
転校生のヘルメット事件から生まれた『印象管理士』─AI時代に輝く人間力の育て方
「転校先の小学校で、ヘルメットが1人だけ大人用だったんですよ」——。
一般社団法人日本印象管理士協会の代表理事を務める竹田浩一郎氏は、穏やかな表情で自身の原体験を振り返ります。小学4年生の転校時に経験した「人の目線」へのスイッチが、やがて日本初の「印象管理士」という新しい職業を生み出すことになりました。日本の従業員熱量が世界最下位レベルという課題に、全く新しいアプローチで挑む竹田氏の挑戦をご紹介します。
転校生のヘルメット事件─印象へのこだわりが生まれた原点
竹田氏の「印象年表」は、小学4年生の転校から始まります。
「転校先の小学校は、ヘルメットをかぶって歩いて通学するところでした。ところが、みんなが使っているヘルメットに、僕の頭だけ入らなかったんです」
ただでさえ転校生として注目される中、1人だけ大人用の黄色いヘルメットをかぶることになった竹田氏。この出来事が、「人の目線」というものへのスイッチを入れたと言います。
「一度そういうスイッチが入ると、いろんなことが気になり始めるんです」と、竹田氏は当時を振り返ります。
小学5年生になると、今度は髪の毛が気になり始めました。竹田氏は天然パーマの髪質で、友人からいじられることもありました。実際、後年、中学校でキャリア教育の講演をした際には、中学生の男子生徒から「どうやって天パを直したんですか」と質問されるほど、当時の髪の悩みは周囲にも印象的だったようです。
思春期にはニキビに悩まされました。それは一時的なものではなく、なんと28歳まで続きました。短期的に接する営業の仕事はできましたが、長期的に接するような友人知人との明るい場所での会話は苦痛でした。
「今でも出張先のホテルでは、昔ながらのシャワーヘッドとドライヤーを選ぶようにしています。最新の高性能なものだと、髪が余計にくるくるとなっていつものスタイリングになりません」
竹田氏は笑いながらそう語ります。40代半ばになった今でもこうして語れるということは、小学4年生のヘルメット事件をはじめとする印象の悩みが、いかに深く心に刻まれていたかを物語っています。
この個人的な体験が、やがて企業の組織活性化という社会課題の解決につながっていくのです。
日本の課題に挑む─「従業員熱量、世界最下位」をどう変えるか
竹田氏が現在取り組んでいるのは、日本企業が抱える深刻な課題への挑戦です。
「日本には大きく2つの課題があります。個人レベルでは自己肯定感の低さ、企業レベルでは従業員の熱量が世界最下位に近いという問題です」
この課題に対して、多くの企業が堅い研修やEラーニング、サーベイなどで改善をしようとするものの、なかなかうまくいかないと竹田氏は指摘します。
「テンションの低いスポーツチームを想像してみてください。そんなチームに真面目な座学研修をしても、なかなか盛り上がりませんよね」
そんな中、竹田氏自身が元気になったきっかけがありました。それが自分の「印象年表」というものでした。
「私自身、昔から人の目を気にして印象のことで悩んできました。でも、その解決方法や管理の仕方がわかるようになったら、自然と元気になれたんです」
この経験から、印象管理を事業として組織単位で行うことで、組織のブランドにもなるという発想が生まれました。個人の悩みを解決することが、組織全体の活性化につながる──この気づきが、印象管理士という新しい職業を生み出す原点となったのです。

印象管理という新アプローチ─「おしゃれは自分のために、清潔感は人のために」
では、印象管理とは具体的にどのようなサービスなのでしょうか。竹田氏は明確に線引きをします。
「私たちが教えているのは、ファッションやおしゃれではありません。『印象の清潔感』なんです。この違いをしっかり伝えることを大切にしています」
竹田氏がよく使う言葉があります。「おしゃれは自分のために、清潔感は人のために」。この言葉に、印象管理の本質が凝縮されています。
実際の研修プログラムは、自己分析から始まります。
「まず最初に、ご自身の印象を客観的に分析する診断プログラムから始めます。これを1回目の研修として受けていただくんです」
参加者を少人数のグループに分け、それぞれの個性に応じた複数のカテゴリーで診断を行います。そして各タイプに合わせた外見全般のアプローチを、独自の理論体系に基づいて指導していくのです。
より深く学びたい参加者には、企業向けのプロジェクト型サービスをご用意しています。
「長期的に取り組まれる企業様には、LINE公式アカウントでの個別サポートも提供しています。これが大変好評で、皆さん積極的に質問や相談をしてくださるんですよ」
