会議を30分短縮する7つのコツ|生産性向上の実践テクニック

「また今日も会議で1日が終わってしまった」そんな想いを抱えながら、夕方の社内を見渡す経営者の方も多いのではないでしょうか。会議は意思決定や情報共有のために欠かせないもの。しかし、気づけば時間だけが過ぎ、肝心の業務が進まない日々が続いていませんか。

実は、会議が長引いて残業したことがある人は全体の73.7%にも上ります(株式会社識学「会議に関する調査」2022年)。さらに、85%のビジネスパーソンが「無駄だと思った会議がある」と答えているという結果も。つまり、多くの企業が同じ課題を抱えているということ。決してあなたの会社だけの問題ではありません。

この記事では、会議時間を30分短縮するための具体的な7つのコツをお伝えします。明日からすぐに実践できる内容ばかりですので、ぜひ最後までお読みください。

なぜ会議は長引いてしまうのか?

会議の効率化に取り組む前に、まず「なぜ会議が長引くのか」その原因を知っておきましょう。原因がわかれば、対策も見えてきます。

目的とゴールが曖昧

週次や月次で定期的に開催される報告会議は、目的やゴールが曖昧なまま進められやすいもの。「とりあえず集まって報告する」という習慣だけが残り、何を決めるべきなのかが見えなくなっていませんか。終わりの見えない会議は、参加者をイライラさせる原因にもなります。

終了時間への意識が薄い

開始時間は決まっていても、終了時間を明確に設定していない会議は無用に長引きがち。「結論が出るまで続ける」という姿勢は一見真面目に見えますが、実は時間意識の欠如かもしれません。

事前準備が不十分

会議当日に初めて資料を配布したり、議題を確認したりしていては、貴重な時間が確認作業だけで消費されてしまいます。参加者が事前に内容を把握できていれば、本題にすぐ入れるはず。

会議を30分短縮する7つのコツ

ここからは、具体的な効率化のコツを7つご紹介します。どれも今日から実践できる内容です。

【コツ1】会議の目的とゴールを明確に共有する

会議を始める前に、必ず「この会議で何を決めるのか」「どんな状態になれば成功なのか」を参加者全員で確認しましょう。

たとえば営業会議なら、目的は「今期の売上目標を達成すること」、ゴールは「具体的な営業施策を3つ決定すること」と明示します。目的とゴールが共有されていれば、議論が脱線しても本題に戻りやすくなるでしょう。

実際に長野県のセラテックジャパン株式会社では、会議の目的とゴールを明確にすることで、1時間かかっていた定例会議を30分に短縮することに成功しています。

【コツ2】会議時間は30分を基本にする

人間の集中力は15分周期とされており、会議の最適な時間は30分程度、最長でも90分以内が目安です。だらだらと長い会議より、密度の濃い30分間の方が、はるかに生産性が高いもの。

時間を15分単位で設定することで、参加者の集中力を維持しやすくなります。30分や45分といった時間設定を試してみてはいかがでしょうか。

【コツ3】資料は必ず事前に共有する

会議用の資料は、遅くとも前日までには参加者全員に共有しておきましょう。グループウェアやクラウドストレージを活用すれば、簡単に情報を共有できます。

セラテックジャパンの成功事例では、資料を事前にグループウェアで共有することで、会議開始時点で全員が目的やゴール、必要なデータを把握できる状態を作り出しました。その結果、無駄な確認作業をせず、すぐに本題へ入れるようになったのです。

事前に資料を読んできてもらうだけで、会議の質が驚くほど変わります。

【コツ4】ファシリテーターを必ず決める

会議の進行役(ファシリテーター)を事前に決めておくと、議論が脱線したときにストップをかけたり、タイムキーピングをしたりできるため、会議が効率的に進みます。

ファシリテーターの役割は重要です。議題から外れた話題が出たときの修正や、意見のコンセンサスを取ることで、会議全体をコントロールします。違うファシリテーターが担当すれば、会議の雰囲気も変わってくるでしょう。

会議が始まってから役割を決めていると、その分の時間が無駄になってしまいます。

【コツ5】本当に必要な人だけを招待する

「念のため」「情報共有のため」という理由で、議題に直接関係ない人まで会議に呼んでいませんか。ある調査によると、会議の悩みの第3位は「不要な人員が多い」(33.6%)でした。

