「お客様の利益を最大化する」ために。――相続不動産の専門家が14年間、仲介という立ち位置にこだわり続ける理由

「相続で揉めるのは、だいたい不動産のせいです」――。穏やかな口調の中に、14年間・4万件超の相談に向き合ってきた人間の静かな確信が宿っていました。

東京・丸の内に本社を構えるセンチュリー21中央プロパティーは、2011年設立、従業員数約40名の不動産会社です。その実態は、業界が敬遠してきた「相続不動産の複雑なトラブル案件」に特化した、他に類を見ない専門エージェント集団。共有持分・借地権・底地という、プロでさえ頭を抱える領域に正面から向き合い、創業以来、お客様にとって最も透明性の高い「仲介」というスキームを軸に成長を続けてきました。

代表の松原昌洙氏は、なぜそれほどまでに「お客様と同じ視点に立つこと」にこだわるのか。そして、なぜ「社内弁護士」という業界でほぼ前例のない体制を作り上げたのか。その経営哲学と、日本の相続問題の核心に迫りました。

「人生に深く関わる仕事」への渇望

松原氏のキャリアの原点は、不動産担保ローンのファイナンス会社にあります。当初は知人の紹介で足を踏み入れた世界でしたが、そこで向き合ったのは「数字」以上に、その背景にある「人々の切実な人生」でした。

「当時は数千万、数億という大きな資金が動くダイナミズムに惹かれた面もありました。しかし、業務を通じて営業や債権管理を経験するうちに、自分の中に一つの強い思いが芽生えていったんです」

それは、「お客様一人ひとりと直接向き合い、その人生の課題を解決するBtoCの仕事がしたい」という純粋な志向でした。単なる資金の流動化ではなく、エンドユーザーに寄り添い、直接的に価値を提供したい。その思いが、松原氏を次なるステージへと突き動かします。

その後、デベロッパーへ転じ、開発用地の仕入れを担当。リーマン・ショックという激震の中、金融機関の融資がストップする混乱期を最前線で駆け抜けた経験は、市場の厳しさと同時に、不動産の持つ「一筋縄ではいかない重み」を松原氏に叩き込みました。

確信を持って踏み出した独立への道

2011年、松原氏は独立を決意します。周囲からの「お前ならできる」という後押しもありましたが、何より自身の心の中に「自らの理想とする顧客支援の形を実現したい」という確かな熱量がありました。

「決して楽な道ではないことは分かっていました。むしろ、誰もが避ける複雑な案件にこそ、自分たちが介在する意義がある。すごく大変だろうという覚悟は、最初から決まっていました」

軽やかな語り口の中に、一貫して流れる「現場主義」と「顧客への誠実さ」。それが、松原昌洙という経営者の素顔です。

相続で家族が壊れる――現場で繰り返し目撃した現実

なぜ、数ある不動産の分野の中から「相続不動産」に特化することを選んだのか。松原氏は、相続トラブルの本質をこう語ります。

「相続で揉めるのは、不動産があるからです。現金と違って、不動産はどうしても公平に分けることができない」

松原氏が語る典型的なケースはこうです。亡くなった両親の遺産を男3兄弟で分けることになった。長男は実家に住み続けており、次男は遠方で事業を営んでいるが資金難で悩んでいる、三男は留学に出たきり帰らず、生前は親に援助を受け続けていた――それぞれまったく異なる状況の中で「3人で等分割」しようとすれば、揉めないほうが不自然です。

  • このまま実家に住み続けたい長男
  • 実家を売ってお金を得たい次男
  • 連絡が取れない三男

法律上の権利は3分の1ずつでも、人間の感情は複雑に絡み合い、そう簡単に割り切れるものではありません。

さらに問題を複雑にするのが、時間の経過です。共有者のひとりが亡くなるたびに、その権利(共有持分)は子や孫に相続され、「ネズミ算式」に共有者が増え続けるのです。気づけば連絡先も知らないような親族と共有関係になっており、住んでもいない不動産の権利だけを持ち続けているという状況になります。

こうした現実を何度も目の当たりにしてきた松原氏は、表情を曇らせながら語ります。

「『うちは仲が良いから大丈夫』と思っている間柄でも、相続をきっかけに関係が崩れ去る。その現実を何度も目にしてきました」

不動産の分割で揉めると、最終的には裁判(共有物分割請求訴訟)に発展します。裁判の末に「思い出の詰まった実家を失い、兄弟が絶縁状態」という最悪の結末を迎えたケースも、一つや二つではありません。

