「従業員は宝」事業承継の苦難を乗り越え、従業員と共に飛躍! | 株式会社第一テント
栃木県の南東部に位置する真岡市。その真岡市で長年「テント」を作り続けている会社があります。
皆さんは「テント」と聞くとどのようなものを思い浮かべるでしょうか?キャンプ用のテントや運動会などで使うテントを思い浮かべる方も多いのではないかと思います。
この度インタビューさせていただいた株式会社第一テント様は、店舗様や企業様向けの業務用テントを提供されている会社です。このような業務用のテントは、私たちはあまり意識していないかもしれませんが、様々なところで使わせていたりします。
今回は、そんな事業をされている株式会社第一テントの太田社長にお話を伺いました。太田社長の今までの経験や会社、従業員様への想いを感じてみてください。
株式会社第一テントの事業について
まずは御社の事業について教えていただけますでしょうか?
弊社の事業は、元々は商店などの店先にある入口の日よけ(オーニング)を作るところから始まりました。ただ、時代とともに街の商店のようなものはどんどんなくなっていきました。そうなると我々の仕事もなくなっていってしまうので、方向転換をすることを考えました。
真岡という土地柄、自動車系の会社の工場が多いことから、その工場内で使っていただく設備としてのテント(テント倉庫、クリーンブースなど)の需要の部分になんとか入っていけないかと考えて営業活動を開始したのが昭和60年くらいのことでした。
その方向転換がうまくできたことによって、競合のテント屋さんが廃業していく中、弊社は生き残れました。
最近では、グランピング用のテント製作にも取り組んでおります。
ご縁あって繋がった企業様からグランピング用テントの製作ノウハウを教えていただき、それを弊社に取り入れることができました。現時点では事業の柱にまではできていませんが、このように「新しいことにチャレンジする」ということがとても大事だと考えています。
チャレンジしないと従業員も会社も成長が止まってしまいますからね。今後も従業員や会社がレベルアップするようなことには積極的に取り組んでいきたいと思います。
先代からの事業承継について
先代のお父様から事業承継された際のエピソードをお聞かせいただけますでしょうか?
私の父はテント事業の他に様々な事業をやっていました。飲食店などもやっていましたね。弊社の従業員しか行かなくて潰れましたが・・・
そのような失敗(経験)をしてきている父を小さい頃から見てきました。そもそも、このように好き勝手に色々なことができるのは、本業(第一テントの事業)、そして、働いてくれている従業員さんがいてくれたからこそだと思っています。
実は、真岡に日本一のえびす様の建設や真岡鉄道にSLを走らせるのにも父が関わっていました。
そのようなことも経験し、25年くらい前に地元の観光資源となる場所を作りました。ただ、運営に関しては苦労する部分も多く、それに対応している父の姿を見て「これはどうにかしなくてはならない」とずっと思っていました。
そのような状況だったのですね。
実際には、太田さんはどのような対応をされたのでしょうか?
社長になって間もなく父が他界し、第一テントの経営はもちろん、過去に父が手掛けた事業の対応もすることとなりました。
私の場合は、父の実子だからまだ良いですが、もし子供やその先の孫に負担をかけることになってしまったら本当に申し訳ないと思い、私の代で何とかしようと決意しました。
事業を立ち上げる時には、夢と希望を持っているので物事は進むけれども、事業を辞める時にはそれがないのでなかなか進められないということを感じました。しかも、今回の場合は、自分で立ち上げた事業でもなかったので、なかなか覚悟が決まらずに悩む日々を過ごしました。この時期は本当に辛かったですね。。髪の毛の色も変わってしまいましたし・・・(笑)
その時期は、本当にその事ばかり考えていました。その結果、本業になかなか集中できなかったのですが、そのような状況を理解してくれた従業員たちが、私がいない間も頑張って働いていてくれました。本当に従業員というのは「宝」。かけがえのない存在です。
「従業員は宝」と思われているのは、本当に素晴らしいことですね。
太田さんは以前からそのように思われていたのでしょうか?
東日本大震災の年に私の暴飲暴食などの不摂生が原因で2ヶ月ほど入院することになり、仕事をしたくてもできないという状況になってしまいました。
それまでは「俺がいないと会社は回らない」と思っていたのですが、実際に2ヶ月の入院期間中、会社は問題なく回っていました。その時、今まで従業員のことを信頼していなかったのだということに気付きました。
私が思っている以上に、従業員はみんな優秀。その部分にしっかりと向き合い、評価できていなかったことに初めて気付きました。
優秀な従業員に恵まれているというのは素晴らしいことですね!
