
「どんなことがあっても、私はあなたを応援し続ける」——菊池雄星選手を10年支えたメンタルコーチが語る、経営者の孤独と成長の本質|株式会社プロコーチジャパン
「志がなくなってきたら、もう僕じゃなくてもいいんじゃないですかって話になりますからね」——。
株式会社プロコーチジャパンの代表である山家正尚氏は、穏やかな口調ながらも、はっきりとそう語ります。メジャーリーガー菊池雄星選手を約10年、総合格闘家の大山峻護さんを10年以上サポートし続けてきたメンタルコーチとして、トップアスリートと中小企業の経営者、一見異なるフィールドで活躍する人々を支え続ける山家氏が大切にしているのは、スキルやノウハウではなく「あり方」という本質的なアプローチ。20年以上契約を継続しているクライアントが複数名いるという驚異的な信頼関係の秘密、そして「自分らしく活躍する」ための原理原則について、じっくりとお話を伺いました。
商社の営業マンから、子どもたちの成長に震えた日々へ
山家氏がメンタルコーチになったきっかけは、子どもたちのアイスホッケーチームの監督経験でした。
商社で営業として働きながら、週末は子どもたちのアイスホッケーチームの監督を務めていた山家氏。そこで目の当たりにしたのは、子どもたちがぐんぐん成長していく姿でした。
「子どもたちの成長過程を見るのがとても楽しくて。もっと深く学びたいと思っていたときに、ビジネスコーチングに出会ったんです」と山家氏は当時を振り返ります。
その衝撃は大きなものでした。「震えるくらいの感動を覚えて、『これが自分の仕事だ』と確信しました」
子どもの成長を支える喜びと、ビジネスコーチングの可能性。この2つが結びついた瞬間、山家氏の人生の方向性が定まったのです。
現在、山家氏が経営者やアスリートに提供しているのが「セルフアカデミア」というプログラムです。これは、その人が持って生まれた「本来の自分」に気づき、それに沿って生きるための原理原則を学ぶプログラム。スキルやテクニックではなく、その人の「あり方」そのものを磨いていくアプローチです。
山家氏の特技は「人物観察」。相手をじっくり観察しながら、その人が本来持っている純粋さを引き出していきます。「想いを実現するためには、純粋であることが重要です。私の特技でもある人物観察をしながら、クライアントの純粋さを作り出すお手伝いをしています」
メジャーリーガーと中小企業経営者の共通点——「自分らしく活躍する」という普遍的テーマ
菊池雄星選手のような世界で戦うアスリートと、日々現場で奮闘する中小企業の経営者。一見すると全く異なる世界に見えますが、山家氏はこう語ります。
「自分らしく活躍するというのは、アスリートも経営者も同じです。職種の違いはあまり感じません」
では、何が共通しているのでしょうか。
「本人が『やりたい』『やろう』という意志を持っているかどうか。それがすべてです」
肩書きやフィールドは関係ない。大切なのは、その人自身が「本当にやりたい」という純粋な意志を持っているか。そして、その意志に従って生きようとしているか——。それこそが、成長と自己実現の鍵だと山家氏は言います。

「どんなことがあっても、私はあなたを応援し続ける」——経営者の孤独に寄り添うスタンス
アスリートにはチームメイトやライバルがいます。しかし中小企業の経営者は、「誰にも相談できない孤独」を抱えていることも多いもの。
この経営者特有の孤独に対して、山家氏はどう向き合っているのでしょうか。
「どんなことがあっても、私はあなたを応援し続ける。そのスタンスを示すことで、孤独ではない状態を作っています」
シンプルですが、とても力強い言葉です。
山家氏は、クライアントの「絶対的な味方」であり続けます。経営判断が正しいか間違っているかを評価するのではありません。どんな状況でも、その人を応援し続ける——。この揺るぎない姿勢が、経営者の心の支えになっているのです。
10年、20年契約が続く理由——コーチ自身の成長が刺激になる
山家氏のクライアントとの関係は、驚くほど長く続いています。10年以上契約を継続している方が数十名、20年以上という方も数名いるといいます。菊池雄星選手とは約10年、総合格闘家の大山峻護さんとも10年以上のサポート関係が続いていました。
一般的に、アスリートとメンタルコーチの関係は短期で終わることが多いもの。なぜ山家氏は、これほど長期的な信頼関係を築けているのでしょうか。
「私自身が常に成長し続けていることが、クライアントの刺激になっているようです」
山家氏自身が学び続け、挑戦し続けている。それがクライアントにも良い影響を与え、長い関係が続く理由になっているというのです。
では、山家氏は具体的にどんな挑戦をしているのでしょうか。
