
『みんなが喜ぶ』を追求する元プロファイター・大山峻護のファイトネス企業研修と人間力
「みんなが喜んでくれるのが一番嬉しいです。それだけです」——。
エーワールド株式会社 代表取締役・大山峻護氏の言葉には、25年間続けてきた「ご縁繋ぎ」と日本初の格闘技企業研修で培われた深い人間愛が込められています。元プロファイターから企業研修の革新者へ。そして今も変わらず仲間を大切にし続ける大山氏の人生哲学には、現代の経営者が忘れかけている「本当の成功」への道筋が見えてきます。
日本初の挑戦「ファイトネス×企業研修」誕生秘話
引退後の絶望から、一つの光が差した瞬間がありました。大山氏が振り返ります。
「引退して真っ暗になっちゃったんですよ。何も考えてなかったから。俺1人なんだと思ってすごく寂しかった。でも逆に、離れていく人もいたから心に火がついたんです」
10年前、プロファイターとして活動していた大山氏は、アスリートの多くが直面する「ネクストキャリア」の壁にぶつかりました。目標を失い、孤独感に苛まれた日々。しかし、その絶望こそが新たな道を切り開く原動力となったのです。
「社会人白帯なんで、いろんな人にぜひ教えてくださいって伝えて回りました」と謙虚に語る大山氏。そんな中で出会ったのが、厚生労働省によるストレスチェック義務化という時代背景でした。
「ある経営者の方が『社員さんたちが病んでる』という話をしてくださって。僕の運動プログラムでみんな元気になれたら最高だなと思ったんです」
現役時代の資料をコンビニでコピーして、スーツを着て会社回りをした日々。格闘技と企業研修という前例のない組み合わせは、こうして誕生しました。
1時間で心が変わるファイトネス企業研修〜チームビルディングと喜びの共有体験
「最初はもう怖くて、みんなおどおどしながら僕のことを見るんです。どんな研修が始まるんだろうって」——大山氏の企業研修は、参加者の緊張から始まります。
しかし、その空気が劇的に変わるのに必要な時間は、わずか1時間です。
「1時間で、もうみんなお祭り騒ぎなんです。間違いなく。体の状態が変わると心の状態が変わるってことを知ってるから」
研修の核となるのは、チームビルディングと喜びの共有体験。ファイトネスの動きをビジネス向けにアレンジした独自プログラムで、参加者同士の絆を深めていきます。
「90分という時間設定も絶妙なんです。焼肉も食べ過ぎると苦しいでしょ?絶対に加減が大切。この加減もやっぱり経験なんですよね」
10年間で培った「読み」の技術。参加者の表情、疲労度、空気感を瞬時に判断し、プログラムを柔軟に調整していく。これこそが、大山氏の研修が高い効果を上げる秘訣です。

科学的根拠「体の使い方で心が変わる」メンタルコントロール術
「アスリートはメンタルが強いですねって言われるでしょ。全然そんなことなくて、アスリートも全然みんなと一緒で落ち込むんですよ」
大山氏の言葉は、多くの人が抱く「アスリート=メンタル最強」という固定概念を覆します。
「アスリートは何がすごいかというと、メンタルのコントロールの仕方が上手なんです。体の状態を変えると心の状態が変わってくる。イチローの一連のルーティンじゃないけど、それぞれ皆さん持ってるんです」
深呼吸、目線を上に上げる、堂々と歩く——これらのルーティンが心理状態をコントロールする科学的メカニズムを、大山氏は実践的に教えています。
「心を強くしたいって思うと、すごく実態がないから難しいんです。でも体の使い方を変えましょうだったら、みんなができるから」
この理論を企業研修に応用することで、参加者は短時間で確実な変化を実感できるのです。
100社の実績が証明する効果と「加減」の重要性
「5年で100社以上の実績を積むことができました」
大山氏の実績は数字だけでも驚異的ですが、その背景にある「加減」への深いこだわりが成功の鍵となっています。
「みんなの疲労度を見て、ここまで用意してたけどやめとこうみたいな。特に経営者の方は疲労困憊で来る日もあるし、その日その日によってコンディションが違うから」
柔軟性こそが大山氏の研修の真骨頂。決められたメニューを機械的にこなすのではなく、参加者一人ひとりの状態を読み取り、最適な体験を提供していきます。
「パーソナルトレーニングでも、1時間の予定でも40分で終わるときがあります。それもみんなの加減次第ですね」
この細やかな配慮が、参加者に「また受けたい」と思わせる研修の秘密なのです。

