おそうじを通して地域の人々に豊かさを届ける【株式会社フジカンパニー】
お掃除という事業を通して、地域の人々に豊かさを届けるという理念を掲げて栃木県壬生町を拠点に活動する株式化式会社フジカンパニーの代表取締役 大塚拓真様にインタビューをさせていただきました。
ハウスクリーニングという独立しても軌道に乗せるのが難しい業界で、着実に成長し続けているその経営手法について迫っていきたいと思います。
ハウスクリーニングで独立したい方はもちろんのこと、それ以外の業種で独立したい方の参考になる内容であれば幸いです。
株式会社フジカンパニーの事業について
まずは御社の事業について教えていただけますでしょうか?
弊社で手がけている事業は「ハウスクリーニング」「エアコンクリーニング」が主になります。
実際には、店舗やクリニックなどの法人が所有する建物全体のクリーニングを行い「キレイを保つ」というような事業をやっております。2019年に私が1人で独立して始めた事業なのですが、多くの方の支えのおかえげでお仕事が少しずつ増えて、そのうち人手が足らなくなっていってしまいました。
私がやりたいのは、たくさんの人に「お掃除を通して豊かさを伝えたい」ということなのですが、1人でこれを実現するのは絶対無理だと思うようになりました。
この考え方に共感してくれる人だったり、仲間を増やすっていうところで人材を雇っています。しかし、私がまだプレイヤーの割合が大きい状態なので、これからは、プレイヤー兼マネージャーとなり、マネージャーの割合を徐々に増やしていきたいなと考えています。
現在は従業員さんは何人くらいいらっしゃるのでしょうか?
現在、弊社には従業員が2人いるのですが、大きい現場の場合は、私も含めた弊社スタッフ3人ではやりきれないんですね。そのような場合は、私が加盟しているハウスクリーニング協会に加盟している他のお掃除業者さんと一緒にお仕事をしたりもします。大規模なものだと15社ぐらいでやったこともあります。このように仲間と一緒に事業を作り上げていくというのが今の弊社の仕事のやり方ですね。
2019年の独立してから1年ぐらいやってみた時、これ以上事業を発展させるためには1人じゃ厳しいという結論に至りました。その時から外注、つまり同業の仲間に仕事をお願いすることが多くなってしまったので、これであれば従業員を雇えると思いました。弊社のスタッフは2人いますが、両方とも女性です。これは弊社の強みだと思っておりまして、この業界で働く女性というのは少ないのです。
例えば、エアコンクリーニングを実施する時は、専門的な男の人がやるのが良いかもしれないですが、例えば水回りなどのクリーニングでは、女性のきめ細やかさが必要になります。あとは、女性という存在が価値なっていたりもします。男性2人でお客様のところに行くよりも、男女ペアでお伺いした方が圧倒的にお客様は安心します。
これが私がやりたかったことの一つです。実際にお客様はクリーニングを依頼した時には「男の人が来る」というイメージを持たれています。そこに女性が現れるとお客様は「新鮮ですね!」という反応をしてくれます。
女性のスタッフさんだとやれる仕事も限られるのかなと思ってしまうのですが、そのあたりはどうされているのでしょうか?
弊社のスタッフの場合は「女性だからできない」ということはなくて、エアコンのクリーニングなども全然できます。お客さんもびっくりされます。すごいね!女性でできるんだね!と言っていただけます。
お客様によっては、女性スタッフがエアコンのクリーニングや分解してるのを見て「すごく何か勇気をもらいました」と言っていただけるケースもあります。
基本的にエアコンの分解というのは、男性がやるイメージを持たられている方が多いのですが、弊社の場合は女性のスタッフがエアコンを普通に分解してクリーニングしてしまいます。
事業を始めたきっかけについて
現在の事業を始められたきっかけについて教えていただけますでしょうか?