人間学の大学院に進学したり、座禅やヨガを学んだり。「人としてよりよく生きるために必要だと思うことは、いろいろ勉強してきました」と山家氏は振り返ります。
最近始めたのが、シーカヤックです。
「10年以上前からやりたかったんですが、ビジネスを優先していて。最近ようやく始めました」と嬉しそうに語る山家氏。釣りが好きで、カヤックに乗って好きなポイントまで行って釣りをするのが夢だったそうです。
シーカヤックから学んだことを尋ねると、山家氏は真剣な表情でこう答えました。
「自然相手なので、一歩間違えたら命を落とします。だから基本のトレーニングをしっかりやっています」
これはコーチングも同じだと山家氏は言います。
「コーチングも、最初の2年間は人生で一番勉強しました。基本を徹底的に学びましたね」
興味深いのは、山家氏がこれらを「やらなきゃ」ではなく「やりたい」という気持ちで行っている点です。
「やりたいことしかやっていないんですよ。『やらなきゃ』は何か違う。本当にやりたい意志に従って行動することを徹底しています」
「表面ではなく根幹」——あり方を追求する人間学的アプローチ
インタビューの中で、山家氏は何度も「あり方」という言葉を使いました。スキルやノウハウではなく、なぜ「あり方」なのでしょうか。
「人間学的なアプローチをしているからだと思います。その人のあり方をどう磨いていくか、そこに焦点を当てています」
山家氏は続けます。
「何をするかという行動手法で物事を見がちなコンサルティングやマーケティングとは違います。一番大事なのは、やっぱり『あり方』なんです」
行動的なテクニックではなく、本質的なアプローチ。そのこだわりが、山家氏の言葉から伝わってきます。
興味深いのは、山家氏がこうした学びを「努力」として行っているわけではないという点です。
「努力感とか根性とか、全くなかったんですよ。本当に好きで、やりたかったから」
努力感や根性ではなく、純粋な「やりたい」という意志——。これこそが、山家氏がクライアントに伝えようとしている「純粋さ」そのものなのです。

マンネリ化しない関係性の秘密——「クライアント力」と「志」の重要性
20年以上も契約を継続しているクライアントとの関係は、どう変化していくのでしょうか。
「関係性は、ほぼ変わっていません。最初の頃のスタンスのまま、気づいたら20年経っている感じです」
山家氏は元々、クライアントとの距離が近いタイプだといいます。最初の1年ほどで信頼関係が深まり、そこからはずっと同じ距離感が続くそうです。
では、マンネリ化は起きないのでしょうか。
「マンネリ化はもちろんあります。でも、それを気づきに変える方法があるんです」
その方法とは、セッションのたびに新しい視点を提供すること。
「その人が持っている世界観の中で、まだ見えていないところにスポットライトを当てる。それがコーチの役割です」
毎回テーマが決まっているわけではありません。むしろ、一緒にテーマを探すところから始まることも多いといいます。
ここで山家氏が強調するのが「クライアント力」という概念です。
「志を持って、主体的にコーチを使おうという人としか仕事をしていません。そういう方とは、話し始めると自然に『今日はこれを扱いましょう』となるんです」
逆に言えば、志がなくなったら——。
「志がなくなってきたら、もう僕じゃなくてもいいんじゃないですかって話になりますからね」
厳しく聞こえるかもしれませんが、これは本気でクライアントと向き合う姿勢の表れです。
「受け身だと、世界は作れません。私たちは自分の世界を作りたくて生まれてきているんです。」
山家氏の言葉には、クライアントへの深い信頼と、真剣に向き合う覚悟が込められています。
見えない世界へのアクセス——リーディングという独自技術
インタビューの終盤、山家氏は興味深い技術について語り始めました。それが「リーディング」です。
「会話だけでなく、その人のソウル(魂)にアクセスして、いろんなものが見えたり教えてもらえたりする。実はそれも使っているんです」
あまり公にはしていないというこの技術。しかし長く付き合っているクライアントは、山家氏がこの能力を使っていることを知っているといいます。
山家氏が学んだのは、みどりさんという先生からの「ソウルリーディング」という手法です。
「その人のソウルに意識を向けて問いかけると、シンボル(象徴)が見えてきます。そして、その意味を解説してくれる存在とやり取りしながら、クライアントに伝えています」
最初は疑っていたという山家氏。しかし次第に、自分の知識では絶対に分からないことが見えてくるようになったといいます。
印象的だったのが、ある女性のエピソードです。
