返りの基準になってしまうと、本当に大切なものを見失ってしまうかもしれません。
従業員の笑顔、お客様からの感謝の言葉、地域の方々とのつながり――そういった日々の温かい出来事を思い出してみませんか。心が動いた瞬間を書き出すことで、自分が大切にしてきたものが見えてくるはず。
従業員との関わりで感じた喜びと学び
従業員の成長を実感できた場面を思い返してみてください。新しい仕事への挑戦、お客様に喜んでいただけた時の表情、チームで困難を乗り越えた経験。
日々の忙しさの中では見過ごしがちですが、そういった小さな喜びの積み重ねが経営者としてのあなたを支えてきたのでは。従業員との関わりから感じた喜びを振り返ることで、自分が何を大切にしているのかが見えてきます。
困難を乗り越えた経験から見えてくるもの
苦しかった時期を振り返るのは楽しいことではありません。しかし、そこから学んだことや成長できた部分にも目を向けてみては。
困難な状況にどう向き合ってきたか、誰に支えられたか。そういった経験こそが、経営者としての強さを育ててくれたといえます。辛かった経験を前向きに捉え直すことで、新しい年への希望が生まれてくるはず。
お客様や地域とのつながりを思い返す
お客様からの感謝の言葉や地域の方々との会話を思い出してみてください。そういったつながりの中に、自分の会社が提供できている価値や存在意義が隠れています。
「あなたの会社があって良かった」という言葉は、数字には表れない大切な財産では。地域に根ざした中小企業だからこそ築ける関係性を大切にしてきた一年を誇りに思い、新しい年もそのつながりを深めていきましょう。
経営者として大切にしたい想いを見つける
振り返りを通じて心が動いた瞬間を思い出したら、そこから自分の想いを掘り下げていきましょう。どんな会社にしたいのか、従業員や地域にどう貢献したいのか。
こういった問いかけを通じて、経営者自身の内面と向き合う時間を作ることができます。完璧な答えを求める必要はありません。素直に感じたことを大切にする姿勢が、あなたらしい抱負づくりの第一歩となります。
どんな会社にしていきたいかを問いかける
規模や売上ではなく、どんな雰囲気の会社にしたいかを考えてみませんか。従業員が笑顔で働ける職場、お客様から信頼される存在、地域に根ざした企業。
そういった本質的な問いに向き合うことで、自分らしい抱負が見えてきます。「こうあるべき」という外からの声ではなく、心の奥底にある想いに耳を傾けてください。朝、会社に向かうときに胸が温かくなるような理想の姿を思い描いてみましょう。
従業員にどうなってほしいと願っているか
従業員の幸せや成長を願う気持ちは、多くの経営者が持っているはず。ただ漠然とではなく、具体的にどんな姿を思い描いているのか。
仕事にやりがいを感じてほしい、新しいことに挑戦する勇気を持ってほしい、家族との時間も大切にしてほしい。そういった願いを言葉にしてみることで、自分が本当に実現したい職場環境が明確になっていきます。従業員一人ひとりの顔を思い浮かべながら、心に浮かんだ想いを素直に書き出してみてください。
地域社会に何を提供できる存在でありたいか
地域に根ざした中小企業だからこそできる貢献があります。雇用の創出、地域の活性化、安心できる商品やサービスの提供。
自分の会社が地域にとってどんな存在でありたいかを考えることで、社会的な使命感につながる抱負が生まれてくるでしょう。大企業にはできない、顔の見える関係性を大切にした貢献の形があるはず。地域の方々に「この会社があって良かった」と思ってもらえる存在を目指してみませんか。
経営者として自分自身がどう成長したいか
会社の成長だけでなく、経営者自身の成長も大切なテーマ。人間的な成長、経営者としてのスキルアップ、心の余裕を持つこと。
自分自身がどうなりたいかという視点を加えることで、より人間味のある抱負になります。完璧な経営者を目指す必要はありません。一年後、今よりも少しだけ成長した自分を思い描いてみてください。従業員や家族、地域の方々との関わりの中で、どんな経営者として歩んでいきたいか。その答えが、あなたらしい新年の抱負となるはず。
| 成長テーマ | 具体的な行動例 |
|---|---|
| 人間的成長 |
月1冊以上の読書を習慣にする
異業種の経営者と定期的に交流する
失敗から学んだことを記録する
|
| 経営スキル |
財務諸表を毎月確認し分析する
新しい経営手法を1つ学ぶ
業界の最新動向を定期的にチェックする
|
|
ワークライフ バランス |
週に1日は完全オフの日を作る
家族との時間を意識的に確保する
趣味や運動の時間を予定に組み込む
|
| 地域貢献 |
地域イベントに年数回参加する
地元企業との連携を検討する
社会貢献活動への参加機会を探す
|
想いを言葉にして抱負として表現する
これまで掘り起こしてきた想いを、自分の言葉で表現していくステップです。完璧な文章を目指す必要はありません。素直な気持ちをそのまま書き出すことの大切さを、ここでは改めて確認していきましょう。
立派な言葉を探すのではなく、自分が本当に感じていることを大切にしてください。
完璧な文章より素直な気持ちを大切にする
立派な言葉や格好良い表現を使う必要はありません。自分が本当に感じていること、実現したいことを、いつも話している言葉で書いてみませんか。
そういった素直な表現こそが、後から読み返したときに心に響く抱負になるもの。「従業員の笑顔を増やしたい」「お客様に喜んでもらえる仕事をしたい」といった、シンプルな言葉で十分。
飾らない言葉だからこそ、自分の想いが鮮明に伝わってくるのでは。
