幼少期にこそ健康と体験を。「星」へ贈るプレゼント|一般社団法人ナチュラルボディバランス協会

子どもたちがもっと自由に、もっと健康にすくすくと成長していける場所を。そのような想いで一般社団法人ナチュラルボディバランス協会を立ち上げたのは、自身がオリンピック代表選手という経歴を持つ勅使川原 郁恵さんです。

日本のトップに立ったときに見えた世界、子育てを通して見えた世界、全霊で駆け抜けた日々が、すべての人の健康という大きな未来を見据えて動き出しました。同協会のユニークで本質的な取り組みの事例や、子どもたちの可能性を信じるマインドセットは、子育て中の方はもちろん、自分の可能性を見つめなおしたい私たち皆の胸に光を灯してくれます。

トップアスリートが届ける、健康な心と体の秘訣

コントリ編集部
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本日はどうぞよろしくお願いいたします。勅使川原さんは、一般社団法人ナチュラルボディバランス協会の代表の他、スピードスケート競技の引退後、個人でも多岐に渡る活動をされていると聞いています。それぞれの活動・事業について教えてください。

まず個人としては、長年スケートを続けており、ありがたいことにスピードスケートの日本代表として、オリンピックに3回出場できました。現在はその経験を活かしてJOC(日本オリンピック委員会)の専門部会の役員を務め、小学校や中学校を訪問し、子どもたちにオリンピックの素晴らしさを伝える活動をしています。

引退後には「歩く仕事=旅人」をしていた時期もありました。健康のためには足元が大切だと考え、靴のプロデュースも行っています。さらに、企業向けの講演や、ピラティスやヨガなど身体を整えることの指導もしています。これはプライベートレッスンとして行うこともあり、フィギュアスケートの子どもたちにも指導しています。

一般社団法人ナチュラルボディバランス協会においては、こちらも健康をキーワードに活動しています。子どもの頃から健康な体を作るためのサポートを行いたいと思い、立ち上げたのがこの協会です。大人になって、1から健康な体を作るのは難しく、幼少期の生育環境や食べ物が健康の土台になります。スポーツをメインに取り扱う「星のスポーツクラブ」のほか、親御さんや子どもたち向けにあそびや食育・学びの体験を提供し、健康な心身を育むための活動を行う「星のあそびば」などを企画・運営しております。

コントリ編集部
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「星のあそびば」の名前の由来を教えてください。

星は、夜空の星をイメージしています。それぞれの星が一つとして同じではないように、子どもたちそれぞれが個性を持って輝いているのだから、そのままの自分でいいというメッセージを込めました。「そのままでいいよ、輝いていこうね」という想いです。

また、勉強の場だけで学ぶのではなく、遊びの中からさまざまなことを学んでいくというのが私たちのスタンスです。スポーツも同様で、楽しみながら体を動かすことで、自然とスポーツを楽しむ姿勢が身についていきます。

食事・運動・アカデミーは、私自身がプログラムを考案しています。健康にとって必要な要素を全て網羅するために、必要な資格は随時取得していきました。

コントリ編集部
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健康というテーマにおいて、特に幼少期にフォーカスした理由を教えてください。

個人で子どもたち向けのウォーキングやピラティスの先生をする中で、なんだかんだ健康が一番大切だと感じました。全ての人を健康にするにはどうしたら良いかと日々考えています。健康な子どもたちが増えれば、その子どもたちが成長し、大人になった時に、健康な日本が作れるとイメージしていました。

また、自分が結婚して子どもが生まれたとき、育児や子どもの発達について調べることが増えたのもきっかけです。インターネットで調べると情報が多すぎて、本当に正しいのか不安になることが多々ありました。さらに、危険だからという理由で公園の遊具が撤去されたり、ボール遊びが禁止されたりするなど、子どもたちが自由に遊べる場所が減っている現状も目の当たりにし、なんとかしなければと感じました。

ちゃんとした知識を教えられる場所が必要だと感じ、自分がその場を作ろうと決意しました。昔は経験則で身に着けていた「おばあちゃんの知恵」を学べるところが良いだろうと考え、それが協会が運営している「あそびば」の形になりました。

コントリ編集部
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「星のあそびば」は親子向けの企画がとても多いですね。子どもだけを預かる形ではないのは、どのようなコンセプトがあるのでしょうか。