今後の生き方について問われ、リーディングで見えたのは、スイスの国旗、逆さまになったブランド物のバッグ、そこから溢れ出る宝石——。
その女性は、半年前までスイスの金融機関で働いていました。上司とも信頼が築けており収入もそれなりにあったものの、関係が悪化してクビになり、日本に帰国していたのです。
「見えたシンボルをそのまま伝え、あなたにとってどのような意味を感じるのかと尋ねたところ、『生き方を改めろ、ということを言われているんだと思います』と本人はとても腑に落ちたようでした」
山家氏は、この能力について最後にこう語ります。
「純粋さを研ぎ澄ますことで、見えたり聞こえたり感じたりできる。だから純粋であれば、誰でもできると思っています」
セルフアカデミアで人類の意識の周波数を上げる——山家正尚の未来ビジョン
最後に、今後のビジョンについて伺いました。
「セルフアカデミアを伝えていくことは、僕の使命であり、課題でもあります」
そう語る山家氏。興味深いのは、自身の弱さも率直に語ったことです。
「一対一のパーソナルは得意なんです。でも、大勢の人に向けて働きかけることには、正直、恐怖感があって」
それでも、伝えるべきだという確信があります。
「自分を知るというプログラムは、本当に多くの人に届けるべきだと思っています。その恐怖を乗り越えて、ちゃんと伝えられるようになるのが、これからの大目標です」
そしてこの活動には、大きな意味があると山家氏は言います。
「人類の意識の周波数を上げることなんです」
では、具体的な計画はあるのでしょうか。ここでも、山家氏らしい答えが返ってきました。
「何ヶ年計画とか、実はないんですよね。目標を設定してその通りにやるのが、めちゃめちゃ苦手なんです」
メンタルコーチでありながら、自分自身はそういうタイプではないと正直に語ります。
「人それぞれタイプが違うので、やり方も変えています。今は一緒に伴走してくれるマーケティング担当やアシスタントがいるので、その人たちと一緒に成長しながら、ばっと花開く瞬間が訪れればいいなと」
そして山家氏は、確信を持ってこう語ります。
「でも近々起こると思いますよ。何か見えてきている感じがします。意識が向き始めているので、多分やるでしょう」
意識が向いた先に、現実が生まれる——。これこそが、山家氏が伝え続けている自己実現の原理原則なのです。
コントリからのメッセージ
表面的なスキルやノウハウではなく、「あり方」という本質に焦点を当てる山家正尚氏のコーチング。20年以上にわたる長期的な信頼関係の背景には、コーチ自身が常に成長し続けること、そしてクライアントの「志」と「純粋さ」を何より大切にする姿勢がありました。
「どんなことがあっても、私はあなたを応援し続ける」——この揺るぎないスタンスが、孤独な経営者の心を支え、自己実現への道を照らしているのです。
経営の表面的な課題解決だけでなく、経営者自身の「あり方」を見つめ直したい。そんな思いを持つ経営者にとって、山家氏のような伴走者との出会いは、大きな転機となるかもしれません。努力感ではなく純粋な「やりたい」という意志に従って生きること。それこそが、真の自己実現への第一歩なのですから。
プロフィール

株式会社プロコーチジャパン
代表取締役
山家 正尚 – Masanao Yamaya –
株式会社プロコーチジャパン代表取締役社長。国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ(PCC)、NLPマスタープラクティショナー。2004年4月プロコーチ・ジャパン設立、2006年7月法人化。商社の営業マンとして働きながら子どものアイスホッケーチームの監督を務めた経験から、ビジネスコーチングに出会い転身。対話によるコーチング技法をベースに、人間学、NLP、禅の教え、ヨ-ガ療法、リーディング等を活用し、メジャーリーガー菊池雄星選手を約10年、総合格闘家の大山峻護さんを10年サポート。アイスホッケー女子日本代表(スマイルジャパン)のメンタルコーチとしてソチ・平昌オリンピックに帯同。経営者やプロスポーツ選手を中心に、20年以上継続するクライアントを複数持つメンタルコーチング界の第一人者。
ギャラリー








会社概要
| 設立 | 2006年7月 |
| 資本金 | 100万円 |
| 所在地 | 東京都品川区北品川5-5-15 大崎ブライトコア 4階SHIP |
| 事業内容 | コミュニケーションコンサルタント業務 経営者・指導者・アスリート向けメンタルコーチング 研修業務 取引先上場企業、中小企業経営者、各種実業団スポーツ団体 プロ野球選手、プロゴルファー他 |
| HP | https://www.procoach.jp/ |

