人と社会の幸せを繋ぐ、全国に羽ばたく人材サービス|株式会社Be win

社会人なら誰しもが経験した「就職」「転職」。1日の3分の1を過ごす職場との出会いは、私たちの人生の充足感を大きく左右すると共に、企業側にとっても最も重要な課題です。数ある会社の中で埋もれてしまう中小企業や地方の企業には、多くの想いと可能性が眠っています。そんな会社と人とを繋ぐのが、山口県発の総合人材会社、株式会社 Be win です。情報が足りないせいで生まれる不安や迷いを取り払い、ひとりひとりの夢を力強く応援する同社代表・河村勝就様に、事業を立ち上げた想いと人材採用の未来について語っていただきました。

多角的な採用支援サービスの展開

コントリ編集部
コントリ編集部

本日はどうぞよろしくお願いします。はじめに、御社の事業内容についておうかがいします。

大きく2つの事業があり、1つは採用全般のご支援です。企業が採用活動を行う際の選択肢には、求人メディアを使って広告を掲載するパターンと、人材紹介・人材派遣を介して採用のきっかけを作るパターンがあります。一般的に求人メディアと人材派遣の事業者は分かれていることが多い中、弊社は両方を一括して対応しています。

もう1つの事業が、山口県発の中小企業向け求人サイト「じょぶるjapan」の運営です。これを全国に展開するパートナー様も集めており、この2つが主な事業です。

私は元々派遣業界で働いていました。そこで多くの求職者の方と接する中で、派遣労働者が長く安心して働ける道筋が少ないと感じました。求職者側にも企業側にも多くの選択肢を提供できる総合人材会社を創りたいと思い、独立しました。

また世代的に、リーマンショックを経験したことも大きな事業方針を定めるきっかけになりました。当時は派遣業界全体が厳しく、有効求人倍率も低かったため、会社を存続させるためには新たな方向性を模索する必要がありました。現在は派遣だけではなく、正社員の紹介も行っています。派遣から正社員への道を提供して大切な人材と繋ぐことで、多くの企業様から信頼していただいています。

コントリ編集部
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山口県から全国展開を目指す上で、どのような工夫や困難がありましたか。

たくさんの壁にぶち当たりましたが、特に、専門性の高い人材を集めることには苦戦しました。山口ではこの分野の経験やキャリアを持つ方がまだ少なく、組織作りに苦労しました。立ち上げ当初は従業員10数名で全国展開を目指していましたが、自社直営のみではスピードが遅くなるため、他企業のリソースを借りて協業する『パートナー制』を導入しました。他の人材会社は直営で広げているところがほとんどで、このような仕組みは他に例がありませんでした。

パートナー制を導入したことで、展開のスピードを上げることができました。初めの10社くらいまでは、コンサルティング会社の支援を受けながら拡大させ、現在では、毎年1~2エリアにコンスタントに直営店を展開できるようになっています。

コントリ編集部
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地域の特性などによって、こういう場所では直営にする、ここはパートナーに任せるなど、傾向や基準はあるのでしょうか。

いえ、ご縁があった地域はどんどんパートナーさんに進めていただいています。もちろん、このエリアは自社でやりたいという計画はありますが、採用の状況などによって柔軟に切り替えて対応しています。

ー求人媒体は、採用される側とする側のニーズが両方ないと成立しないプラットフォームかと思います。何社くらい求人数が集まればスタートするという基準はありますか。

スタート時は0からです。集まったから立ち上げるのではなく、まず最初に「ここで立ち上げる」と決めます。特に地方に行けば行くほど中小企業の採用ニーズは高く、経営課題の中心にありますので、ニーズは確実にあります。

実際に企業にアプローチする流れは、基本的にはテレコールから始まります。一般的なBtoBの営業ですね。採用活動は当社スタッフが全面的にサポートしますので、登録企業様側は営業人員2名のリソースのみでスタートできます。

地方を支える会社と人を繋ぐ

コントリ編集部
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地方の中小企業にスポットを当てたメディアがあることで、これまで県外に出ていっていた人材が県内に留まって働くようになった、などの変化は実感されますか。