親御さんにも、一緒に学ぶ経験を届けたいと考えたからです。

昔と比べて社会が整備されたことで、親自身が画一的な環境で育っていることが多いです。だからこそ、子どもだけが学ぶのではなく親子で学べる場所が必要だと考えています。親も一緒に学ぶことで、家庭でも同じことを実践できます。どのイベントでも親子で参加することを推奨しています。

子どもの豊かで健康的な成長には食事も大事ですし、運動も重要で、さらにアートや自然との遊びも大切です。すべてが一つの場所で学べる環境を作れば、親も忙しい中で時間を有効に使え、悩みを解決できると思いました。

子どもたちの可能性が花開く瞬間

コントリ編集部
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「星のあそびば」に初めて来た方たちは、どのような感想を持たれますか。

さまざまですが、たとえば、自然体験をする回に、自然遊びが大好きなファミリーが参加されました。そのプログラムには運動のアクティビティだけではなく、色塗りの時間がありました。色塗りをするとなったときに、お父さんが「うちの子はこういうのは好きじゃないんですよ」とおっしゃいましたが、他の子どもたちが楽しそうにしているのを見て、その子は自ら参加しました。すごく集中して、楽しそうにカラフルに色を塗っていて、「うちの子って絵を描くのも好きだったんですね!」とお父さんも驚いていました。

このように、親も知らなかった子どもの好きなことや得意なことに気づいてもらえるのは、非常に嬉しいです。それまでは自然の中での遊びばかりさせていたそうですが、そのファミリーは今後、自宅でも色塗りをさせてあげたいと喜んでくれました。さまざまな体験をバランスよく経験させることで、子どもの可能性を引き出せると感じています。

コントリ編集部
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確かに、経験したことがないと好きも嫌いも広がって行かず、知らず知らずのうちに子どもの可能性を狭めてしまうかもしれません。子どもがのびのび成長できる環境が欲しいけれど、その場を知らないという方もきっと多いのだろうと感じます。

そうですね。スポーツでも、早い時期からサッカーだけやっていて、それしかやっていないという場合があります。お父さん・お母さんも忙しいですから、いろんな習い事をさせるのは現実的に難しいです。塾に行って、ピアノを習って、サッカーをやったらもうそれだけで大変です。そうなると、スポーツをやるとしても当然1つの競技になりがちです。しかし、1種類の競技では運動能力が偏ってしまいます。いろいろな動きや遊びを取り入れることで、運動神経や運動能力が総合的に向上します。

そういった考えのもと、「星のスポーツクラブ」や「星のあそびば」の運動においても、一種目に限らず、ボール遊びや走りも含めて多様なスポーツを用意しています。そこでも「うちの子はボールが苦手なんです」という親御さんもいますが、見守っていると、子どもは上手になっていきます。親御さんの気持ちをサポートし、子どもたちのやる気を引き出してあげることを、イベント中にも行っています。

コントリ編集部
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そういった視点は、個人や協会からの発信はもちろんですが、公教育にも取り入れることが理想的に感じますが、学校の教育プログラムに取り入れることは難しいのでしょうか。

確かに、与えられてやるよりも、自分で楽しんで学ぶ方が、学びとして身につきます。しかし、そういう教育を日本の学校カリキュラムの中で行うことはまだ難しいと思っています。小学校や中学校の教育のやり方を見ていると、先生たちは決められたプログラムを教えています。それは先生自身もそのように教育されてきたからです。

私は最終的に、子どもたちがやりたいことを学べる学校を創りたいと思っています。これからの時代に必要なことを教えられる学校を目指して、今は地道に活動し、賛同してくれる仲間を増やしています。

コントリ編集部
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すばらしい構想ですね!創りたい学校のイメージを詳しく教えてください。

まだ具体的な形は決まっていませんが、現在の活動と同様、親も子どもも一緒に複合的に学べる場所をイメージしています。親が学べる学校があれば面白いですよね。アートや音楽、スポーツ、科学など、様々な分野の専門家と協働して学びの場を提供したいと考えています。

共感してくれる人たちと力を合わせて、「学校」という言葉に縛られずとも、みんなが来れる場所になればいいなと思います。

コントリ編集部
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他の企業とのコラボなど、今後さらに広がりが出てきそうですね。

実は今度、キャンプ企画を考えています。今年の夏は1泊2日10組ほどの少人数で始めて、来年はもっと広げていけたらと考えています。その中で他企業の方とも一緒にできることがあれば、繋げていきたいですね。みんなでワクワクすることを形にしていけたらいいですね。

力強く進み続ける、心を燃やす原動力とは?