インタビューの場には、ご自身も父の死後に家族で不動産の相続を巡って揉めた経験を持つ方がいました。

「父が亡くなったとき、そのタイミングで専門家がきちんと整理してくれていれば揉めなかった」

その言葉に、松原氏は静かに頷きます。

「とりあえず共有名義で相続登記しておこう、という安易な判断の典型的な事例ですね。共有名義の危険性をもっと世の中に知ってもらうことの大切さを痛感します」

相続にまつわる数多くのトラブルや悩みを一番近くで見続けてきた松原氏が、「不動産相続で困る人をなくしたい」という思いで中央プロパティーという会社を設立したのは、ごく自然なことでした。

「仲介エージェント」として、お客様と利益を共にする

相続不動産の分野では近年、共有持分や借地権を専門に扱う「買取業者」が増えています。流動性の低い不動産を自社で買い取るビジネスモデルは、収益性の高さが魅力です。しかし松原氏は、創業から14年間、一貫して「仲介」という立場を経営の軸に据えてきました。

そこには、BtoCビジネスにおける松原氏の明確な信念があります。

「自社で買い取るとなると、どうしても『安く仕入れること』が優先されがちです。それは時にお客様の利益と相反することもあります。一方で仲介という立場なら、高く売却できればお客様も喜び、我々の成果にも繋がる。つまり、お客様と100%同じゴールを目指せるんです」

「取引のその先」まで伴走する専門性

松原氏が仲介にこだわるもう一つの理由は、単なる売買で終わらせない「権利調整」への自信です。

例えば、共有持分を売却した後の境界確定や、地主との借地権交渉など、複雑な手続きが続くケースは少なくありません。同社は「社内弁護士」を擁する体制を活かし、売却後もコンサルタントとして深く関わり続けます。

「一過性の売買益を追うのではなく、お客様の課題解決に最後まで伴走する。この密接な信頼関係こそが、結果として次のご縁や大きな仕事に繋がっていくのだと確信しています」

現在は、この「徹底した顧客視点」を貫くための体制を磨き上げている段階。その柔軟で誠実な姿勢こそが、同社の競争力の源泉となっています。

業界の常識を覆す「社内弁護士」という最強の武器

センチュリー21中央プロパティーの体制として、もう一つ業界の常識を大きく覆しているものがあります。それが、「社内(インハウス)弁護士」の存在です。

一般的な不動産会社が「提携弁護士を紹介する」「顧問弁護士に聞く」という形で法律の専門家と関わるのに対し、中央プロパティーには不動産・借地権に詳しい弁護士が「社員」として常駐しています。

なぜそこまでするのか。松原氏は静かに語ります。

「一般の方にとって弁護士は、知り合いに頼むか、高いハードルを越えて相談に行くかという存在です。でも弊社に来れば、弁護士を紹介するのではなく、弁護士がすでにいます」

同じアドバイスをするにしても、1人の営業マンが伝えるのと、法律の専門家である弁護士――しかも「うちの社員の弁護士」――が伝えるのとでは、お客様の安心感がまったく違います。相談のときから遺産分割協議書の整理、調停のサポートに至るまで、社内弁護士が同席して対応します。

この体制が生む効果は、お客様の安心だけにとどまりません。松原氏はこう続けます。

「直近の最高裁判例も含めてタイムリーに法的に正しい判断ができる。そういう体制はなかなかないと思います」

実際、借地権に関する直近の最高裁判例を裏付けとして地主との交渉ができることは大きな武器です。対面で交渉を担当する営業職の深い知見も相まって、他社に比べ圧倒的に円滑に売買取引を進めることができるといいます。

現在、社内弁護士が1名在籍しており、初回の面談時から同席できる体制を整えています。

その弁護士について尋ねると、松原氏は信頼を込めてこう語りました。

「不動産や相続の知見が豊富で、バイタリティに溢れた頼もしい存在です。お客様と同じ目線で、粘り強く解決の糸口を探してくれています」

「売れない」は大きな誤解――借地権の真実

相続不動産の世界には、知識の欠如から生まれる「誤解」が数多く存在します。その最たるものが、借地権をめぐる思い込みです。

借地権とは、地主の土地の上に借地人が建物を建てて所有する権利です。売却や建て替えには地主の承諾が必要なため、「地主が承諾してくれないから売れない」「いずれ更地にして地主に土地を返さなければならない」と思い込んでいる方が、今でも非常に多いと松原氏は言います。

そこに松原氏は力を込めます。

「弊社に来ていただければ、『借地権は売れます。地主が承諾してくれなくても現金化できる方法があります』とお伝えできます」

よくあるご相談として、こんなケースがあります――子どもたちは独立して実家を出ており、高齢の親だけが借地権の実家に住んでいる。親が施設に入ることになり、空き家になったタイミングで、娘や息子が「住んでいない家の地代を毎月払い続けるより売りたい」と考える。地主に確認したところ、売却の承諾をしてくれない。「もう打つ手はない」と諦めて、無償または解体費用を払って更地にした状態で、借地権を返還してしまう――。

