現代人に「余白」を!茶道を通して人々の心を癒す【合同会社KEFU】
デジタル化が進んだ現代においては、日々たくさんの情報が生み出されており、我々はその情報のシャワーをたくさん浴びているというのが現状ではないでしょうか?
これは便利になったという側面もありますが、ストレスの原因となっているのも事実です。
今回のインタビューでは、そのようなストレスを抱えている方々に対して「茶道」というものを通して「癒し」を提供したいという想いを形にされている合同会社KEFUの池水さんにお話をお伺いました。
ぜひ、池水さんの熱い想いを感じてみてください!
合同会社KEFUの事業について
まずは御社の事業について教えていただけますでしょうか?
茶道具を販売するsouiというECサイトを運営しています。
souiは新型コロナウィルスが蔓延し始めた2020年の3月にオープンしました。会社勤めしながらの副業という形でスタートし、現在は陶芸作家の作品と私がセレクトした窯元さんのお茶碗を取り扱っております。
「現代の住環境になじむ茶道具」というのをコンセプトにして商品をセレクトしています。
souiで扱われている商品はご自身で気に入ったものを選ばれているのでしょうか?
基本はそうですね。
自分自身で気に入ったものを選んでいるというのもあるのですが、現代においては家が洋風化しており、普通のお道具も素敵なのですが、それをそのままリビングに置いてしまうとどうしても浮いてしまったりします。
私自身もそれに違和感を感じていたので、洋風のダイニングセットでも違和感のないお道具をセレクトしています。
茶道となるとかっちりしたイメージなのですが、「生活に入ってきやすいように」という考えはとても素敵だなと思います。
そうなんです。
清水焼の色絵のついたお茶碗も茶室で見ると素敵なのですが、リビングだと全然違って見えてしまいます。
私自身も自宅でお抹茶を点てたいと思った時に使う道具を探す際に大変苦労したので、同じように困っている方のお役に立てればと思い、このようなセレクトにしています。
そうだったのですね。
お稽古のときだけではなく、日常生活でも茶道を楽しめたらという想いが込められていたのですね!
ECサイトを始めてからは取扱う商品数は増えてきているのでしょうか?
徐々に増やしています。
今年(2022年)の7月から仕事のバランスを変えまして、仕事自体の内容は一緒なのですが、フルタイム勤務をパートタイム勤務に切り替えさせていただくことでお店のことに使える時間を増やしました。
商品のバリエーションについてはもっともっと増やしていきたいですね。
商品の仕入れはどのような形で行っているのでしょうか?
作家さんにお声がけさせていただいています。
ただ、一つひとつ手作りなので、どうしても今日お願いして明日届くというのは難しいんです。
商品が出来上がって、お届けいただいて、並べて・・・といったように、少しゆっくりとしたペースでやっております。
事業を始めたきっかけについて
現在の事業を始められたきっかけについて教えていただけますでしょうか?
まず、茶道を習おうと思ったきっかけからお話しすると、わりと消極的な理由でして・・・
まず最初に日本文化に興味を持ち始め、日本舞踊を習っていました。
そのつながりで、お茶席に声をかけてもらうことが出来たのですが、お茶(茶道の作法)について何も分からないので「これはいかんな」と思い、とりあえず最初はお茶をいただく作法だけ学びたいと思って始めたのが茶道を習おうと思ったきっかけです。
その教室が、最初からお点前を体験させてくれて、すごくお点前自体も楽しくなってはまってしまいました。最初はすぐやめるつもりで始めたのですが、のめり込んでしまいましたね。
茶道にのめり込んだポイントなどがあれば教えていただけますでしょうか?
一番最初、体験の時にお抹茶を点てさせてもらいました。
その前の段取りなどは省いて、お抹茶をお茶碗に入れてお湯を釜からくんで混ぜるといった簡単な部分だけやらせてもらったのですが、それだけでもすごいリラックスしてしまった自分がいました。
初めて釜の前に座ったのですが、前から知ってるような安心感を感じていました。
実家の布団の中にいるみたいな感じですかね。
本当に懐かしさというか、しっくりきた感覚がありました。
「おや?これは何かあるぞ」と思いのめり込んでいきました。
なるほど。実は私(高橋)自身も茶道をやったことがありました。
季節に合わせてお茶碗が変わったり、四季折々のお菓子も毎回のお稽古での楽しみでした。
茶道を通して自然と季節を感じられるのがとても心地よかったです。
本当にそうですよね。
茶道には日本文化が全部凝縮されていると思います。
何か一つ、日本の伝統文化を体験するとなったら茶道が一番お得だと思っています。色々な要素が入っていますからね。
着物、お花、書など、総合芸術でいろいろな日本文化をまとめて味わえるのが良いですよね。
精神性にも魅力を感じていています。
精神性というのは気持ち的なところのことでしょうか?