印象管理士®プロジェクトでは、4つの印象管理メソッドを基に、3つのプランから選択いただけます。
1つ目は「印象管理トレーニングプラン」
研修プログラムを中心に展開するプランです。印象管理の学びを体系的にパッケージ化しており、自己分析からスタートすることで、誰もが無理なく実践できる設計となっています。
2つ目は「印象管理プロジェクトプラン」
多くの企業様から高い評価をいただいているプランです。長期的に印象管理へ取り組む企業様向けに、表彰式や1on1などの個別サポートまで実施。従業員一人ひとりのブランディングから、組織内の新たなコミュニケーション文化の創出まで支援します。
3つ目は「印象管理アンバサダープラン」
印象管理が浸透してきた企業様に選ばれているプランです。社内に印象管理アンバサダーを配置し、当団体がフォローアップを継続することで、さらに高次元の組織ブランディングへと移行していきます。
どのプランも、企業に確かな変化をもたらします。これまでになかった対話、これまで見られなかった笑顔、これまでにない研修評価。印象管理は、組織に新しい空気を吹き込んでいくのです。
竹田氏は嬉しそうに語ります。「今こういうスキンケアやってるんだけどもっとレベルアップしたいから教えてください」「髭を薄くしたいけどどうしたらいいの」といった質問が寄せられるといいます。
「こういった悩みを会社で相談できる場所はありません。だから私たちは『産業医の印象版』を目指したんです」
研修では毎回15秒だけ、2人1組になって相手の素敵なポイントを伝え合うワークを行います。
「相手の良いところを伝え合っているとき、参加者全員が笑顔になるんです。こういう雰囲気を作っていくことが大切なんです」
この取り組みが、社内で新しいコミュニケーションを生み出します。「今日のその黄色いネクタイいいね」といった会話が自然に生まれるようになるのです。
さらに、1年単位でご契約いただいている企業では「印象管理アワード」という表彰制度を導入しています。ゴールに向かってみんなで成長を目指し、最後に表彰式と投票を行うゲーミフィケーションの要素を取り入れているのです。
コロナがもたらした転機─不動産から印象管理へ180度の業種転換
実は竹田氏、印象管理の仕事を始める前は全く異なる業種にいました。
「2013年に3人で最初の会社を立ち上げました。不動産や住宅のコンサルティングを行う会社です」
住宅関連を得意としたファイナンシャルプランナーのような仕事で、営業力を活かして順調に事業を進めていました。しかし、お客様には大変有益なサービスと評価していただいていましたが、日本の新築着工戸数が年々減少していることもあり、未来に不安を感じていたといいます。
そこにコロナが襲来しました。
「世の中が一気にオンライン化していったんです。これからはオンラインに関わる仕事を作った方がいいと思いました」
経営者の先輩から「服が好きなら、オンラインサロンをやってみたらどうか」とアドバイスを受けました。まずは試しに、と20人ほどの男性経営者を集めてリアルでセミナーを開催したところ、予想以上に好評でした。この手応えを受けて、本格的にオンライン化することを決意したのです。
ところが、オンラインサロンには予想外の参加者が集まってきました。
「オンラインサロンには、おじさんよりも若い世代がどんどん入ってきたんです」
そして若い世代と話していると、ある共通の声が聞こえてきました。
「彼らは『会社をすぐ辞める』『起業する』と言うし、『会社にかっこいい先輩や憧れる先輩がいない』とも言うんです」
この言葉に、竹田氏は衝撃を受けました。
「確かに当たり前なんですよね。今はネットにインフルエンサーがたくさんいて、若者がそちらに憧れるのは自然なことです。でも一方で、社内を見回すと、意識が低くて元気のない大人がたくさんいる。そう気づいたんです」
そこから竹田氏の決意が固まります。
「この大人たちを元気にしよう。そう思ってスイッチが入りました」
業種を変えたことで、出会う人、もの、環境が激変したと竹田氏は振り返ります。
「業種を180度変える人はあまりいないと思います。でも実際に変えてみて驚いたのは、出会う人やものが全く違うということです。それこそ別世界のように違いますね」
住宅コンサルをしていた頃は、取引先は金融機関などの堅い業界が中心で、35歳以下の若い世代と話す機会はほとんどありませんでした。ところが印象管理の仕事を始めてからは、若くてエネルギッシュな人たちがどんどん集まってくるようになったのです。出会う人の年齢層も雰囲気も、まるで変わりました。