インタビューの場にいた方は、深く頷きながらこう語りました。

「他に選択肢があることを知らないんです。地主に言われたから、もう売ることもできない、我慢するしかないと思い込んでいる」

同社が介入した場合、仮に地主が500万円の譲渡承諾料を要求してきても「相場は100万円程度ではないですか」と交渉できる。借地借家法に守られた強い権利であることを、直近の判例を踏まえながら丁寧に説明できる。それが、社内弁護士を持つ中央プロパティーだからこそできることです。

「相続不動産といえばセンチュリー21中央プロパティー」へ――空き家問題と社会課題への挑戦

「相続不動産といえば中央プロパティー」というブランドを目指す――松原氏が語る今後のビジョンには、一つの会社の成長を超えた視野が宿っています。

国税庁の統計によると、日本の相続財産に占める土地・家屋の割合は3〜4割。そして相続問題で顕在化しているのは、そのほんの一部に過ぎないと松原氏は言います。

「潜在的なニーズは膨大です」

借地権問題は空き家問題とも直結しています。その規模について、松原氏はこう語ります。

「空き家の総面積は、現在の九州の面積から、ゆくゆくは北海道の面積レベルにまで広がると言われています」

そこに中央プロパティーが関わることは、個人の相続トラブルを解決するだけでなく、社会課題の解決にも直接つながっていきます。

具体的な展開として、松原氏はセンチュリー21加盟店ネットワークとの連携強化を挙げます。すでに北海道の加盟店からのご紹介案件の実績もあります。また、今は東京の1拠点ですが、今後は東西への拠点展開も構想しています。社内弁護士も、1人より2人、2人より3人と増やしていくことで対応できる案件の幅が広がっていきます。

生前対策としての遺言書の普及啓発、認知症対策に有効な家族信託(民事信託)の活用推進――こうした取り組みも、同じ「相続問題の根本解決」という軸で展開されています。

「最善の選択肢」を提供し続けるという約束

インタビューの最後、松原氏は自身の経営哲学をこう締めくくりました。

「私たちが大切にしているのは、常にお客様と同じ視点に立ち、その時々で『最善の選択肢』を提示し続けることです。そのためには、仲介という透明性の高い仕組みが現在の私たちの強みですが、何よりも優先されるべきは『お客様の利益の最大化』に他なりません」

その言葉には、手法に固執するのではなく、常に顧客にとっての正解を追い求め続けるプロフェッショナルとしての覚悟が滲んでいました。

コントリ編集部から

取材を終えて、松原昌洙氏の歩みは「一見遠回りに見えて、実は最も本質的であり、近道かもしれない」と感じました。

短期的な利益を優先して自社購入(買取)に走るのではなく、あくまでお客様と同じ視点に立てる「仲介エージェント」としての立場を重んじる。弁護士を外部紹介に留めず、自社組織に組み込む。これらすべては、目先の効率よりも「お客様にとっての最善の解決」を追求し続けた結果です。

「相続は他人事ではない」という事実を、インタビューを通じて改めて突きつけられた気がします。「うちは仲が良いから大丈夫」という安心感が、実は最も危うい思い込みかもしれない。

松原氏が積み上げてきた4万件以上の相談の向こうには、同じ数だけの家族の物語があります。その一つひとつと真摯に向き合ってきた人間が、「相続不動産といえば中央プロパティー」という旗を立てようとしている。その挑戦を、これからも応援し続けたいと思います。

プロフィール

株式会社中央プロパティー
代表取締役社長
松原 昌洙(まつばら まさあき)

1970年、静岡県生まれ。都内金融機関、不動産開発会社を経て、2011年に株式会社中央プロパティーを創業。宅地建物取引士、相続アドバイザー(NPO法人相続アドバイザー協議会認定)、住宅ローンアドバイザー(社団法人全日本不動産協会認定)。一般社団法人相続総合支援協会 代表理事。『図解 実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!』『地主と借地人のための借地権トラブル入門書』など、多数の著書を出版。セミナー登壇を通じて、相続トラブルを未然に防ぐための啓蒙活動にも精力的に取り組んでいる。

ギャラリー

会社概要

設立2011年5月
資本金9,000万円
所在地東京都千代田区丸の内1丁目6番5号 丸の内北口ビルディング23F
従業員数40人
事業内容不動産エージェント事業(共有持分・借地権・底地の売買仲介)
不動産開発事業
総合建設業
HPhttps://www.chuou-p.co.jp/

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