そうですね。
「道」と言われるだけあって単なる習い事ではない、精神的な修行の要素が個人的にあると思っています。
どんな習い事、お稽古事でもそうかもしれませんが、できない事をひたすら繰り返して怒られて、自分と向き合っていくと思うんです。
人に見られると緊張もしますし、茶席などといった表の舞台になると更に緊張の度合いが変わってきます。そういったものと戦っていくことで、自分自身の精神が少しずつ強くなっていくと思っています。
「茶道」を通して自分自身の芯ができていく感覚ですね。この部分にもすごく魅力を感じています。
私が茶道をやっていた時も確かに辛いことも多かったですが、今思うと貴重な場だったのだなと思います。
大人になると、誰かに怒られることも少なくなるので、そういった意味でも貴重な場です。
できない自分と向き合わされる。
分かっているのだけれども身体がいうことをきかない。先生のようにやろうとはしているけれどできない。その繰り返しです。
慣れてくると、それはそれで手がいい加減になったりして、それもまた指導のポイントになったりしますよね。いくつになっても終わらないです(笑)
完璧の無い世界ですね。。。
終わりがないからこそ年をとっても楽しめるかなと思っています。
茶道というものに出会われて、その世界に関わっていきたいと思われたと思うのですが、その中でも最初にECサイトに着手したのは何か理由があるのでしょうか?
私は本当に茶道の世界が好きで、茶道そのものの効能やお点前するリラックス効果などといったことをもっと多くの人とわか合いたいという思いが強くありました。
今の自分に出来ることは何だろう?と考えた時に、ECサイトが一番取り掛かりやすいと判断しました。私自身は茶道の世界を全て熟知しているわけではなく、お茶の先生にすぐなることはできないので、まずできることから・・・ということですね。
茶道の世界は広くて深いですからね。
茶道の世界は、本当に果てしなくて一生やっても勉強は終わらないと思います。
その入口に近い今の自分だからこそ、カジュアルに伝えられることがあると思います。
そこで、今すぐできることということでECサイトを始めました。
そこで止まらなかったのが素晴らしいです。
多くの人は準備が整ったらやろうという人が多いですからね。
一般的には「茶道」というのはハードルが高いと思われる傾向にあると思っています。先生という立場までいってしまうと知識が深すぎて、初めて触れる人の気持ちがわからなくなてしまいますからね・・・
茶道の世界に片足を入れたぐらいの状態の未熟な私だからこそ出来ることがあるんじゃないかって信じて活動しています(笑)
ガチガチにその業界に染まってしまうと始めたばかりの方に伝えたいことを伝えるのが難しくなってしまうかな、と。
お茶はこうあるべき!となってしまうかもしれないですね。
それはそれですごく大事だと思っています。
ただ、全部が全部そうじゃなくても良いのでは?とも思います。
お家でお抹茶を点ててお菓子を味わうだけでも、皆さんに取り入れて欲しいなと思っています。
素敵な想いで始められたということが知れて良かったです!
今までで一番感動した出来事について
直近で感動した出来事などがあれば教えていただけますでしょうか?
先月(2022年11月)に誕生日を迎えまして、その時に夫が食事を予約してくれました。
すごく素敵な日本料理屋さんでした。お店の名前を伝えられないままタクシーで連れていかれました(笑)
到着した先がすごく素敵な日本料理屋さんで、普段は自分の気持ちを表さないシャイな夫が、このようなサプライズを準備してくれたことが本当に嬉しかったです。
その日本料理屋さんは私の好みのお店だったので本当に感謝です。
旦那さんが池水さんの好みをよく把握されていたのですね!
私が一番喜ぶことを知っているんだな〜と改めて思いました!
素敵ですね!
無口な人ほどそういうところを見ていたりしますからね(笑)
いや〜、本当に驚きました。
ちなみに旦那さんと一緒に茶道を楽しむこともあるのでしょうか?
お茶を一緒に点てることはありません。
お正月に私が勝手に自宅の和室で勝手にお茶会を開いて、そこに強制的に出席させています。
でもダメ出ししかしないんです(笑)苦いとか、ヘリ踏んでたよとか。。。照れだと思うんですけれどね(笑)
普段もお抹茶を勧めることはあるのですが、お酒の方が好きみたいであまり飲んでくれないですね。
旦那さんは池水さんが今の事業を始めると言ったときには、どんな反応をされたのでしょうか?
やはり、一番最初はあんまり良い顔はしませんでしたね。
立上げ費用を交渉して、なんとか許しを得ました。
ただ、夫に伝えた立上げ費用の金額だと、実際は何もできないという状態でした。
とりあえず、お店のロゴやサイトを作り、この2年ほどは日々の仕入れは私自身のお小遣いで購入して徐々に品数を増やしているという状況でした。
実は、今年(2022年)の7月に親から会社を継ぎまして、法人としてやることになったのですが、その時の夫の反応は「どうせ止めたってやるんでしょ?」といった感じでした。
と言いつつも経営の本を貸してくれたりして、両手を上げて賛成という感じではありませんでしたが応援はしてくれています。
旦那さんも経営者なのでしょうか?
いいえ。普通の会社員ですね。
ただ、経営に近いところの仕事をしているので、ある程度知識があります。
マーケティングなどの観点でECサイト事業に対してアドバイスをもらったりしています。
旦那様もなんだかんだ言って認めてくれているのですね!
