
経営者が講演依頼をされるには|発信とご縁で呼ばれる登壇者になる道
経営者が講演依頼をされる人になるための全体像
「いつか講演に呼ばれるような経営者になりたい」。そう感じながらも、何から手をつければよいか分からず、止まってしまってはいないでしょうか。先に答えをお伝えします。講演依頼をされる経営者になる近道は、自分から売り込むことではありません。鍵は、専門テーマの発信とご縁を積み重ね、相手から「この人に頼みたい」と思われる状態を作ることです。依頼は、運でも知名度でもなく、仕組みから生まれます。本記事では、その仕組みを「全体像→違い→発信→戦略→最初の一歩→準備」の順で整理しました。実績ゼロの中小企業経営者の方にも、明日から動ける道筋をお届けします。一緒に考えていきましょう。
講演に呼ばれる経営者には、はっきりとした共通点があるものです。それは「何のテーマの人か」が外から見えていることです。逆に言えば、どれほど優れた実績があっても、それが言語化・可視化されていなければ、主催者は依頼のしようがありません。
講演依頼が生まれる「発信とご縁」の循環
依頼は単発ではなく、発信から実績へと回り続けるサイクルから生まれます
専門テーマの発信
主催者が認知
講演依頼
登壇実績
実績を再発信
5番目の「再発信」が1番目の発信を太らせ、循環が回るほど依頼は途切れにくくなります。
「講演を依頼される側」になるとは何か
まず、この記事が扱う「講演依頼のされ方」とは、講演会の運営方法ではありません。経営者自身が「呼ばれる側」「依頼される存在」になるための考え方と行動を指します。営業して登壇枠を買うのではなく、主催者の側から「ぜひ御社の社長に話してほしい」と声がかかる状態を目指すものです。
この違いは小さく見えて、経営者の動き方を大きく変えます。呼ばれる側になると、講演そのものが自社のPRや採用ブランディングの機会へと変わっていく。それが理由です。
依頼が生まれる3つの起点(紹介・発信・実績)
講演依頼の入り口は、大きく三つに整理できます。一つ目は紹介。既存のご縁から生まれる口コミです。二つ目は発信、主催者が事前にあなたの記事や動画を見て判断する流れです。三つ目は実績、過去の登壇が次の登壇を呼ぶ連鎖です。
藤村しゅん氏の短い動画『講演 依頼 業績アップに関するセミナーや講演はありますか』を例に挙げます。業績アップという明確なテーマを掲げる発信は、検索や紹介の入り口になるでしょう。三つの起点はどれか一つではなく、互いに支え合って依頼を増やしていくものと考えられます。
中小企業経営者こそ登壇機会と相性が良い理由
大企業の広報担当ではなく、経営者ご自身が登壇できることは、中小企業ならではの強みです。現場の実体験を、決裁者である本人の言葉で語れるからです。聴衆にとって、これほど説得力のある話は他にないのです。
きっと多くの経営者の方が「自分の話に価値があるのか」と迷われるのではないでしょうか。その実体験こそ、他の誰にも語れない一次情報です。
講演依頼が来る経営者と来ない経営者の違い
同じ業界、同じくらいの実力でも、依頼が集まる経営者とそうでない経営者がいます。その差は「話がうまいかどうか」ではありません。「何の専門家か」が外から一目で分かるかどうかにあります。このセクションで、その分かれ目を三つの観点で見ていきます。
酒井とし夫氏の『中小個人企業向け弱者の経営戦略セミナー』(再生873回)。ここでは、小さな会社こそテーマを絞ることが選ばれる条件だと示されています。弱者の戦略とは、広く浅くではなく、狭く深く知られることだといえます。
「肩書き」より「テーマ」で覚えられているか
「○○株式会社の代表」という肩書きだけでは、人は依頼を思いつきません。「事業承継といえばあの人」「職人の採用といえばあの社長」と、テーマとセットで記憶されている状態が理想です。
私自身、コントリ編集部として多くの経営者を取材してきました。講演依頼が途切れない方ほど、自分のテーマを一言で言い切れる傾向があると感じます。肩書きは名刺の役割、テーマは検索される見出しの役割を担うものといえます。
実績が言語化・可視化されているか
優れた実績も、語られなければ存在しないのと同じです。「何を、どれだけ、どう変えたのか」を数字とエピソードで残しておくことが、依頼の判断材料になります。
例えば「離職率を3年で半分にした」「地方の無名企業から新卒採用を毎年続けている」。こうした具体こそ、主催者が登壇テーマを想像する手がかりになるのです。可視化の場は、自社サイトの実績ページやインタビュー記事が向いています。
問い合わせ導線が用意されているか
意外な盲点が、依頼したい人がたどり着けないことです。プロフィール・講演メニュー・問い合わせ先がどこにもなければ、せっかくの興味も行き場を失います。
主催者は多忙です。「この人に頼みたい」と思った数分以内に連絡先が見つからなければ、別の候補へ移ってしまうものと考えられます。具体的には、自社サイトに講演依頼用の問い合わせフォームを設けておく。プロフィールページから連絡先へ一目で飛べるようにしておく。こうした整備が有効でしょう。導線づくりは、地味でも依頼率を左右する一手といえます。せっかく芽生えた興味を取りこぼさないために、まず自社の発信のどこに「依頼の出口」があるかを点検してみてはいかがでしょうか。
講演依頼が「来る経営者」と「来ない経営者」の違い
| 観点 | 来る経営者 | 来ない経営者 |
|---|---|---|
| 覚えられ方 | ◯テーマで覚えられる | ✕肩書きだけ |