コントリ編集部
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引退されたアスリートが講師として活動されることは多いですが、現在のキャリアについて考え始めたのはいつ頃でしょうか。

中学生の頃から考えていました。現役中もそうですが、目標をちゃんと設定していました。たとえば、オリンピックを目標にした場合、4年間のうち1年をどう過ごすか、1週間のうち1日をどう過ごすかを逆算して考えていました。

私はスピードスケートで小学校6年生で日本一になり、中学校2年生で全体のオリンピック選手を含めて日本一になりました。この時、日本一になった自分がショートトラック界を背負うんだ、スピードスケートの魅力を伝える責任・使命があるのだと強く感じました。みんなに見られている立場として、しっかりしなければいけないと体感したのが、今のキャリアを構想するきっかけです。

コントリ編集部
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キャリアの達成に向けてどのようなことをしておられましたか。

競技を引退する27歳までの間、スポーツキャスターになりたいという夢もありました。中学2年生の時点で、オリンピックに出てメダルを取る夢と、スポーツキャスターになる夢を同時に持っていました。

キャスターになるためにはどうすればいいのかということも、現役中から考えていました。試合の場でキャスターの方と接触する機会も多かったので、その時に直接アドバイスを求めることもありました。そして27歳でやるべきことをやり切ったため、引退を決意したのです。引退を宣言した後はすぐに次のステップに進み、芸能事務所を回りました。こうして振り返ってみると、常に止まらずに走り続けてきたように感じます。

コントリ編集部
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本当に計画的に、新しい挑戦を続けてこられたわけですね。

そうですね。どれだけ現役時代に結果を出しても、引退後は若い子が続々引退してきて話題からは消えるので、引退後すぐにウォーキングトレーナーとして活動を始めました。ウォーキングは生涯続けられる仕事ですから。

コントリ編集部
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辛い時やうまくいかない時は、どうやって気持ちをリセットしていたのですか。

そもそも落ち込まないことです。私は落ち込む暇がないぐらい忙しくしていました。嫌なことがあっても、嫌ならその仕事自体を辞めてしまえばいいやと考える潔さもあります。ただ、辞めたくない理由があるなら、それは好きな仕事だということなので、どうすれば問題を解決できるかを考えるようにしていました。そういう発想で過ごしているため、いまだに「嫌なこと」は特にありません。ずっと好きなことをしている気持ちです。

コントリ編集部
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本当に前向きで素敵な考え方をされていますね。そのマインドが、悩みの多い現代の子どもたちに伝わっていけば、救われる人も増えると感じました。

おっしゃる通り、今の子どもには昔よりも悩みの種類が増えたり、親にも言えなかったりするようなこともあるでしょう。だからこそ、親とのコミュニケーションはすごく大事です。信頼できる人が一人でもいることがとても大切なんです。私は子どもたちにそのことを教えています。学校に行けない子や世の中から受け入れられない子どもがたくさんいて、親も悩んでいます。うちの子をどうしたらいいのか、どこに連れて行ったらいいのかと悩む親も多いです。

そこで、「コドモジブンケンキュウ」という活動を始めました。親子の生き方の選択肢を増やすことを目的として、親子で楽しめる体験型エンタメ教育イベントを開催しています。イベントの中で、子どもたちはスポーツ、アート、音楽などさまざまな分野を体験できて、実際に各分野で活躍する「本物」の人たちと触れ合い、自分の可能性を広げていきます。たとえば、アートの世界で活躍している人たちと直接触れ合うことで、学校だけが選択肢ではないと伝えることができます。好きなことを仕事にできると知ることで、親も子どもたちも安心すると思います。

コントリ編集部
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「本物」とは具体的にどういう人・ものだと考えておられますか。

スポーツの世界では、本物というのは非常に明確です。たとえば、オリンピック選手や世界で活躍するアスリートのフォームと、学校の体育の先生のフォームは全く違います。一流アスリートはとことん自身で考え抜いてトレーニングを重ね、成果を出しています。それが本物だと私は考えています。