はい、データとしても、良質な雇用機会があるかないかで人口流出の程度が決まります。

地方創生には、人材の確保が絶対に必要です。こんな人がいたらなという人材がいることで、事業の横展開や縦展開が可能になります。採用や人とのご縁こそが、会社の成長の起点なのだと言えるでしょう。中小企業の経営者に対しても、成長意欲を持ってもらえるよう、この事業を通じてメッセージを届けたいですね。

コントリ編集部
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会社の魅力を伝える際、どのような点を重視していますか。

給与条件以外の、一歩踏み込んだ魅力を伝えることを大事にしています。

給与条件だけでは大手には勝てませんし、求職者側も給与面以外のニーズが多様化しています。多くの中小企業は自社の魅力のアウトプットが苦手です。会社の魅力を引き出し、情報量で差別化を図ることが、我々の取材班の役目だと思っています。そのため、他のメディアでは掲載する情報を増やすほどオプション費用が増すことが多いですが、弊社は掲載情報を無制限にしてサービスを提供しています。

コントリ編集部
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求人媒体は、初めからインターネットをメインに構想しておられたのですか。

そうです。独立当時は、地方の中小企業が選ぶ求人媒体はフリーペーパーが主流でした。だからこそ、インターネット上で展開することで差別化を図りました。弊社でも初め5年間は紙媒体を使っており、それでも黒字化できましたが、先々を見越してビジネスモデルをインターネットに切り替えました。

山口県からこのモデルを始め、3~4年で正社員領域においては県域で一番掲載社数を扱わせていただくサービスに成長しました。全国的にも珍しく、早く声をかけていただいた事例だと思います。

コントリ編集部
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魅力を引き出す取材のポイントなど、チームで共有していることはありますか。

当社のサービスでは、お客様先の反響状況をデータベースに蓄積しています。どの会社のどの記事が、どのくらいの反応を得たか、全てわかります。立ち上げ期こそ仮説段階でしたが、業種や業界によって反響が出やすいポイントをデータとして蓄積し、共有しています。

その中で、エリアの概念よりも業種や職種の傾向が重要ということもわかっています。それらの特徴によって反響が変わるので、同系統の業種に横展開してうまくいった事例は、地域が変わってもうまくいくことが多いです。各府県ごとの産業構造の違いはありますが、基本パターンを確立して展開しています。

同業他社が多い地域では苦戦することもありますが、営業面での工夫で勝てるようにしています。

ー別のテレビ取材で、「判断力の差は情報の差」とおっしゃっていました。適切な情報量があるからこそ、ミスマッチのない就職ができるということでしょうか。

その通りです。中小企業の求人で、当社が提供しているほどに情報が濃いものは珍しいと自負しております。採用は専門性が高い分野ですので、適切に外部パートナーを頼ることが重要です。採用がうまくいっていない会社は、多くの場合、採用を投資と捉えてアクションができていないことが原因ではないでしょうか。自分の会社の良いところを見つけるためにも、第三者の視点というのは欠かせないと考えます。

離職の壁から学ぶ、社員の働きやすさの本質とは?

コントリ編集部
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順風満帆にも思える立ち上げですが、従業員の離職が続いて落ち込んだ時期もあったとうかがいました。その時の心情や、再起のきっかけを教えてください。

正直、その時は意図的に何かできたことはあまりありませんでした。業績も伸び悩み、人が辞めることでマイナスの影響がありました。ひたすら事業の立て直しに取り組み、再度何をやるべきなのかを考えました。その時に出会った2人の社員が、新規事業を一緒に進めてくれたのが再起のきっかけです。彼らとの出会いがなければ、会社が持ちこたえられなかったかもしれません。

既存事業を守ってくれる社員と、新規事業を一緒に進めてくれる社員。彼らのおかげで会社が再び成長できました。

コントリ編集部
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新規事業が軌道に乗ることで、離職も減ったのですね。

そうです。ただ、組織化を進める過程で新たな課題も出てきました。組織の規模が大きくなると、それまで裁量に任せていた部分にもルールを設ける必要が出てきます。ルール化されることは、アットホームな雰囲気を好む社員には合わないこともありました。そういった変化の中で、会社の価値観に合わせられない社員も出てきました。

