実戦型スキル教育が切り開く、ひとりひとりの未来への挑戦|株式会社 DIK & Company
「夢を持て」「あなたのやりたいことは何?」そのように問われて、言葉に詰まったり、無理矢理それらしいことを並べた苦い経験がある方も多いのではないでしょうか。株式会社 DIK & Companyの代表・中田元樹氏は夢を描くために必要なものは「スキル」であると、ビジネスの現場で即戦力になるための数々の研修を作りあげました。
できることが増えれば、視野が広がる。自信と実績が生まれれば、次の一歩が明確になる。これから社会に出る方にも、社会の中でふと立ち止まってしまった方にも、ぜひ届けたい事業とメッセージをお送りします。
教育とコンサルティングの融合事業
本日はよろしくお願いします。まず、御社の事業内容について教えてください。
トレーニングキャンプという、ビジネスパーソンのスキルアップを目指した研修事業を運営しています。代表的なサービスとして、ExcelCampやPowerPointCamp、ChatGPTの活用力を高めるBotCamp、Microsoft CopilotCampなどのバリエーションを展開しています。これらのツールを使ってデータやAIの活用スキルを向上させることが研修の目的です。
もう1つの事業では、AIを用いた業務改革支援や、AIの導入・活用のためのコンサルティングを企業向けに行っています。
現在は1つめのトレーニングキャンプがメイン事業ということですね。
元々はコンサルティング会社だったのですが、その中の教育トレーニングがお客様のニーズにフィットしたため、約2年前から主軸を移し始めました。トレーニング事業に特化することでより社会貢献ができることも、方向転換の決め手になりました。
私は教育業界でも働いたことがあります。コンサルティングと教育を組み合わせてスキルを持つ人材を育てることで、新しいサービスを創り出せると考えました。特に大切にしていることは、データ分析の力を活用しビジネスを推進するビジネスリーダーの育成です。当社ではそのような人材を「データリーダー」と呼んでいます。データ活用やDXを推進するにあたり、時には専門人材として外部コンサルタントの力を借りることも重要ですが、自社でスキルを持つ人材を育成することも本質的な施策であると捉えています。
教育事業への転換はスムーズに進んだのでしょうか。
特に問題はありませんでした。仲間にも恵まれ、トレーニングキャンプを受けてファンになり、入社してくれた方もいます。私たちのトレーニングでは、知識を学ぶだけでなく、無意識レベルで再現できるスキルを高めることに重点を置いています。そのために、反復練習を通してスキルを身につけてもらいます。
初心者でも必ず「できる状態」で研修が終わるように、体で・手で覚えることに特化しています。研修は8~9時間単位で行います。長丁場で少しハードですが、研修の前後で確実にスキルが上がりますし、生産性も向上し、非常に効果的だと自負しています。
事業をスタートしたきっかけを教えてください。どのような経緯で独立を考えたのでしょうか。
20代の頃から、ゆくゆくは自分で事業をやりたい気持ちがありました。いろいろな会社で経験を積み、副業として複数のプロジェクトにも携わりました。プロジェクトワークは好きでしたね。その経験の中で、ExcelCampやコンサル事業のニーズが見えたので独立しました。プロジェクトの一部には自分で企画して始めたものもありますが、お客様からの相談を受けて始めたものも多いです。
経営の想いと社員の成長
自分が経営をするならこんなことがしたい、というビジョンは当初からありましたか。
漠然としたイメージでしたが、自分が作った事業で世の中を変えたい、大きなインパクトを出したいという思いがありました。今もその思いの先におり、あまりギャップを感じることなく進められています。
ご自身はどのようにExcelのスキルを習得されたのでしょう。
コンサルティングの現場でひたすらデータ分析をしていたのですが、その経験が積もり積もってトータルの訓練時間が1万時間を超えたことが大きなポイントです。元々データ分析が好きだったというよりも、たまたま配属されたチームがデータに強く、その環境に順応した形です。最初から「これをやる」と決めていたわけではなく、流れに任せてやっていくうちに身体にスキルがなじんでいきました。
決め打ちせず、流れに任せる考え方は今の時代に合っていると思います。今後の事業展開はどのように考えておられますか。
教育事業においては、”実戦”教育を軸にしています。
