社員と共に成長するパーソナルジムの挑戦 ―店舗拡大の軌跡と理念―|株式会社GIVETHEWORLD

全国に131店舗を展開するパーソナルジム『BEYOND』。
そのメガフランチャイザーとして、神奈川を中心に20店舗を展開する株式会社GIVETHEWORLD。代表の遠藤大輔氏が語る店舗拡大の秘訣は、社員の前向きな姿勢と理念浸透にありました。
自己実現と他者貢献、縁ある全ての人の人生の質の向上を、サポートすべく邁進する遠藤社長。彼の大切にする理念と従業員への深い思いが、事業の成功を支える礎となっています。
本インタビューでは、人材育成や組織作りに対する考え方、これからのビジョンについてなど、経営者としての力強いメッセージをお話しいただきました。

創業から店舗拡大までの道のり

コントリ編集部
コントリ編集部

本日はよろしくお願いいたします。
まず、御社の事業内容についてお伺いします。

お客様にパーソナルトレーニングを提供するパーソナルトレーニングジムを、神奈川を中心に20店舗経営しています。6月15日に大和市に20店舗目をオープンしたばかりです。

コントリ編集部
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記念すべき20店舗目ですね。創業期はコロナ禍でもあったかと存じます。
店舗数を増やした経緯や、創業直後からの向かい風の時期をどのように乗り越えたのか教えてください。

2019年10月に一号店をオープンしました。この業界では例年、夏の薄着の時期に向けてご新規様のご来店が増えるのですが、創業月の10月はちょうど閑散期に入っていました。初月は直営店のインフルエンサー達による開店告知により、それなりに売上がありましたが、翌11月は赤字でした。12月も忘年会シーズンで苦しく、1月も閑散期。「しかしここを耐えれば春だ」と思っていた矢先に、コロナ騒動になり世間が外出を控え、危機を感じました。

しかし、私の不安を物ともせず、部下達が前向きに頑張ってくれたおかげで、危機を乗り越えることができました。彼らが空き時間にチラシを配ったり、明るく元気にトレーニングを提供している姿を見て「自分が落ち込んでいる場合ではない」と腹を括ることができました。大々的な施策を打ったわけではないのですが、できることに集中し、集客やメディアに関しても、分からないなりに手探りで色々と調べ試行錯誤を繰り返しました。

コントリ編集部
コントリ編集部

従業員の方がポジティブでいられたのは、遠藤社長がそういう姿勢を伝えていたからですか。
それとも、元々そういった気質の方を採用していたのでしょうか。

両方あると思います。弊社がフランチャイズ加盟した時期は、まだBEYONDグループ全体でも、影響力のあるインフルエンサーや、コンテストチャンピオンなど華のある人材を採用することが主流でした。しかし私は、何より人柄や人格を重視して採用していました。明るく元気な雰囲気を持った人を採用することで、従業員同士のコミュニケーションも円滑になり、結果的にお店全体が明るい雰囲気になりました。

コントリ編集部
コントリ編集部

フランチャイズでパーソナルジムをスタートしたきっかけについて教えてください。

私は前職で、セールスや人材派遣の完全歩合制の会社で働いていました。システムエンジニアが1社目で、2社目がその会社になります。1社目の時は本当に怠け者で、会社内でも「遠藤は使えないな」と思われていたはずです。

そんななか、実家から相談の電話がかかってきました。家業の資金繰りが火の車という相談でした。両親は私の大学進学を尊重してくれていましたし、受験に失敗した時も浪人暮らしを支援してくれました。ですから、実家がお金に困っているイメージはなかったのですが、子どものために相当無理をしてくれていたのだとその時になってわかりました。

ならば、この借金は家族みんなの借金だと考え、私も一緒に背負おう覚悟を決めました。怠け者だった自分も変えたくて、完全歩合のセールスの世界へ転職しました。そこで年々お給料も増え続け、お陰様で母の還暦前には、親戚中からお借りしていたお金を一括返済でき、親を安心させることができました。

そんな前職時代に出会った、親友が営むパーソナルジムに入会しました。コンテストに挑戦して入賞もしました。昔から運動音痴だった私が、ボディメイクの大会で初めて結果を出し、実家に表彰状を持って帰れました。