そんな本物の一流アスリートと運動遊びをしたり、オペラで活躍している人たちと一緒に歌ったり、アートの世界で絵を描く体験をしたり。こうした体験やコミュニケーションを通じて、学校では学べないことを学び、視野を広げ、行き詰まって人生を諦めようとする子どもたちを救いたいなと思っています。

私は「これが大事だ」と思ったことは、すぐに行動に移します。おかげでいつも忙しいですが、とても充実しています。一人でも多くの子どもたちの考え方が変わり、救われることを願って、この活動を続けていきたいと思っています。

コントリ編集部
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ここまでのお話で、世界を相手にしてこられた方の本気の行動力に感服いたしました。ご家庭の教育方針や、子育て方針が影響しておられるのでしょうか。

はい、私は三姉妹の末っ子ですが、とても自由に育ててくれたおかげで、姉妹全員同じような自由で活動的なマインドを持っていますね。

真ん中の姉はアメリカ人と結婚してアメリカに住んでいます。結婚する時も「結婚した!アメリカに行く!」という感じで、とても自由な選択をしていました。私たちの家庭では「やりたいことをやりなさい」というのがスタンスなので、その点は親に感謝しています。

コントリ編集部
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コーチなど、周りの環境はいかがでしたか。

元々は父親がコーチをしてくれており、途中から外部のコーチを付けました。そこからは父は何も口出しすることはなく、心のケアや家庭の環境作りを徹底してくれていて、とてもありがたかったです。父親には一回も怒られたことがありません。

コントリ編集部
コントリ編集部

あえて手出しをしない、決めつけないという見守り方は非常に大切ですね。現代は特に、SNSなどの発達で比較されすぎるという悪影響があるように思います。

周りと比べて、一緒じゃなきゃいけないという親側のプレッシャーも変えてあげたいですね。海外のように、日本においても子どもたちが自由にスポーツやその他の興味を追求できる環境が整備されることを願っています。親が子どもの未来を真剣に考えるのは当然ですが、比較やプレッシャーではなく、子ども自身の持つ可能性を大切に育てていけるような、そんな社会の方が、親もずっと気持ちが楽になるはずです。

コントリ編集部
コントリ編集部

ありがとうございます。お話する前は現役のプレイヤーから法人の運営と、大きく舵を切り直されたような印象を持っていたのですが、研鑽と経験の中で作り上げたご自身の大きな軸に、全てが貫かれているということを強く感じました。輝く星がさまざまな形をとって子どもたちの元に届く未来を、私たちも心から応援しております。

コントリ編集部からひとこと

この度は貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。勅使川原さんとの出会いは、知人の紹介がきっかけで、まさに「ご縁」で繋がったインタビューでした。

輝かしい成績を残された元オリンピック選手ということで、緊張しながらインタビューに臨みましたが、実際にお話をしてみると、とても気さくにお答えいただきました。勅使川原さんの言葉には強いパワーがあり、子どもたちや日本の未来をより良いものにしていきたいという熱い想いを感じることができました。

コントリとしても、これからのなちゅぼさん、そして勅使川原さんの活動を応援していきたいと思います!

コントリ株式会社 代表 飯塚 昭博

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プロフィール

一般社団法人ナチュラルボディバランス協会
代表
勅使川原 郁恵

3歳からスケートを始め、中学2年生でショートトラック全日本選手権で総合優勝を果たし、その後、女子ショートトラック界のパイオニアとしての道を歩み始める。1998年の長野オリンピック、2002年のソルトレイクシティーオリンピック、そして2006年のトリノオリンピックと、3度にわたりオリンピックに出場。

現役を引退した後もスポーツキャスターやヘルスケアスペシャリストとして活動し、運動、食、睡眠といった「健康」をキーワードに、健康ウォーキング指導士、ベビーヨガインストラクター、食育インストラクターなど20以上の資格を取得。アスリート的な健康ライフスタイルを提唱しながら、二児の母としても日々の生活を大切にしている。

2017年5月には自身の経験を活かして、子どもたちの健全な成長を支援するために一般社団法人ナチュラルボディバランス協会(通称:なちゅぼ)を設立。未来を担う世代への新たな取り組みを積極的に行っている。

会社概要

設立2017年5月
所在地東京都中央区銀座7-10-6 アスク銀座ビル5F
従業員数2人
事業内容星のあそびばの運営、親子向けイベントの開催など
HPhttp://star.nbba.or.jp

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