ありがたいことに、当社のサービスは多くの方がリピーターになってくださいます。それは目に見える効果が出るからです。たとえば、ExcelCampを受けると、業務時間が平均で21分短縮されます。単純なスピードアップだけでなく、今までできなかった種類・クオリティのデータ分析も可能になります。一度ExcelCampを受けた方が、手応えを感じて別のキャンプを受けてくださるケースも多いですね。
リピートしてくださると、顧客の方への思い入れも強くなると思います。印象的なエピソードはありますか。
法人のお客様が多いため詳細は控えますが、まったくのExcel初心者だった方がデータリーダーとして活躍するようになったり、資料作成で高い評価を受けるようになったりした方もいます。新しい能力を身につけ、明確な武器として評価される。そんな結果に牽引していけるのは嬉しいことですね。
キャンプをきっかけに当社に入社してくれた社員もいるとお話ししましたが、皆さんのレベルは非常に高いです。最初こそ生徒の立場でしたが、今では私よりも能力が高い社員が多いぐらいです。
社員の方が成長していく秘訣はなんでしょうか。
私が直接指導をしてどうこうというよりも、皆さんが自ら考えた結果として成長しています。お客様に価値を提供する中で、自然と成長していく環境が整っています。社員には大きな事業を動かせる人材になってほしいと思っており、そのための権限も与えています。世界一の実戦教育機関を目指し、少人数でも一丸となって取り組んでおります。
そんな良い出会いがあるのも、トレーニングキャンプのおかげです。研修を通じて多くの人に出会え、気の合う人たちと繋がることができます。これが採用機能の第一段階を果たしていると感じています。また、社内イベントを積極的に行うことで、仲間との絆を深めています。最近は、ダンスや料理を一緒に楽しむことが多いです。
ここ数年、社会的にリモートワークが増えてきていますが、リアルで会うことはとても重要だと考えています。社内イベントで直接顔を合わせることで、コミュニケーションが深まっていることも、長く続けられる理由の一つでしょう。
御社では創業当初からリモートワークを取り入れていたとうかがいました。
はい、創業当初はSkypeを使っていましたが、現在はZoomを利用しています。コロナ前からリモートワークを実践していたので、アフターコロナの働き方の移行については、まったくハードルはありませんでした。日常の業務にリモートが組み込まれているからこそ、イベントなどの直接会う機会を増やすことでバランスを取っている面もあります。リモートワークの利便性は活かしつつ、リアルな交流も大切にしています。
国を超えて、スキルで生きていくということ
今後の会社のビジョンを教えてください。
まずは日本で今の活動を継続しつつ、AIの発展に伴って展開していく予定です。具体的には、教師の役割はAIが果たし、人間はコーチングを行うというスキームを早めに形にしたいと思っています。当社は資格教育や受験教育ではなく、実務で必要なスキルを習得していただくことを重視しています。データ分析・資料作成・リーダーシップ・語学力など、ビジネスで求められる力を育てる仕組みを、世界中に展開したいと考えています。
世界に展開する際の思いや目標はありますか?
スキルは万国共通です。私が海外でExcelの技術を披露すると、いつも驚かれます。スキルを活かして多くの人のキャリアを変え、可能性を広げたいです。スキルを持っていればどの国でも評価されます。
たとえば日本語と英語が話せて、論理的思考ができ、ツールも使える人材ならば、外貨を稼ぐこともできます。さらにAIの活用もかけあわせれば、挑戦の幅が広がります。日本はChatGPTの活用が進んでいますが、他国でも活用を推進し、生産性を向上させるプロジェクトを行いたいです。日本での成功例を持って、世界に挑んでいくのが次のフェーズです。
ご自身の起業やこれまでの事業展開のご経験を踏まえ、新規事業やキャリアアップを考えている人へのアドバイスをお願いします。
まだ若い方でしたら、20代の過ごし方をとにかく大切にしてください。この時期にどれだけ頑張れるかで将来が決まるといっても過言ではありません。私自身、1万時間をデータ分析に費やしたことが本当に大きい財産になっています若いうちに多くの経験を積むことが大切です。自己投資を惜しまず、欲しいものは手に入れ、やりたいことに挑戦してください。