専門学校卒業後に地元(栃木県壬生町)の家族経営のスーパーに勤めていたのですが、「もっとこうした方がが良いのでは・・・」という意見もあまり通らなかったりで、何か違うなと思って製造業の仕事に転職しました。ただ、ここでもあまりやりがいは見出せませんでした。。。
むしろ、仕事の内容的にはスーパーの時の方が面白かったです。物を売ったり、お客さんに喜んでもらうことが楽しかった。やはり自分にはサービス業のような仕事が良いなと思っていました。
「自分の好きなことで地元で仕事できないかな?」と考えていたのですが、実は水回りの掃除をするのとかが好きだったので、これが仕事にならないかな?ということで色々と調べ始めました。インターネットで調べてみると、某大手フランチャイズお掃除会社(以下、FC)の情報が出てきました。これで独立できると思って、早速、宇都宮で開催されている説明会に妻と一緒に行きました。その話を聞いた時に私は熱が入ってしまったんですね。でも妻は冷静でした(笑)「もうちょっと考えた方がいいんじゃない?」と(笑)
でも、FCさんは加盟店を増やしたいので、既に加盟しているオーナーさんと話してみませんか?という提案をいただき、都内にある本社まで話を聞きに妻と行きました。都内にある高層ビルが本社なのですが、その高層階の窓際の部屋でそのオーナーさんの成功体験を聞いてしあまったので、私の中では「やるぞ!!」という気持ちがあったのですが、妻はまた冷静でした(笑)
「どうせすぐやらなくなっちゃうんだから、5年くらい経っても自分の想いが変わらないのであればやってもいいよ」と言ってくれました。確かに、製造業の会社に転職してそんなに経ってなかったので、妻のアドバイスを聞き入れることにしまいた。結果的にこれがすごく良かったのです。この5年間に色々と業界のこともリサーチできました。新しい店舗ができても、すぐになくなってしまうという現状も確認でき、フランチャイズというものがなかなか厳しいものだということを知ることができました。
実際に私の自宅のエアコンも、独立する前にFC加盟店の業者さんに掃除してもらったのですが、その店舗も1年後にはなくなってしまっていました。このようなことを知ることで、FCでの独立っていうのは厳しいという明確な判断ができました。これが私の中ではすごく良かった。妻には本当に感謝しています。
奥様のビジネスセンスが光っていますね!!
その後は、どのような形でお掃除事業で独立するということを実現されたのでしょうか?
リサーチ期間中も、私の中ではお掃除の仕事をやりたいという気持ちはくすぶっていました。ある時、地元のイベントで関わった先輩経営者から「本当にやりたいことあるんだろ?」という話をされた時に「実は、掃除で独立してみたい」ということを話した結果、その先輩の後押しもあって流れで独立する感じになってしまいました(笑)
改めてお掃除ビジネスについて調べてみたところ「ハウスクリーニング協会」に出会いました。ハウスクリーニング協会は、フランチャイズではなく、お掃除ビジネスで独立するためのノウハウや知識を教えてくれる組織で、その認定校が栃木県の佐野市にありました。
早速、妻と一緒に説明を聞きに行きました。その結果、フランチャイズでなくても自分でお掃除ビジネスをできる時代になっているということを確信しました。事業を始めるということは自分だけの問題ではないので、妻の実家に事情を説明しに行ったりもしつつ事業をスタートすることにしました。パッと始めたわけじゃないですよ(笑)
今までで一番感動した出来事について
今まで事業をされている中で一番感動した出来事があれば教えていただけますでしょうか?