しかし、あえてうやむやにせず今後の会社の方向性を発信することで、それに賛同してくれる社員と共に進むことができました。結果的に、組織化を進めることで、業績が上がり離職も減少しました。もちろん、全員が賛同するわけではありませんが、会社の価値観に合った社員とともに成長していくことが大切です。語弊があるかもしれませんが、働く方には働く方の選択肢があると思ってます。それまで一緒にやってきてくれたメンバーに嘘偽りなく、それぞれが悔いのない判断をできるようにするためにも、会社として方向性を決めたのなら、その道を進むべきだと感じています。

コントリ編集部
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河村社長ご自身が、社員に対して密に接するようにされたのでしょうか。退職が減った理由の一つとして、社内の雰囲気の影響はどのように考えておられますか。

いえ、その点で言うならば「逆」なんです。コミュニケーション量は、むしろ減らしました。組織図がない少人数の頃は、離職が多かった時は自分が歩み寄っていましたが、組織図ができあがると部長や課長が一般社員の面倒を見てくれるので、そこを飛び越えて私が強く関与すると役職者の立場がなくなってしまいます。そのため、権限を委譲し、直接の上司を通じて解決できないことだけを上に上げてもらうようにしました。アットホーム感は減ったかもしれませんが、直属の上司との信頼関係が厚いという安心感は日常の細かいシーンで重要になってきます。

コントリ編集部
コントリ編集部

社員と距離を取るといっても、近づきがたいわけではなく、見守るスタンスということですね。

メリハリを大切にしています。おかげで自社の採用についても、昨年はエージェントからの紹介などで1000名ほどの履歴書が届きました。

コントリ編集部
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他にも、社員が働きやすくなるよう、居心地の良いオフィスを整えるために数千万円かけたというお話に驚きました。

今では当たり前かもしれませんが、以前は労働環境に投資する概念がありませんでした。綺麗でおしゃれなオフィスで働くことが、採用面でも差別化になり、ポジティブな変化を生みました。2018年頃にオフィスを整えたのですが、コロナ禍でも出社したいと言ってくれる人が多かった一要素になったと思います。

また、オフィスには求職者もいらっしゃいます。ホテルのようなリラックスできる空間を目指して設計をお願いしました。県外から視察に来られることもあるので、美味しいお菓子を常に準備して、ほっとして過ごしていただける雰囲気を作っています。

コントリ編集部
コントリ編集部

自社の従業員に対する満足度調査などはされていますか。

年に1回アンケートを取ることはありますが、定期的にはしていません。

結果は悪くないと思います。もちろん、改善要望は常に上がりますが、働きやすいという総評をいただいています。

その他の風土としては、挑戦・失敗できる環境作りは常に心がけています。たとえば、業務においてはプロジェクトやチーム単位で責任者を立て、権限を委譲しています。私たち経営側はなるべく存在感を消して月ごとの進捗の確認などに介入を留め、社員が自主的に動けるようにしています。難しいですが、団結を保つためにはこのバランスが必要です。親が子供に言い過ぎるような形にならないように、サポートするタイミングではサポートし、失敗も経験の一部として許容しています。そういった文化は心理的安全性の確保に繋がりますし、その中で、社員にはクリエイティブな行動が生まれています。

コントリ編集部
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私の前職も挑戦・失敗に寛容な環境でした。大変な仕事が降ってきても、その分任されていると感じる嬉しさが大きかったのを覚えています。

そんな期待感を得てくれていたら嬉しいですね。トップダウンで締め付けてしまって、「どうせ言っても無駄だ」とか、「失敗するなら何もしないほうがいい」などと諦めてしまっている状況は怖いですよ、目が死んでいきますから。

成長の機会は挑戦から生まれるので、その機会をどう作るかを常に考えるのが私の役割です。ビジネス的にはドライに対応しなければならないこともありますが、社員もそのことを理解してくれており、信頼を預けてくれていると思っています。

コントリ編集部
コントリ編集部

最後に、御社の今後のビジョンを教えてください。

当面は、まだ事業が展開されていない地域をカバーすることに注力します。都市部ではなく地方に重点を置き、取引先を増やし、より多くの中小企業から信頼されるメディアに成長させることを目指しています。

また、現在、メディア事業として企業側の情報と求職者を繋ぎ合わせるマッチング系のシステムの開発をしています。蓄積された企業情報を元に、求人とそれにフィットする人材のマッチングを可能にするシステムを作っていきたいです。

コロナ禍以降、UターンやIターンのニーズは増えています。しかし、今までは自分の地元で仕事を探したくても、情報が足りず、結局都市部に留まるしかないケースが多かったのです。この壁が超えられれば、「地元で働く」選択肢はもっと顕在化するはずです。web上の情報だけではなく、コーディネーターが無料で相談に乗り、より具体的な情報を提供しています。

コントリ編集部
コントリ編集部

その相談の取り組みは、山口県限定ですか?