「環境が変わると、自分の顔つきや表情まで変わってくるんです。それが面白いなと思っています」

大企業が求める印象管理士─導入企業の変化と効果
印象管理という新しい分野を大企業が受け入れるきっかけは、偶然の声がけでした。
「以前の住宅コンサルティングの仕事でつながりがあった大手ハウスメーカーの名古屋支店から、『一度うちでやってみてください』と声をかけていただいたのがきっかけでした」
この初めての企業研修が予想以上の反響を呼びました。受講した社員からの評価が高く、その噂が他の企業にも広がっていったのです。そこから次々と大手企業からの依頼が舞い込むようになりました。現在では金融機関、教育機関、ホテルなど、業種を問わず多くの大手企業で印象管理研修が導入されています。
特に多いのが、ビジネスカジュアル化で悩む企業です。
「実は、ほとんどの企業がビジネスカジュアル化で悩んでいるんです。社員への教育をせずに制度だけ導入してしまうからなんですね」
ビジネスカジュアル化した企業では、服装の範囲が広がりすぎて清潔感がない、だらしなく見えるという悩みから、ガイドライン作成と教育を行いたいというお悩みや、「ストッキングは履くべきか、履かなくてもいいのか」「何色までなら許されるのか」といった細かい疑問が山のように出てくるのです。
竹田氏のチームは、こうした細かな疑問に一つ一つ答えていきます。髪のカラーコードの設定から、服装のガイドライン作成まで、企業の印象管理をゼロから構築するサポートを行っています。
1年単位でご契約いただいている大手企業からは、嬉しい声が届いています。
「研修終了後、受講者からいろんな声が届きます。『仕事が楽しくなった』『毎日が楽しい』といった感想です。一見、印象管理と関係なさそうに思えるかもしれませんが」
竹田氏は力を込めて語ります。
「印象に気を配るというのは、つまり相手のことを考えるということです。相手にどう見られるか、相手にどう感じてもらいたいかを考える。それができる人は、仕事でも相手の立場に立って物事を考えられるんです」
提案の採用率についても興味深いデータがあります。
「印象管理は、提案を断られることがほとんどないんです。一度商談の機会をいただければ、いつかは必ず導入していただけます」
ただし、スピード感は様々です。「今日これをやらなければ死んでしまう」というものではないため、決定までに時間がかかることもあります。それでも、必要性は全ての企業が感じているのです。
AI時代だからこそ必要な人間力─印象管理が拓く未来の組織
竹田氏は、AI時代の到来が印象管理の価値をさらに高めると確信しています。
「AIが急速に発達し、印象も数値化・言語化される時代が来ています。印象管理は、単なる外見を飾る技術ではありません。データと人間力を組み合わせて、AIや社会から信頼される自分を設計する技術なんです」
竹田氏は日本で一番大きい人的資本経営コンソーシアムという団体に参加しています。大手企業約600社が加盟するこの組織の総会で、興味深い議論があったといいます。
「大企業の幹部の方が、こんなことをおっしゃっていました。『これからは、大きな声でハキハキ話す人、そういった人間力が評価される時代が来るかもしれない』と」
つまり、人間力、共感力といったソフトなスキルの重要性が増すということです。
「AIが進化すればするほど、印象管理の重要性は増していくと信じています」

経営哲学─「自分だけが良くなる」を超えて
竹田氏の経営哲学の根底にあるのは、36歳のときの大きな気づきです。
「最初の不動産の仕事をしていた頃は、正直、若さもあったと思いますが、自分が稼ぐことしか考えていませんでした。それが今の大きな反省です」
36歳で経営者の会に参加したとき、ある言葉に衝撃を受けました。
「『人に何かしてもらう前に、まず自分から先に与えろ』という言葉を聞いて、大きな衝撃を受けました」
それ以来、何かを判断するときの基準が変わったといいます。
「それ以来、打ち合わせでは相手が大企業でも中小企業でも、相手が必要としているものがあれば、人を紹介したりサポートしたりすることを続けてきました。それがストレスなく続けられているんです」
竹田氏は、判断の基軸をこう説明します。
「何かを判断するとき、『自分の会社だけが良くなるのではなく、関わるすべての人が良くなるか』を基準にしています。A社もB社も良くなる、そういう選択を心がけているんです」
さらに竹田氏は、ある問いを投げかけます。
「世界平和が良いと、みんな思っていますよね。平和なイメージとは、ギスギスせず、人々が笑顔で、しっかり生活できている状態です。ではあなたの会社は、本当に『平和』という言葉が当てはまる空間ですか?」
