【事業承継 × 後継者の決断】後継者社長たちのリアルストーリー|コントリくんの学び

事業を”継ぐ”というのは、単なるバトンタッチではありません。そこには「覚悟」と「捨てきれない想い」、そして「自分なりの答え」を見つけるための挑戦があります。先代の歩みを尊重しつつ、自らの経営ビジョンを築く——それは、外からは見えにくい数多くの葛藤と決断の積み重ねです。
本記事は、「事業承継」を通じて経営を引き継いだ二代目・三代目の社長たちが、どのようにして組織と向き合い、自らのリーダーシップを確立していったのか。そのリアルな声を届ける「コントリくんの学び」シリーズの特集です。

【学び1】企業文化を治めながら、新たな挑戦へ

勝ち続けてきた記録に、自分色をどう加えるか?

会社名:加藤軽金属工業株式会社
社長名:加藤 大輝 氏
インタビュー記事事業継承から新たな挑戦へ~社員一人ひとりの声を大切に~|加藤軽金属工業株式会社

父親から事業を引き継いだ加藤氏は、創業から守られてきた品質第一の製品力に誇りを持ちつつも、時代に即した経営手法の見直しを進めています。継承当初から、「企業文化は変えるものではなく、育てるもの」という価値観を大切にしてきました。

新たに注力したのは、“社内コミュニケーションの強化”と“現場の声を吸い上げる仕組み”。組織改革に取り組む中で、「経営者の思い込みではなく、社員との対話こそが組織の未来をつくる」と語る加藤氏の姿勢には、変化に対する柔軟さと真摯な覚悟が滲みます。

【学び2】文化を再定義する。若手の挑戦と自立型組織づくり

「会社をつくり直す」ような事業承継

会社名:株式会社ダイマツウ
社長名:平松 朋弥 氏
インタビュー記事ハッピーを生む企業文化!ダイマツウにおける自立型人材の育成と実践 | 株式会社 ダイマツウ

平松氏が事業を承継した当初、周囲は年上の社員ばかり。若さゆえの葛藤や“社長だから言えない本音”を飲み込む日々が続いたといいます。しかし、彼はそこで諦めることなく「会社の未来を社員と一緒につくる」という信念を持ち、組織文化の見直しに着手しました。

自立型人材の育成、社内報の導入、社員発案によるプロジェクト制度など、制度改革とカルチャー形成を同時に行う「二代目ならではの経営」。プレッシャーをバネに変え、今では“ハッピーを生む企業文化”として、社内外に新たな評価が生まれています。

【学び3】父からのバトンを、「地域の未来」へつなぐ

業種を超えた“想い”の継承

会社名:スターホーム株式会社
社長名:星 武司 氏
インタビュー記事ユニバーサル・コミュニティ事業で世界を繋ぐ、建築から地域の未来へ|スターホーム株式会社

父からの承継を経て、建築業にとどまらず福祉事業や地域活動へと事業領域を拡大したスターホーム株式会社の代表者。継いだのは単なるビジネスモデルではなく、“地域の暮らしを良くしたい”という普遍的な想いでした。

地域との対話を何よりも大切にし、空き家再生や高齢者向けサービス、地域イベントの主催など、地域の課題解決に貢献する多角的な展開を実施。先代の想いを“形”として進化させている姿が印象的です。

【学び4】老舗文具メーカーの“変えない努力”と“変える覚悟”

昭和から令和へ、“使ってもらえる鉛筆”の価値を守る

会社名:北星鉛筆株式会社
社長名:杉谷 龍一 氏
インタビュー記事てのひらと生活になじむ鉛筆を。老舗・北星鉛筆が描く文具の未来

鉛筆業界で長年にわたり愛されてきた老舗企業・北星鉛筆。事業を継承した現社長は、“鉛筆”という伝統的プロダクトに、新たな文脈を付け加える挑戦をしています。

安価な輸入製品との競争、デジタル化による市場縮小といった苦難の中でも、「手に馴染む鉛筆」「心を育てる道具」としての価値を発信。教育現場との連携、エコ素材の採用、新ブランドの開発など、ブランディングにも力を入れています。「変えない努力」と「変える覚悟」を両立させるその姿勢には、後継者ならではの気概が感じられます。

コントリくんのひとこと

コントリくん
コントリくん

「継ぐって、経営だけじゃないんだね。“想い”とか“文化”とか、目に見えないものを背負ってるのかぁ…」

結びに

「継ぐ」ことは、「継ぐための戦い」でもあります。先代からの想いを受け止めながら、自分の方向性を立てる。それは、プレッシャーでも、しがらみでもなく、「中小企業の持続性」を考えたときの真撃な向き合い方です。

そして後継者にとって最も重要なのは、“自分自身が何を信じ、どんな会社にしたいか”を見つけること。その軸が定まっていれば、どんな状況でも判断にブレは生じません。

この特集が、現在進んでいる事業承継のプロセスを少しでも近くに感じ、自分なりのやり方を見つける手がかりになれば幸いです。

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