もちろん、仰々しく「やりたいこと」を見つけなければならないというわけではありません。国の教育方針が「夢を持とう!」に偏りがちで、そのせいで「やりたいことがみつからないんです病」の人が増えてしまっています。しかし、やりたいことを見つけるには、できることを増やす方が先です。英語が話せるようになれば、それまでは思い描いたことがなかったとしても、海外で働くことが視野に入り始めますよね。やりたいことを見つける前に、まずできることを増やす。そうすれば自然とやりたいことが見つかるはずです。
確かに、やりたいことがないからという理由で足踏みしてしまう方は多いです。まずはスキルを身に着けて、その先に夢が生まれてくると言われる方が、漠然と「夢を持て」と言われるよりも安心できます。いよいよ、若者向けのトレーニングやキャンプに期待が集まりますね。
そう思って力をつけていってくだされば嬉しいですね。
これまでは社会人と企業向けをメインに活動していましたが、今は教育機関向けにも力を入れ始めています。7月の下旬には、大学生向けのAI研修を行いました。大学生を鍛えることは、社会を一気に活性化させる鍵になると思っています。
学生の方にはコストを理由に研鑽を諦めて欲しくないので、学生が無料で多くのことを学べる環境を整えたいです。将来的には、日本の大学生の10%超が当社のキャンプを通過して社会に踏み出していく状態にしたいと思っています。これにより、日本全体のスキル教育が進み、早い段階で実戦的なスキルを身につけられるようになります。
国を変えていく、非常に意義深い取り組みですね。
繰り返しになりますが、教科書的な受験勉強よりも、実際に使えるスキルを身につけることが、ビジネスの現場においては重要になります。机上の資格教育ではなく、実社会で役立つ実戦スキルを提供する第一人者として、当社がそれを広めていきます。「じっせん」は「実践」とも書くことができますが、ビジネスのフロントで実際に役立つスキルという意味で、「戦う」を用いた「実戦教育」こそが当社の志です。一人でも多くの方に届けられるよう、今後も邁進していきます。
ありがとうございます。私自身、いち社会人として、自分の力がぐっと引きあがる御社のキャンプにぜひ参加してみたいと思いました。夢とスキルのバランス感覚など、社会に出る前にずばり教えてもらえる機会は案外少ないものです。ビジネスシーンでの、新しい教育の可能性に気付かせていただきました。
コントリ編集部からひとこと
「世界一の実践教育機関を目指す」とおっしゃった中田社長。その裏には実際に海外で働く中で、自身のデータ分析スキルが世界で通じた経験や、どうせ働くなら仲間と世界一を目指したいという仕事に対する哲学が込められており、改めてデータ分析というビジネススキルの存在意義と中田社長のしなやかで且つとても力強いビジネスマンとして姿勢が伝わりました。またインタビュー中は終始穏やかでどんな質問にも真剣に回答くださる姿や、社員に対しても相手を信用してどんどん仕事を任せるスタンスに、信頼関係を重視した経営者であることを強く感じました。一方で遊びにも周囲を巻き込み全力で取り組むという明るさや遊び心も大切にされており、知的な分野のお仕事とのオンオフの切り替え上手な一面も。個人のビジネススキルを向上することで日本全体の生産性をあげることに貢献したいと語る中田社長が目指す、世界で通じるビジネススキルを持つ日本人が活躍する未来は遠からず訪れるのではないかとワクワクした思いでお話を聞くことができました。
インタビュアー 山﨑 千明
ギャラリー
プロフィール
株式会社 DIK & Company
代表取締役
中田 元樹
1984年生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、教育業界からコンサルタントに転身。データ分析を強みとし、日本IBMやNTTデータ経営研究所で活躍。現在はDIK代表として企業向けコンサルティングや研修事業を展開。2016年より「上位1%を目指す!ExcelCamp」を開催し、国内外で高い評価を得ている。業務改革、システム構築、グローバル物流改革など幅広い分野でのプロジェクト経験を持ち、データ分析と業務最適化のスペシャリストとして活躍中。著書に「神速Excel」(ダイヤモンド社)がある。
会社概要
設立 | 2018年8月 |
資本金 | 500万円 |
所在地 | 東京都千代田区神田錦町1-17-1 神田髙木ビル7階 |
事業内容 | DI/DXコンサルティング、開発運用 研修事業(Excel、PowerPoint、ChatGPT、その他AIツール) メディア運営 |
HP | https://excelcamp.jp |