その一連の様子を見ていた、その親友が、「大輔さんもうちのフランチャイズをやりませんか」と声をかけてくれました。ちょうど親の借金を返し終え、そろそろ自己実現を追いかけてもバチが当たらないだろうと思い、事業をスタートしました。

コントリ編集部
コントリ編集部

人のご縁と、遠藤社長の乗り超えた日々の集大成の開業だったというわけですね。
そうして始まったフランチャイズのやりがいや楽しさ、逆に難しさや苦労について教えてください。

フランチャイズだからというわけではないですが、毎日生き甲斐だらけです。特に、社員と関わる中で、元々できなかったことができるようになる、可能性の開花を見られることに、強い生き甲斐を感じています。

一方で、「初期投資をすれば後は勝手にうまくいく」という安易な考えでは、人も育たずフランチャイズ経営は成功しません。儲かると思って始めたのに期待通りにいかないと、被害者意識も芽生えることでしょう。私の場合、若い子達ばかりマネジメントをしていた前職時代の経験が、現在のオーナーとしての経営に役立っています。

理念の浸透と組織体制の強化

コントリ編集部
コントリ編集部

現在、どのような組織体制で全20店舗を運営されているのでしょうか。

現在はエリアマネージャーを信頼して任せています。私は私にしかできない戦略策定に注力できるようにエリアマネージャー達がどんどん仕事を引き取ってくれるようになりました。もちろん現場も大事なので、エリアマネージャーとは毎週、個人面談を継続しています。

各店舗の状況は、その面談で把握しています。エリアマネージャーは元々トレーナーとしても店長としても成果を出してきた、徳と才ともに信頼できるメンバーです。現在は70名以上のスタッフを、5名のエリアマネージャーがまとめています。エリアマネージャーの先のキャリアについても、会社のビジョンを共有しながら検討を進めているところです。

コントリ編集部
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多くの従業員と共に働く中で、理念浸透や文化作りを強く意識しておられると伺いました。どのようなお取り組みをされていますか。

まず、当社の理念を説いたブックを作成しました。具体的な企業の人格や経営方針、大切にしたいフィロソフィーについてまとめたものです。社名の由来なども記載しています。このように、一つひとつ言語化することが重要だと考えています。幹部や社員がそれぞれの解釈で理念を伝えてしまうと、伝達の過程で統一感が失われてしまいます。そこで、書面化して全員に配布しました。しかし、配って終わりでは意味がありません。毎週月曜日朝の会議で、企業理念やフィロソフィーに関するメッセージをしています。

コントリ編集部
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会議の他、理念の浸透について、具体的にどのような工夫をされていますか。

理念浸透を促進する上では、中間管理職との価値観同期が重要だと考えています。なので、採用面接や面談に同席してもらい、私が話す内容を直接見る機会を増やし、価値観の共有を図っています。

あとは仕事でミスをした際も、ただ行動ベースの改善策を出すだけではなく、その背景にどんな思考が働いたのか聞き取るようにしています。たとえば、遅刻した場合、「30分前到着をするようにスケジューリングする」などの前に、その背景にある「遅れてもお詫びすればいい」という潜在意識から変わる必要があります。対症療法的な改善策ではなく、根本の意識に目を向けることで、再発防止につながり、ひいては社員個人の成長にも繋がります。

あとは冒頭にも少し触れましたが、そもそも採用においても、価値観や考え方を重視した採用を行っています。具体的には、利己的な考え方よりも、人の役に立つことを喜びと感じる利己的な人かどうかを見ています。こうして理念共感性の高い人材を集めています。

コントリ編集部
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理念・意識の統一も同じ方向を向いてストレスなく働くためにとても大切なことですよね。社員が生き生きと働ける組織作りを強く意識しておられると感じました。たとえば、落ち込んでしまっているスタッフやマネージャーに対しては、どのようにフォローをしておられますか。