いえ、他の地域でも希望があれば対応しています。

地方では、公務員か地元の老舗企業しか選択肢がないという話はよく聞きます。しかし、価値観も多様化して、給与以外の幸せを求める人も増えています。入社前に働く人の顔や考えに触れられると、選択肢が広がります。そうすると、これまでは見えてこなかった地元の優良企業や、自分にフィットする会社と出会うことができます。

今はまだ、そのための情報提供が不十分です。就職のミスマッチを減らすためにも、企業と求職者の双方が情報を持つことが肝要です。

コントリ編集部
コントリ編集部

人材の悩みは多くの企業にとって共通の課題です。コストのかかる大手への依頼かハローワークの二極化になりがちな中、御社のような選択肢があると、ぐっと採用活動の幅が広がりますね。

優れた人材が1人入ることで、会社の風向きががらりと変わることがあります。中小企業では特にそうでしょう。さらに多くの繋がりを創出できるよう、今年度中には上場を実現したいと思っています。上場によって信頼性が上がることで、営業や資金調達面で有利になることを期待しています。また、当社の採用においてもポジティブな影響があるでしょうし、素敵な出会いが生まれればと思っています。

コントリ編集部
コントリ編集部

ありがとうございました。「働く」という生活と最も密接な居場所についてはまだまだ情報量に偏りがあります。本当に必要な求職の情報が提供されることは、個人の生活においても社会にとっても非常に大切なことだと改めて感じました。

読者の皆様の住む場所にもすばらしい企業がたくさん眠っているはず。その情報ネットワークが広がることを、楽しみにお待ちください!

コントリ編集部からひとこと

リーマンショック以降、「派遣切り」が社会問題となる中、「派遣社員に安定した将来を提供したい」という思いから、派遣や正社員という雇用形態にとらわれない総合的な人材紹介事業をスタートさせた河村社長。地方では中小企業が多数を占めており、その多くが「長く働ける正社員」を求めています。河村社長は、これまで派遣として働いていた人材を正社員として紹介しています。こうして、派遣で働く人々に将来の選択肢を増やしてきました。

自身を「熱い経営者ではない」と語る河村社長が理想とする社長像は、「存在感をなくす」ことだとおっしゃっています。整備された組織図の中で各部署に権限を委譲し、各部署の直属の上司が指導し、社長は必要な時にだけ手を差し伸べるというスタイルです。以前は社長と社員が密接な関係にありましたが、現在のスタイルに移行するまでには忍耐が必要だったようです。しかし、社員の失敗を温かく見守るその姿勢からは、社員の成長を願う河村社長の熱い思いが感じられます。

「働きたい」と思える職場を自社で実現しているBe winは、地方の中小企業の良きモデルとなり、地方をさらに盛り上げる役割を担っています。今後、提携地域がさらに拡大し、全国の中小企業を支援し、地域の活性化が促進される未来を楽しみにしております。

インタビュアー 前田 幸子

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プロフィール

株式会社Be win
代表取締役
河村 勝就

山口県宇部市出身。島根職業能力開発短期大学校を卒業後、建築業や不動産営業を経て起業。2007年に株式会社Be winを設立し、地方の中小企業と求職者をつなぐ求人広告事業を展開。全国約30地域でサービスを提供し、地域経済の活性化に貢献している。趣味はジムでのトレーニングとキャンピングカー旅行。おすすめの本は『ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣』。

会社概要

設立2007年2月14日
資本金2,000万円
所在地山口県宇部市寿町2丁目5-21
従業員数59名
事業内容求人広告事業(求人サイトじょぶるの運営)
人材派遣・紹介事業(許可番号/派35-300051・許可番号/35-ユ-300024)
HRプラットフォーム事業
HPhttps://recruit.be-win.co.jp

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