業務用エアコン40台をクリーニングするというお仕事をいただいたことがありました。40台となると、弊社だけじゃ到底対応しきれないボリュームでした。このような場合には、ハウスクリーニング協会やそれ以外の同業の仲間と一緒にチームを組んで対応していきます。このような時に協力していただけるかどうかというのは、日頃の付き合いがしっかりとできているかどうかが重要だったりします。結局、15社くらい集まっていただいて、その大きな仕事を成し遂げることができました。
このチームメンバーを選定する際には、即戦力でその仕事をやれる人間だけを呼んだわけではなくて、開業したての人や経験が浅い人にも声をかけました。これは、私が開業した時の経験が活きています。当時、現場で教えてくれる人は周りにほとんどいませんでした。しかし、この仕事で成長するために大切なのは現場経験だと思っているので、今回のような40台もの業務用エアコンのクリーニングを経験できるということにはとても大きな意味があります。
最終的には、1台のトラブルもなく全てのクリーニングが終了しました。チームに参加していただいた方々も喜んでいただけたので、とても良い仕事ができたと思っています。
先に経験している先輩は、経験をしていない後輩が来たときには、蹴落とすのではなくて一緒に手を差し伸べることが大切だと思います。このように一緒に大きな仕事を成し遂げて、それがお互いの得になるというのが最高ですよね。
今までで一番苦労したしたエピソードについて
独立されてから今までの中で一番苦労された時のエピソードなどがあれば教えていただけますでしょうか?
今考えれば、教えてくれる人が少なかったというのが一番苦労したところなのかな思います。佐野にあるハウスクリーニング協会の認定校には、先生はいるのですが、私よりも先輩がいませんでした。本当に少ない情報の中でやるしかありませんでした。
今思えば、絶対そのやり方違うだろうなということもしていましたが、その時は分からないですからね。。。この経験があったので、今では大抵のことはどうにか教えられるようになりました。特に最初の1年目は無我夢中でしたので、「とにかくやっていくしかない!」という感じでしたね。
お客さんから「これどうにかならない?」というように言われたら、どうにかしたいと思ってしまいます。使命感ですよね。当然、チャレンジして失敗したこともありました。頭を下げることもありました。保険を使ったこともありましたね。
現在の事業に対する「想い」「大切にしていること」「やりがい」について
現在、事業をされている中で意識されている「想い」や「大切にしていること」「やりがい」などがあれば教えていただけますでしょうか?
「地域の人に豊かさを届ける」というのが弊社の理念です。この理念を最初の段階でしっかりと浸透させることが大切だと思っています。現場で迷った時に、もし私がいなかった場合、最後は「理念」を頼って自己判断してよいとスタッフさんには伝えています。それで何かあったら責任は私が取るからと明確に伝えています。
社員さんは、判断基準(理念)がないと「どうすればいいですか?」と迷ってしまうと思います。しかし、しっかりとした理念があれば、自分が迷った時にも最終的に適正な判断できるようになる。
最近はそれをすごく大切にしています。「何をやりたいですか?」「何のためにやってるのですか?」と言われても、ほとんどの人は答えられません。それはスタッフ本人の問題ではなくて、こっち側(経営者側)の問題ですよね。
そのように考えるようになったきっかけがあったのでしょうか?
一緒に働いてくれていた社員さんが辞めてしまったのがきっかけです。その時、私の中に理念はありましたが、社員さんに共有したりといったことはできていませんでした。その社員さんに動いてもらうために、結構きついことを言ってしまったりして、結果的に辞めてしまいました。そこで初めて自分の間違いに気付いてとても後悔しました。社員さんが1人いなくなってしまうと、仕事回らなくなってしまいました。同じ過ちを繰り返さないように、自分自身が変わらなければならないと思いました。
その社員さんは、喧嘩別れのような感じで辞めてしまったので、その後の関わりは無くなってしまうかと思ったのですが、意外とそうでもありませんでした。その元社員さんは、独立して自分で掃除ビジネスをやることになったのですが、弊社とは別の現場に入る経験などもした結果、「大塚さんのやり方が一番良い」と思っていただけたみたいで、「大塚さんのとこでやっててよかったですよ!!」と言ってくれるようになりました。これは本当に嬉しかったです。ただ、「戻ってくるか?」というオファーに対しては「大丈夫です。」と断られました(笑)
フジカンパニーで働いてくれていた時は、汚いトイレの掃除などは絶対にやらなかったのですが、独立した後はそういった仕事もやるようになったようですし、スキルも向上したようです。以前は週3回働くだけでいいと言っていましたが、今は週7ぐらいで働いているということです。「もう忙しくて死んじゃう〜」と言いながら仕事してます(笑)
本当に立場が変わると人って変われるんだなと思いました。彼女とは今までは雇用主と従業員という関係でしたが、今は対等な事業主どうしという立場です。とてもいい関係を作れていると思いますね。
今後のビジョンについて
最後になりますが、今後のビジョンについて教えていただけますでしょうか?