この問いに対して、竹田氏は自身の経験を振り返ります。1社目の不動産会社は100人規模で殺伐としていたこと、2社目の会社は平和だったものの社員同士のネガティブな発言が多い会社であったこと。そうした経験から、明るく生き生きした組織が生産性につながるという確信を持ったのです。
「印象管理の仕事で、みんなが明るく楽しそうにしている姿を見ることが、私の一番のやりがいです。それが事業の軸になっていると思います」
竹田氏はチームスポーツに例えます。
「暗いチームより明るいチームの方が勝ちますよね。組織も同じなんです」
そして、こう続けます。
「大谷翔平選手は、後ろ向きなことは言いませんよね。でも会社の従業員はどうでしょう。前向きなことを言っていますか? 逆にネガティブな人が多くないですか?」
前向きであること、相手を見ること。この姿勢が、竹田氏の事業の根幹にあります。
「『おしゃれは自分のために、清潔感は人のために』という言葉を私はよく使います。この考え方が、まさに相手目線ということなんです」
最後に、竹田氏はこれから一緒に働くメンバーへのメッセージを語ってくれました。
「未来が見えています。だからしっかりついてきてください。この仕事で、人生で初めて未来が見える感覚を持っています。印象管理士という文化が広がっていく未来が。ゼロからみんなで作り上げていく、その道筋が見えているんです」
力強い口調で続けます。
「これまで通り、しっかりついてきてください」
コントリからのメッセージ
転校時のヘルメット事件という個人的なコンプレックスが、日本企業の「従業員熱量の低さ」という社会課題の解決につながった──竹田氏の物語は、個人の経験が持つ大きな可能性を教えてくれます。
「印象管理」という新しい概念は、単なる外見の改善ではなく、相手目線を持つこと、相手を思いやること、そして組織全体が明るく生き生きすることを目指しています。AI時代だからこそ、数値化できない人間力、共感力の価値が高まる──竹田氏の確信には、深い洞察があります。
「自分だけが良くなる」を超えて、関わる全ての人が良くなることを基軸に判断する。この姿勢が、多くの大企業から支持を集める理由なのでしょう。
中小企業経営者の皆さんにとって、組織の活性化は永遠のテーマです。従来の研修で成果が出ないと感じているなら、印象管理という新しいアプローチを検討してみる価値があるかもしれません。それは、従業員一人ひとりが「相手目線」を持ち、お互いを認め合う文化を育てることにつながるからです。
竹田氏の挑戦は、まだ始まったばかりです。今後は資格制度のリリース、AI印象管理士の本格展開と、新しい展開が続きます。「憧れる大人がいない」と言われた日本の職場に、明るく前向きな文化を根付かせる──その挑戦を、私たちは応援し続けたいと思います。
プロフィール

一般社団法人日本印象管理士協会
代表理事
竹田 浩一郎(たけだ こういちろう)
静岡県出身。2013年に不動産・住宅コンサルティング会社を創業。その後、2021年に新会社を作り、コロナ禍をきっかけにオンラインサロンを開始し、若い世代から「会社に憧れる先輩がいない」という声を受けて印象管理事業へ転換。2023年7月、一般社団法人日本印象管理士協会を設立。「おしゃれは自分のために、清潔感は人のために」をモットーに、大手企業、金融機関、ホテルなど多数の組織で印象管理研修を実施。人的資本経営コンソーシアムにも参加し、AI時代における人間力の重要性を提唱している。
ギャラリー









会社概要
| 設立 | 2023年(令和5年) 7月 |
| 所在地 | 愛知県名古屋市東区東桜1丁目1番地1号 アーバンネット名古屋ネクスタビル内LIFORK久屋大通 |
| 事業内容 | (1)印象管理士資格の普及 (2)印象管理研修 (3)印象等に関する各種診断 (4)従業員等に対する教育の場の提供 (5)従業員の福利厚生 (6)法人や個人に対する各種印象コンサルティング全般 (7)イベント開催 (8)オンライン・オフ会等のコミュニティ運営 (9)オンライン講座等の情報配信 (10)商品販売 (11)アパレル販売 (12)書籍出版 (13)店舗情報、販促情報、割引情報等の提供 |
| HP | https://impression-jima.com/ |
御社の想いも、
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この事業で成し遂げたいことがある
自分の経営哲学を言葉にしたい
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