次の世代への事業承継について
太田さんご自身はお父様からの事業承継という部分で大変な苦労をされたと思うのですが、次の世代への事業承継の準備なども進められているのでしょうか?
息子に継ぐことを前提に準備を進めておりまして、既に会社に入って働いています。最初は「こいつじゃだめかな・・・」と思っていましたが、徐々に良い方向に変化しています。
思い返すと、私自身も父親から「こいつじゃダメかもしれない・・・」と思われていたのだと思います。私が変わるきっかけになったのは青年会議所に入ったことでした。そこで先輩方に良くしていただいて、色々とチャンスもいただきました。そのような期待に応えたいと思うようになり自分自身がどんどん変わっていきました。
今は、息子も様々な団体に参加しています。それもあり、息子自身が徐々に変化しているのを感じていますね。
福利厚生について
大切な従業員様によりいきいきと働いていただくには「福利厚生」というのはとても重要な意味を持ってきていると思いますが、御社の福利厚生の取り組みの具体例を教えていただけますでしょうか?
私が入院した時に会社を頑張って回してくれた時に、従業員の頑張りを感じることができました。そこで、私ができることを最大限してあげたいと思い、それをどう形にするかを考えました。
弊社の場合は、お酒を飲んだり、宴会をすることが好きな従業員が多いので、旅行に連れていってあげようと考えました。普通の社員旅行でも良いのですが、私の想いを形にできるようなことができないかなと考えた結果、私が大型免許を取得して、貸切バスを運転しながら行くフリープランの旅行というのを思いつきました。
移動中含めて、従業員はずっとお酒を飲んでいてOKというようにすることで、運転なども気にすることなく楽しめると思い企画しました。年に2,3回のペースで旅行に行っていましたが、コロナになってしまってからは3年くらいできていないですね。。。
またやりたいと思っています!
現在の事業に対する「想い」「大切にしていること」「やりがい」について
従業員様に対する「想い」「大切にしていること」などについてお聞かせください。
従業員がいないと会社は成り立たないですし、私1人では何もできないので、本当に従業員というのは「かけがえのない存在」だと思っています。
1人欠けたら大変ですので、そうならないように自分では心がけていますが、1人ではどうしても目が届かない部分もあるので、部長や工場長などの力も借りながら目配り・気配りしてあげながらやっていますね。
弊社も零細企業なので、1人抜けると本当に大変です。従業員がいなくなったから交換しましょうといって簡単に交換できるものではありません。特に弊社の場合は技術職なので、いきなり来てもらったバイトの方にできる仕事でもありませんからね。
だからこそ、今いる従業員のことを本当に大切にしていきたいなと思っています。
今後のビジョンについて
最後になりますが、今後のビジョンについて教えていただけますでしょうか?
冒頭の方でもお話しましたが、周辺の県にあるテント屋さんが廃業してしまっていることで、対応しなければならないエリアが拡大しているのが現状です。そのような状況で、栃木一拠点で活動するとなると移動などで時間的なロスが発生してしまうので、拠点を増やしていきたいと考えています。エリアとしては、群馬と茨城に営業拠点を作り、3拠点体制を実現したいと思っています。
茨城の営業所はつくば市、群馬の営業所は伊勢崎あたりでの進出を検討しています。そのためには人材の配置などの課題もあるため、人材育成なども考慮に入れつつ、今後の計画を進めていく必要があります。
この計画をしっかりと具現化して、今後の弊社の発展に繋げていきたいと思います。
とても素晴らしいビジョンですね!
これからの御社の発展を心から楽しみにしております!
本日はありがとうございました。
コントリ編集部からひとこと
この度は、株式会社第一テントの太田社長にお話をお伺いさせていただきました。
とても気さくな人柄で、楽しくインタビューをさせていただくことができました。ありがとうございました。
太田社長はとてもおちゃめでな感じなのですが、話を聞けば聞くほど、とても熱い想いをもって事業をやられていることに気付かされ、インタビューをしながら話に聞き入ってしまいました。
「従業員は宝」という想いを実現するために色々なことに取り組まれていますし、事業の方も拡大の計画があります。そんな第一テント様の今後の発展がとても楽しみです!
ギャラリー
【会社概要】株式会社第一テント
設立 | 1976年7月 |
資本金 | 1,000万円 |
所在地 | 栃木県真岡市西沼858 |
従業員数 | 22名 |
事業内容 | テント倉庫 日除けテント 間仕切り工事一式 |
URL | http://d-tent.jp |