より多くの人に、サービス使ってもらって喜んでもらいたい。そのために組織化していきたいと思っています。そのために、マネージャー候補となるような男の人を募集しています。私自身が少し現場から離れて、教える立場になって教育していきたいと思っています。この業界は、独立したい人に対してしっかりとした技術を教えていく必要があります。
私はハウスクリーニング協会の認定校の指導員ではないのですが、栃木や北関東の指導員という立場になっています。私に色々と教えてくれた先生のサポートや困ってる人に対するアドバイスなどもしています。自分だけではなくて、みんなで良くなっていけたらいいなと思っています。それがまず1つの目のビジョンです。
あとは、フジカンパニーという会社がの理念である「人々に豊かさを与えて」というのをお掃除だけじゃなくて、その他のことでも「豊かさ」というのを伝えられるようなこともやっていきたいと思っています。
ちなみに、現時点で考えられている新規事業などは何かあるのでしょうか?
レンタル事業をやろうかと考えています。お掃除関係で使用する洗浄機などのレンタルですね。この事業は掃除事業の付随サービスとして考えています。
その他ですと、車のシートクリーニングなども考えています。実はこの事業を行うための機材は既に持っています。それをどういう形訴求していくかというところで差別化しようと考えています。
車屋さんがやるシートクリーニングと、ハウスクリーニングの専門業社がやるシートクリーニングではどっちが質がいいかというところを訴求していきたいですね。
コントリ編集部からひとこと
この度は大変お忙しい中、株式会社フジカンパニーの大塚社長にお時間をいただき、様々な角度からお話をいただきました。
その中で私たちが強く感じたのは、自分だけ良ければいいではなく、社員さんやお客様含めて大塚社長の周りにいる方に対していかに「豊かさ」を提供できるか?という軸に沿って考え、行動されているということです。
自社の成長だけでなく、ハウスクリーニング全体のことも考えられているなど、とても広い視野を持って活動されている株式会社フジカンパニーの今後の飛躍がとても楽しみです!
大塚 拓真様 プロフィール
1984年7月21日に栃木県壬生町に生まれ、専門学校卒業後に地元のスーパーに就職。その後、製造業での仕事を経験した後にハウスクリーニング業として独立。その後、株式会社フジカンパニーを設立して代表取締役となる。
開業してもあまり長く続かない方が多いハウスクリーニング業界で、「人」を大切にするという経営手法で成長を続けている。
趣味はカメラやギター、キャンプなどで、リーダーを努めるバンド「ミートボールアドベンチャー(現在活動休止中)」ではインディーズデビューを果たしたり、イベントでMCを務めるなど、多方面で活躍している。
座右の名は「努力は裏切らない」。
【会社概要】株式会社フジカンパニー
設立 | 2019年 |
所在地 | 〒321-0222 栃木県下都賀郡壬生町駅東町9-23-3 |
従業員数 | 2名 |
事業内容 | エアコンクリーニング・洗浄 キッチン、台所クリーニング レンジフード・換気扇クリーニング 浴室・お風呂クリーニング 洗面台・洗面所クリーニング トイレクリーニング 洗濯機クリーニング お引越し、入退去時のハウスクリーニング |
URL | https://www.fujicompany.info |