まずは自分が120%関わり切ることを意識しています。一方で、独りで見事にやろうと気負わないようにしています。私に何でもかんでも自己開示するとは限らない。相手に最も熱心に関わるべきは自分、でもその相手は、皆にとって大切な仲間です。気がかりな社員がいたら、適した社員を選んで「もし良かったら、今度この子とご飯でも行ってもらえないかな」などと仲間の力を借りたりしています。上下の繋がりに固執せず、横の繋がり、直接利害関係のない繋がり、様々な関係性のなかで助け合うことを大切にしています。

コントリ編集部
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おっしゃる通り、自己開示ができるかどうかというのは人によって大きく差がある部分だと感じます。部下の方が自己開示しやすくなるような環境・風土にするにはどうすれば良いと考えますか。

恐れ不安のない関係性を、継続的に作り上げることが重要だと思います。否定や論破が多い上司なら、本音本心を話そうと思わなくなるものだと思います。「本当はこう思うけど、言ったら否定されるだろうな。だから、こう言っておこう」と、上司の正解を探って話すようになります。あと否定や論破以外だと、口が軽いのもダメですね。

「安心して話せる相手だ、話すに値する人だ」と、どのぐらい思ってもらえるかが重要ではないでしょうか。あとはシンプルに「上司がどのぐらいその部下が大好きか」が伝わっていることも大切だと思います。相手に心底好意的でいると、同じ言葉を話したとしても、伝わり方が全然変わります。言葉選びも表情も変わります。相手を内心否定したり不満を我慢しながらかける励ましの言葉など、決して心に届きません。常に相手に対して承認と感謝を持ち、それが伝わっているなら、ギャップフィードバックであっても相手は批判された・欠点を指摘されたという感覚にならないものです。

マネージャー職の人間が、自分は本気で部下に心を注いだと言い切れるぐらい、悔いがないぐらい関わりきれば、必ず状況は良い方向に向かうと思います。私はマネージャー達にそういうことを日々伝えていますし、それが私にとっての育成のコアです。

コントリ編集部
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言葉で伝えられた内容を実行することに難しさを感じる方もいるように思いますが、その点はどのように対応しておられますか。

こちらから出来るのは情報を届けるまでで、実行するかは100%本人の選択ですからね。実行レベルでどの程度変化しているかを注視して、継続的にフォローします。経過が変わらないと結果も変わらないので、面談の他、日報でスケジュールや気付きを細かく共有してもらっています。 また、360度評価の導入も検討しています。上司からの評価を押し付けるだけでは納得感が生まれない人もいると思います。「同じ役職者や部下からはこう見えている」という事実を伝えることに価値を感じています。上司からの一方的な評価よりも、納得感が生まれ、内発的に自己評価するであろうと見ています。

コントリ編集部
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導入時期はもう検討しておられますか。

先日本部や大型FCのオーナーで会議をしたのですが、なんと本部も同じことを検討中でした。ですので、足並みを揃えて導入して行けたらと思っています。人事評価という観点以上に、育成としての価値を感じています。上司からの要望だけでなく、部下自身が自己評価していくほうが、成長は加速すると思います。 上司は部下が成長するための情報を提供します。部下は今の現状を正確に理解し、理想像を明確にします。手厳しい360度評価があっても、面談でサポートします。ただ、それでも改善が見られない場合は、一旦降りてもらう判断もありえるでしょう。関わっているステークホルダーからのフィードバックを、どのくらい真摯に受け止め、改善に取り組んでいくかを見守ってあげたいと思います。

人の想いを背負い、今を「超えた」先へ。

コントリ編集部
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最後に、今後のビジョンについて教えてください。

日本をフィットネス大国にし、世界最高峰のフィットネス企業になります。多くのお客様が「痩せたい」「綺麗になりたい」「肩こりや腰痛を改善したい」という思いを持って来店されます。しかし、これらは顕在ニーズであり、その更に深いところにある潜在ニーズは「より幸せになりたい」「より良い人生を送りたい」だと思います。そんなお客様に対して、体が変わるだけでなく、健康、人間関係、職業での卓越、精神的・経済的な自由、趣味教養など、全ての領域で理想の自分を手に入れられるようなジムで在りたいです。