仲間への想い「ファイター講師」を育てる理由
「企業研修は、できるだけ他の仲間のファイターに行ってもらうようにしています。そういう人たちのセカンドキャリアの新しい道を作ってあげたいんです」
大山氏の言葉からは、同じ道を歩む仲間への深い愛情が感じられます。現在、3〜4人のファイターを講師として育成中。彼らと一緒に研修現場に赴き、実践的な指導を行っています。
「やっぱり経験値が大切だから。空気感は経験じゃないとつかめないところがあるじゃないですか。だから現場に来て、必ずファイターにやり方を見て感じてもらっています」
アスリートの選択肢の少なさを身をもって体験した大山氏。「ファイター=ジムの経営、お相撲さん=ちゃんこ屋さん、野球選手=焼肉屋さんみたいな、決まりきった道しかなかった」という実体験があるからこそ、新しい道を切り開くことへの使命感が生まれています。
25年続く「ご縁繋ぎ」に込められた人生哲学
「網膜剥離での入院中に、面識のない友達同士が見舞いに来てくれて、みんな病室で時間を持て余すからその友達同士が喋り始めたんです。病室を出る頃にはみんな仲良くなってた。同じ空間にいると人は仲良くなるんだと思って」
網膜剥離での入院中に発見した人間関係の法則が、25年続く「ご縁繋ぎ」の出発点でした。
「1人1人に個別メッセージを送るのは、すごく大変なことなんです。でも手間暇に想いが入るんですよね。効率化とか考えちゃうけど、絶対手間暇なんですよ」
180人が集まった奥様の誕生日サプライズでも、大山氏は一人ひとりに個別のメッセージを送りました。そこには深い人間観が込められています。
「お寿司の職人さんも、朝早く行って仕入れして仕込みして、一生懸命して出すから美味しいじゃないですか。回転寿司と全然違う。やっぱり手間暇なんですよ」
AI時代だからこそ、人の手による「想い」の価値はますます高まっていく——大山氏の予言は、現代社会への鋭い洞察でもあります。

「みんなが喜ぶ」を最優先にする経営者としての心構え
「我が入ったら駄目なんです。我が入ったときは全部駄目」
大山氏の経営哲学の根幹にあるのは、「我」を排除することへの絶対的な信念です。
「心の軽さ重さをすごく大切にしてて、軽いときって大体わくわくしてるときだったり、人のためにと思ってるときなんですよね。でも俺がとか自分がとか、執着になったときに重くなるんです」
この感覚は、胸のあたりで物理的に感じられるといいます。同じ「好き」でも、「人生の果てまで好きだから」という重い愛情と、「すごく好きだよ」という軽い愛情では、受け取り方が全く違うのです。
「昔は友達がいなかったから、世界中に認められる富と名声を持ったとしても今の仲間と会えないのは絶対にやだ。今の人生が最高なんです。1人1人が僕の自慢なんです。みんなが宝物っていう感覚なんですよ」
幼少期のコミュニケーション障害を乗り越えた大山氏だからこそ、人との繋がりの尊さを誰よりも深く理解しているのです。
困難を「ギフト」と捉える前向きな人生観
「僕は難病が発覚したときも、これは神様からのギフトだと思ってます。全然悪いことだと思ってない」
大山氏の人生観は、一般的な成功・失敗の概念を根底から覆すものです。
「登山家の友達が『勇敢な男ほど死ぬ』って言うんです。ラスト10mで猛吹雪になって、成功する確率がフィフティフィフティのとき、勇敢な男は突っ込む。でも長い目で見たら、そこで諦めて下山する方が人生にとって成功じゃないですか」
「逆かも」の発想——これが大山氏の人生哲学の核心です。
「1日1日をありがたく生きることができるから、密度が濃いと思うんです。今日も何事もなく終われたなっていう思いの密度の方が高いと思うから」
困難を受け入れ、それを成長の機会として捉える。その結果として生まれる豊かな人生が、多くの人を惹きつける理由なのです。
コントリからのメッセージ

大山峻護氏の物語は、真の成功とは何かを私たちに問いかけています。ファイトネスという革新的な手法の背景にあるのは、「みんなが喜ぶ」ことを第一に考える純粋な想い。そして、25年間続けてきた「ご縁繋ぎ」は、手間暇を惜しまない人間関係の構築こそが最大の財産であることを証明しています。
幼少期のコミュニケーション障害から始まり、プロファイターとして活躍し、引退後の絶望を乗り越えて新たな道を切り開いた大山氏。その人生は決して平坦ではありませんでした。しかし、困難を「ギフト」として受け入れ、常に「我」を排除して人のために行動する姿勢が、今日の豊かな人間関係を築き上げています。
「逆かも」の発想で物事を捉え、手間暇を惜しまず一人ひとりと向き合う。AI時代だからこそ、大山氏の人間力は一層輝きを増しています。経営者として、そして人として、私たちが学ぶべき姿勢がここにあります。
読者の皆様も、きっと大山峻護氏に実際にお会いしたいと感じられることでしょう。それこそが、人を惹きつける真の魅力——「みんなが喜ぶ」を追求し続ける人間力の証なのです。
ギャラリー























プロフィール
エーワールド株式会社
代表取締役
大山 峻護(おおやま しゅんご)
1974年4月11日生まれ、栃木県出身。5歳から柔道を始め、全日本サンボ選手権4度優勝、全日本学生体重別選手権準優勝など輝かしい実績を持つ。2000年、桜庭和志vsホイス・グレイシー戦に感銘を受け、アブダビコンバットを契機にプロ格闘家へ転身。デビュー戦では体重差30kg以上のマイク・ボークを右ストレート一撃17秒でKO。PRIDE、HERO’Sなど国内外の大会で活躍し、ヘンゾ・グレイシーやピーター・アーツなど世界的強豪からも勝利を収める。2012年には韓国ROAD FCミドル級初代チャンピオンに輝き、2014年に現役引退。現在はエーワールド株式会社代表として、格闘技を応用した企業研修プログラム「ファイトネス」を通じて100社以上の企業でチームビルディングやメンタルタフネス向上に貢献。スポーツこころのプロジェクト「夢先生」としても活動し、「心の伴った真の強さ」を伝えている。座右の銘は「ALL INTO POWER ~すべてを力に~」。格闘技で培った精神力と技術を武器に、あらゆる経験を力に変え、多方面で活躍を続けている。
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