「見えない価値」が企業を変える – 経営における心の重要性を考える

本日、一般社団法人倫理研究所の寺嶋朗圭研究員による講話を聴講しました。2024年3月に創業したばかりの私たちにとって、その内容は新鮮な気づきに満ちていました。今回はその学びを皆様と共有したいと思います。

合理性を超えた価値創造の重要性

経営者である私たちは、ついつい数字に目が行きます。売上、利益、KPI、ROI…。私も創業以来、これらの指標に囚われすぎていたかもしれません。

しかし寺嶋氏の講話は、そんな私の視点を大きく変えました。氏は日本の「おもてなし」に触れ、「見えないところで誰かのことを思う行為」にこそ価値があると説きます。

その典型例が、世界が注目する新幹線の清掃サービスです。7分という驚異的な清掃時間を可能にしているのは、清掃スタッフの技術だけではありません。乗客一人一人が座席を整えて降車する。この「見えない配慮」の積み重ねが、実は非合理的とも思える行動が生み出す大きな価値なのです。

企業文化は一朝一夕には作れない

寺嶋氏は『民族力』『民度』という表現で、日本人が長年培ってきた価値観について語られました。この考えは、私たち経営者が試行錯誤している『企業文化の醸成』にも通じます。

私たちコントリでも創業時から『良い企業文化を作ろう』と意識してきました。しかし、経営理念を掲げ、行動規範を定めただけでは、本当の意味での企業文化は育ちません。

大切なのは、日々の小さな行動の積み重ねです。例えば社内の共有スペースで、『誰も見ていないから』と使った備品を放置するのではなく、『次に使う人が気持ちよく使えるように』と元の場所に戻す。このような些細な心遣いの一つ一つが、確かな企業文化を形作っていくのだと実感しています。

心の持ち方が結果を左右する

講話の中で最も心に響いたのは、『心の持ち方が結果を左右する』という指摘でした。これは経営の本質を突いています。

私たち経営者はよく、成功企業の取り組みを研究します。『あの会社の朝礼を取り入れよう』『先進企業の評価制度を導入しよう』。しかし、その形だけを真似ても、期待通りの成果は得られません。

なぜなら、同じ施策でも、その根底にある『なぜそうするのか』という想いが違えば、全く異なる結果をもたらすからです。

実際、私たちコントリでも、様々な企業の事例を参考にしています。ただし、大切にしているのは、その取り組みの背景にある価値観や目的を深く理解すること。そして、それを自社の文脈に合わせて解釈し、独自の形で実践することです。単なる表面的な模倣ではなく、本質を捉えた実践が、真の成果を生むのだと確信しています。

まとめ:持続可能な経営のために

寺嶋氏の講話は、経営における『見える価値』と『見えない価値』の関係について、深い気づきを与えてくれました。

とりわけ印象的だったのは、この二つの価値のバランスが、企業の持続可能性を左右するという指摘です。創業間もない企業は、目の前の数字に一喜一憂しがちです。しかし、本当の企業価値は、日々の小さな心遣いや、目に見えない企業文化の積み重ねの中にこそ宿るのではないでしょうか。

私たちコントリは創業から10ヶ月。まだ試行錯誤の毎日ですが、「見えない価値」を大切にする経営を実践しています。例えば、社内での何気ない挨拶、クライアントへの細やかな配慮、チーム内での思いやりの言葉かけ。一つ一つは小さな行動でも、それらが織りなす企業文化が、必ず未来の大きな価値を生み出すと信じています。

最後に、このような深い学びの機会を提供してくださった一般社団法人倫理研究所 寺嶋朗圭研究員に、心より感謝申し上げます。

この記事を読んでくださった経営者の皆様、ぜひ一度、ご自身の会社における「見えない価値」について考えてみてはいかがでしょうか。

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