社会全体のビジョンとしては、100歳を超えても心身共に元気で、人に貢献できて、棺桶に入る直前まで夢いっぱいに生きていける社会を実現したいです。健康が全てのベースになると、実体験からも確信しています。両親が田舎から私の住まいの近所に移住してくれたのですが、それは父が足を痛めて自由に歩けなくなったことがきっかけでした。当ジムで機能改善をしてもらい、老後の思い出作りの幅を広げたい一心で。父が元気に歩けるようになると、母から「お父さんが若い頃みたいに優しくなってきた」という声をもらえました。足の痛みや歩行の不自由から解放され、心に余裕ができ、大切な人をもっと大切にする気持ちが強くなったようです。健康は身体だけでなく、人生全般を豊かにしてくれる無限の可能性があると確信が強固になりました。自分の親だけでなく、社員や縁ある全ての人にも、どうか幸せな人生を送って欲しいです。これが社会全体に喜ばれるビジョンだと思います。

コントリ編集部
コントリ編集部

日本人は健康に対して鈍感な部分もありますが、遠藤さんたちの真摯な活動や広報によって、健康の大切さに気づいた人は良い循環に入っていくはずです。

ええ。素晴らしいお店を作っても、1店舗だけでは日本を変えることはできません。だからこそ、今後も出店数を増やして認知度を上げていきます。地域格差もなくし、どこに住んでいてもパーソナルトレーニングを受けられる機会を増やしていきたいですね。 そして、パーソナルジムに対する先入観を変えていくことも課題です。短期間で結果を出すというイメージが強いかと思いますが、健康は一生のテーマですから、長期的に向き合う物事として認識してもらいたいです。それに、マッチョや砂時計型の体になることだけがゴールではありません。一人ひとりが希望する体型をデザインできることを知ってもらいたいです。

コントリ編集部
コントリ編集部

ありがとうございます。自分の経験、ご家族の経験、そしてこれまで寄り添って並走してこられたお客さまとの日々があるからこそ、健康が何よりも人生を豊かにすることを知っておられる遠藤社長。強い説得力を感じる言葉と姿勢に、多くのトレーナーやお客様が励まされてきたのだと思います。描かれる未来の実現を、心から応援しております!

コントリ編集部からひとこと

マザー・テレサの有名な言葉を会社名に選んだ遠藤社長は、昔からこの言葉に特別な想いがあり、「なぜやるのか?」という本質的な考え方への探究心が高かったのだと感じました。それは株式会社GIVE THE WORLDの経営にも明確に表れており、会社が掲げる理念そのものや人の育て方という部分は特に、遠藤社長の哲学が詰まっていました。

病気や年齢を理由に健康や自由な身体を諦めるのが当たり前のように思われている昨今ですが、遠藤社長が描く未来は全く違いました。誰でも理想の自分に変われるし、健康な身体や体力を得ることで前向きになれることが必ずあるから、どんな人でもそれを手に入れいるチャンスを作りたいと未来を語る遠藤社長からは、自分の願望というより周囲への深い愛情を感じます。

そんな遠藤社長が今後どのように人と組織を成長させていくのか、その奇跡が描くストーリーを今後も追い続けたいと強く思います。

インタビュアー 山﨑 千明

ギャラリー

プロフィール

株式会社GIVETHEWORLD
代表取締役
遠藤 大輔

(一般財団法人日本プロスピーカー協会 認定ベーシックプロスピーカー)

1983年4月28日に新潟県魚沼市に生まれる。大学卒業後はシステムエンジニア、人材派遣業を経験し、2019年9月に株式会社GIVETHEWORLDを設立。同年10月に神奈川県川崎市に「BEYOND川崎店」をオープン。その後も怒涛の勢いで店舗拡大を実現し、2024年6月時点では20店舗を展開。今後も店舗数の拡大を予定している。趣味はトレーニング、サウナ、サーフィン。座右の銘は「無限の愛で人の人生を照らすリーダー」。

会社概要

設立2019年9月2日
資本金500万円
所在地神奈川県川崎市川崎区砂子1-1-1 追川ビル4F
従業員数71人
事業内容フィットネスクラブ・スポーツクラブの経営及び運営
HPhttps://givetheworld.co.jp

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