経営理念と自分の抱負をつなげる方法
会社の経営理念と個人の抱負は、実は深くつながっています。経営理念に込められた想いを改めて確認し、それを今年はどう実践していきたいのかという視点で考えてみる。
たとえば「地域に貢献する」という理念があれば、「今年は地元の若者を一人でも多く雇用したい」という抱負につながります。
理念と抱負が一本の線で結ばれることで、日々の経営に軸が生まれてくるでしょう。
実践テーマ
従業員と共有できる抱負の書き方
経営者の抱負は、従業員にとっても会社の方向性を知る大切な情報になります。難しい言葉を使わず、自分の想いが伝わる表現を心がけることが重要。
従業員が「この社長と一緒に頑張りたい」と思えるような、温かみのある書き方を意識してみませんか。「みんなで成長できる会社にしたい」「一人ひとりの声に耳を傾けたい」といった表現は、共感を生みやすいもの。
あなたの想いが従業員の心に届けば、それが組織全体の力になっていくでしょう。
具体的な行動が見えてくる抱負の作り方
想いを言葉にしたら、それをどう実践していくかという視点も加えてみませんか。大げさな計画ではなく、日々の中でできる小さな一歩が見えてくるような抱負にすることが大切。
「月に一度は従業員と食事をする」「毎朝お客様のことを考える時間を持つ」といった、すぐに始められる行動を含めると良いでしょう。
行動が見えると、抱負は単なる言葉ではなく、あなたの日常を変える力になっていくはず。
抱負を日々の経営に活かし続けるために
抱負を立てて終わりにしてしまうのは、もったいないこと。せっかく考えた想いを日々の経営に活かしてこそ、本当の意味で抱負が生きてきます。特別なことは必要ありません。小さな習慣や工夫を積み重ねることで、自然と抱負が経営の軸となっていくもの。

小さな意識の変化から始める習慣づくり
いきなり大きく変わろうとしなくても大丈夫。朝、会社に着いたときに抱負を思い出してみる。週に一度、振り返る時間を持つ。
そういった小さな習慣から始めることで、自然と抱負が日常に溶け込んでいくものでは。朝のコーヒーを飲みながら心の中で唱えてみる、週末に今週を振り返るといった日常の行動と結びつけるのが効果的。毎日5分でも意識を向ける時間があれば十分。無理なく継続できる習慣こそが、一年後の大きな変化につながっていくはず。
抱負を見返す機会を日常に組み込む工夫
書いた抱負を引き出しにしまい込まず、いつでも目に触れる場所に置いてみませんか。手帳の最初のページ、デスクの見える位置、スマホの待ち受け画面など、それぞれの生活スタイルに合わせて選べる工夫があります。
手帳派なら毎日開くページに書き写す、デスクワーク中心ならモニター横に小さなカードを置く。スマホをよく使う方は、待ち受け画面に抱負を入れた画像を設定するのも良いですね。目に入る回数が増えれば、自然と意識が向いていくもの。普段の生活の中に溶け込ませることが継続の鍵となります。
| 生活スタイル | 配置場所 | 具体的な方法 |
|---|---|---|
| 手帳派 | 手帳の最初のページ | 毎日開くページに書き写す |
| デスクワーク派 | デスクの見える位置 | モニター横に小さなカードを置く |
| スマホ派 | スマホの待ち受け画面 | 抱負を入れた画像を設定する |
従業員とビジョンを共有する場の作り方
自分の抱負を従業員と共有することで、会社全体が同じ方向を向いて進んでいけます。朝礼での一言、社内報への掲載、ランチミーティング。形式にこだわらず、自然に想いを伝えられる場づくりを考えてみましょう。
朝礼なら週に一度、今週の目標と抱負の関連を話してみるのはいかが。社内報があれば新年号に想いを綴るのも良いかもしれません。もっとカジュアルに、ランチタイムに将来のビジョンを語り合うのも効果的。大切なのは一方的でなく、従業員の想いも聞くこと。双方向の対話が、本当の共有につながっていくはず。
一年後に振り返る自分へのメッセージ
最後に、一年後の自分に向けてメッセージを書いてみませんか。今の想いや決意を未来の自分に届けることで、抱負がより特別なものになります。
「今、私は〇〇を実現したいと強く思っている」「従業員の笑顔が何よりの喜びだ」。そんな率直な言葉で構いません。一年後に読み返したとき、どんな気持ちになるかを想像しながら書いてみてください。このメッセージは困難に直面したときの支えにもなるはず。「あの時の自分は、こんな想いで前を向いていたんだ」と気づけば、また一歩を踏み出す勇気が湧いてくるもの。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。この記事を通じて、あなたらしい新年の抱負を考えるきっかけになれば幸いです。形だけではない、心の底から実現したいと思える抱負づくりのヒントを、改めて振り返ってみましょう。
- 想いを軸にした抱負は日々の経営判断の羅針盤となり、困難な状況でも進むべき方向を示してくれる
- 昨年の振り返りでは数字だけでなく、従業員やお客様との関わりで心が動いた瞬間を思い出すことが大切である
- 抱負は一度書いて終わりではなく、日常の中で見返し、小さな習慣として実践し続けることで本当の価値が生まれる
新しい一年を迎えた今、あなたの心の中にある想いを大切にしてください。立派な言葉や完璧な文章である必要はありません。素直な気持ちをそのまま言葉にし、それを軸に日々の経営を進めていく。そうすることで、一年後には「良い一年だった」と心から思える経営ができるはずです。あなたの想いが従業員や地域に伝わり、会社全体が同じ方向を向いて歩んでいける――そんな一年になることを願っています。