がっつり二人三脚ではないですけど。。。
親みたいな感じですよね。ある程度好きにさせておいて、危ないと思った時に教えてくれる感じですかね。
事業の状況などを頻繁に話したりもされるのでしょうか?
そこまで頻繁には話さないですね。
ただ、ここぞというときは相談するようにしています。
事業を立ち上げる時には、パートナーの協力や理解というのが本当に必要だと思います。
やっぱり1人では難しいですよね。
1人でできる人は本当に超人だと思います!
そういう意味では今は良い環境で事業ができているのですね!
完全に孤独ではない状況でできているので本当にありがたいですね!
今までで一番苦労したエピソードについて
今までの中で一番苦労された時のエピソードなどがあれば教えていただけますでしょうか?
前職の不動産ベンチャーで働いていた時に上場の準備を経験しました。
上場準備室のメンバーとして入社し、上場後のIRのところを担当しました。
上場して初の株主総会の責任者に任命いただいたのですが、会社としても初めての株主総会ですし、経験者もいない中でやっていかなくてはなりませんでした。
会社法なども絡んできて、適格要件だとか、この日までに何をしていなければならないといったように、ルールに従ってやっていかないと、ちゃんと開催されたと認められないんですよね。
そういうところでもすごく神経を使いましたし、会場との調整から証券会社、警備会社や社内の協力者など全ての方々と調整をしていました。夜は本を読んで勉強して、昼間はひたすら手を動かしてていました。
個人的には上場自体よりも株主総会の方が大変でした。
株主総会は社長がもっとも緊張するイベントの一つですよね。
本当にそうですね。
株主さんとの直接のやり取りになりますし、想定質問の準備なども入念にしなければなりません。
手元のモニターをどうするか?といったような細々したものの選定も私の仕事でした。
とにかくやることが多く「駆け抜けた」というような感覚でしたね。
そのようなハードワークをこなされる中で体調などは崩されなかったのでしょうか?
体調は崩しましたね。。。
でもこのような経験がなければ、今の自分の人生もないので、当時、20代でしたが、この時がむしゃらにやって身に付けたものが今も糧になっているのですごく感謝しています。
でも、もう1回やれって言われたらちょっときついです(笑)
会社として初の株主総会の責任者をしっかりと全うされた池水さんは本当に素晴らしいですね!
ちなみに、そのオファーはどなたからいただいたのでしょうか?
当時の上司からいただきました。
「1回目の株主総会の責任者が私??!」という感じでしたが、上司は「やってごらん」と言って背中を押してくれました。
当時の上司の方は、池水さんに相当期待していたのだと思いますよ。
そうでなければ、そんな重要な仕事は任せないですからね!
ありがたいことですね!
証券会社の方にも同じようなことを言っていただきました。
「本来は総務部長とかがやる仕事だからね。ましてや女性で。本当に頑張っているよ」
そんな言葉が嬉しかったです。
本当に期待されていたということでしょうね♪
ありがたいことです。
でも、疲れちゃいましたね・・・(笑)
そのようなご経験があったからこそ、現在取り組まれている「茶道のことをもっと伝えたい」というところにも繋がってくるのかなと思いました。
そうですね。
茶道を始めて、本当にリラックスするのを自分自身が体験することができました。
もし、倒れてしまったあの時の私が「茶道」を知っていたら、また違ったかもしれないと思いました。
心のよりどころになってくれていたかもしれないですしね。
そうですよね。
現代人は疲れている人が本当に多い気がします。。。
コロナがあったのもありますし、それ以前から人口減少で人手も少なくなって、一昔前より皆さん多忙だと思うんです。
昭和の時代はもっとゆったり仕事をしていたのではないかと思います。
便利になったからこそ、人間が処理すべき仕事の量が増えていて、ずっとパソコンやスマホで情報を常に受け取っているので、脳も体も疲れています。人類史上、最も脳みそ的にハードな時代なのではないかと思います。
肉体的にはもっと大変な時代があったと思いますが、今は精神的に大変なことが多い感じもします。
リモートワークでON/OFFのバランスが取りづらい状況もありますしね。そのような中でも、ちょっと一息つけるような機会を提供したいと思うんです。
なるほど。
大変な経験をされてるからこその説得力のあるお話ですね!
私だからこそ伝えられることを伝えていきたい。
「もっと休憩したほうがいいです〜!もっと休んで〜」って(笑)
私自身、携帯を置いた「余白の時間」を意識的に作らないといけないと思っています。
人間のストレス耐性、キャパというのは人それぞれなんだと思いますが、無限に耐えられる訳ではないですよね。
その時々で自身をいたわる。
そのツールの一つとして「抹茶」や「茶道」を知っていただけたらいいなと思っています。
池水さんのやりたいことを実現するためのファーストステップがECサイトだと思うのですが、ECサイトは立ち上げるのも大変だし、集客、在庫管理も大変だと思いますが、ECサイトを立ち上げる中で、一番苦労したポイントがあれば教えていただけますでしょうか?