会議は人数が多ければ良いアイデアが出るわけではありません。議題に関係ない人にとっては無駄な時間になり、発言への意識も低くなってしまいます。

本当に決定権を持つ人や、その議題の専門知識を持つ人だけを招待する勇気も必要です。他の人には議事録で共有すれば十分なことも多いでしょう。

【コツ6】ルーチン化した無駄を削る

毎回の挨拶や自己紹介、前回の議事録の読み上げなど、ルーチン化している時間を見直してみましょう。本当にその時間は必要でしょうか。

セラテックジャパンでは、ルーチン化していた挨拶や発表の時間を削減することで、内容の濃い会議を実現しました。形式的な部分に時間を使うより、本質的な議論に時間を使う方が価値があるはず。

「これまでずっとやってきたから」という理由だけで続けている習慣があれば、一度立ち止まって考えてみてください。

【コツ7】議事録をリアルタイムで作成する

会議の流れや発言、決定事項などを、会議中にリアルタイムで記録していく方法がおすすめです。Googleドキュメントなどのクラウドツールを使えば、参加者全員が同時に閲覧・編集できます。

よくある問題として、結論しか記録しておらず、なぜその結論に至ったのかが記録できていないケースがあります。後から根拠が示せず苦労することも。

誰が何を言ったのか、どのような流れで何が決定されたのかがわかるように記録すれば、会議後の確認作業も不要になるでしょう。

会議効率化の成功事例に学ぶ

実際に会議の効率化に成功した企業の事例を見てみましょう。

アサナ社の「ミーティング・ドゥームズデイ」

業務管理ソフトを開発するアサナ社では、定期的に開催される小規模会議を一度すべて予定表から削除する取り組みを実施しました。その後、本当に価値があると思われる会議だけを予定表に戻したのです。

この「ミーティング・ドゥームズデイ」と呼ばれるパイロットスタディでは、マーケティングチームの60人が参加し、1カ月間で合計265時間もの会議時間削減に成功。「習慣で続けていただけの会議」を見直す良い機会になったといいます。

日本ピーエス株式会社の「会議費用の見える化」

福井県敦賀市に本社を置く日本ピーエス株式会社では、会議費用(人件費)を見える化する取り組みを行いました。会議に参加した人数や時間単価、会議時間数を掛け合わせて会議費用を算出したのです。

「この会議に5万円かかっている」と数字で示されると、参加者の原価意識が高まります。時間への意識が変わり、会議の効率化につながった好事例といえるでしょう。

効率化を進める上での注意点

会議の効率化は大切ですが、いくつか注意すべき点もあります。

効率化の目的を忘れない

会議を効率化させて何を実現したいのか、その目的をはっきりさせておきましょう。「残業を減らしたい」のか「良質なアウトプットを創出したい」のか。効率化は目的ではなく、あくまで手段です。

時間を短くすることだけが目標になってしまうと、本来話し合うべきことが話し合えなくなる恐れもあります。

参加者の意見を尊重する

ファシリテーターが議論をコントロールすることは大切ですが、参加者の発言を抑え込んでしまっては本末転倒。効率化と意見の多様性のバランスを取ることが重要です。

株式会社識学の調査によると、42.0%の人が「発言する人がいつも同じ」という悩みを抱えています。全員が発言しやすい雰囲気づくりも、ファシリテーターの大切な役割といえるでしょう。

ツールに頼りすぎない

日程調整ツールやタスク管理ツールなど、便利なツールはたくさんあります。しかし、ツールの操作に時間を取られては意味がありません。

ツールに慣れていない人がいる場合は、事前に操作方法を確認してもらうなど、会議の時間がツールの説明で終わらないよう配慮しましょう。

まとめ

会議時間を30分短縮する7つのコツをご紹介しました。

  1. 会議の目的とゴールを明確に共有する
  2. 会議時間は30分を基本にする
  3. 資料は必ず事前に共有する
  4. ファシリテーターを必ず決める
  5. 本当に必要な人だけを招待する
  6. ルーチン化した無駄を削る
  7. 議事録をリアルタイムで作成する

これらのコツは、どれも今日から実践できるものばかり。一度にすべてを変える必要はありません。まずは一つずつ、できることから始めてみてください。

会議の効率化は、従業員の働きやすさにつながり、会社全体の生産性向上にも寄与します。「会議が変われば、会社が変わる」そんな小さな一歩が、きっと大きな変化を生み出すはずです。

明日からの会議が、少しでも充実した時間になりますように。あなたの会社に合った方法を見つけ、ぜひ実践していただけたらと思います。

参考資料

本記事は以下の信頼できる情報源を参考に作成しました。

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