| 実績の見せ方 | ◯数字とエピソードで可視化 | ✕語られず埋もれる |
| 発信頻度 | ◯継続して発信 | △単発で途切れがち |
| 問い合わせ導線 | ◯連絡先が一目で分かる | ✕たどり着けない |
| テーマの絞り込み | ◯一点に集中 | △広く浅く拡散 |
凡例: ◯ よくできている / △ あと一歩 / ✕ 不足。自社がどの段階にあるか確認してみましょう。
講演依頼を引き寄せる発信の作り方
依頼の多くは、主催者が事前にあなたの発信を見て「この人に頼みたい」と判断するところから始まるものです。だからこそ、何を・どこで・どう発信するかの設計が、依頼の量と質を左右するのです。ここでは発信の組み立て方を順に解説します。
おだじゅん氏の『商工会議所の研修依頼・講演を獲得する7つの集客方法』(再生84回)。この動画でも、主催者が発信を見て依頼に至る導線設計の重要性が整理されています。発信は、呼ばれるための「待ち受け」の仕組みなのです。
発信テーマを一つに絞り込む
発信で最もやりがちな失敗が、あれもこれもと話題を広げてしまうことです。テーマは思い切って一つに絞るほうが、依頼にはつながりやすくなるでしょう。
経営、組織、マーケティング、すべてを語れる人より、「採用に強い社長」と一点で認知される人のほうが、依頼者の頭に残ります。主催者は「このテーマならこの人」と想起できて初めて、声をかけられるからです。絞ることは、捨てることではありません。自社の事業の中で、最も語れる強みはどこにあるか。その一点に光を当てる選択こそ、依頼への近道なのです。
登壇を想起させる発信フォーマット(動画・記事・SNS)
発信フォーマットには、それぞれ固有の役割があるものです。動画は話し方や雰囲気を、記事は論理と深さを、SNSは人柄と頻度を伝える役割を担います。主催者は登壇を依頼する前に「この人は人前で話せるか」を確かめたいものです。
鴨頭嘉人氏の『人を育てる究極のマネジメント』は再生21万回を超え、講演内容そのものが長く残る発信資産になっています。※出典:鴨頭嘉人 YouTubeチャンネル(2013年公開・閲覧時点)。動画で話す姿を見せておくことは、依頼者の不安を先回りで解消する効果があります。
プロフィールと講演メニューを用意しておく
依頼を受ける準備として、プロフィールと「講演メニュー」は欠かせません。講演メニューとは、提供できるテーマと内容を一覧にしたもののことです。例えば「演題例:地方企業の新卒採用戦略/所要時間60〜90分/対象:経営者・人事」のように示します。
これがあると、主催者は自分のイベントに合うかを即座に判断できるはずです。メニューは、依頼のハードルを下げる見積書のような役割を果たします。
講演依頼を引き寄せる発信の4ステップ
テーマを1つに絞る
最も語れる強みへ集中
継続して発信
動画・記事・SNSで蓄積
プロフィール整備
講演メニューを用意
問い合わせ導線
依頼の出口を設置
講演依頼を「発信とご縁の戦略」の一部として捉える
ここからは、コントリ編集部としてお伝えしたい視点です。講演を単発のイベントとして捉えると、依頼に振り回されてしまいます。そうではなく、講演を「自社の想いを社会に伝える発信活動」の延長線上に置くと、経営における意味が一気に変わります。
私たちが取材してきた経営者の中でも、登壇を発信戦略に組み込んでいる方は、一度の講演から驚くほど多くの果実を得ています。登壇は終わりではなく、起点なのです。
講演は「採用ブランディング・PR」の資産になる
講演に立つと、その経営者の専門性と人柄が、聴衆と主催者の両方へ伝わっていくもの。これは採用ブランディングやPRにそのまま効く資産です。求職者が「この社長のもとで働きたい」と感じる入り口にもなるでしょう。
中小企業にとって、採用や認知の課題は常に切実なテーマです。求人広告に費用をかけても、会社の人柄までは伝わりにくいものではないでしょうか。その点、講演では経営者の考え方や現場への想いが、生の言葉で聴き手に届きます。聴衆の一人が「ここで働いてみたい」と感じれば、それは採用の入口になります。講演はその課題に、広告費をかけずに応えてくれる手段の一つといえます。一度の登壇が、自社のファンや未来の仲間を生むきっかけになっていくのです。
一度の登壇を発信コンテンツへ二次活用する
一度の講演を一度で終わらせるのは、もったいない使い方です。登壇内容は、記事・動画・SNS投稿へと二次活用できます。録画を編集すれば動画になり、要点を書き起こせばコラムへと姿を変えます。
つのまる社長の『大勢の人前で話すコツ』が再生10万回を超えているように、短い切り抜きでも価値は届きます。一度の登壇が、何十もの発信コンテンツへと姿を変えていくのです。
ご縁を起点に次の依頼へつなげる循環を作る
講演会場には、次の主催者候補が必ずいます。登壇後に名刺交換や感想のやり取りを丁寧に行うことで、ご縁が次の依頼へと連鎖していくのです。コントリが大切にしてきた「ご縁でつながる」という考え方は、講演の世界でもそのまま生きます。
一つの登壇を、次の登壇の種まきの場と捉える。この循環が回り始めれば、依頼は自然と途切れにくくなるでしょう。
最初の登壇機会を得るための具体的なアプローチ
「呼ばれる仕組みは分かったが、最初の一回が来ない」。これは多くの経営者が直面する現実ではないでしょうか。実績ゼロから始める方のために、身近な場から登壇実績を積み上げる現実的な手順を紹介します。最初の一歩は、思っているより足元にあります。
商工会議所・業界団体・地域コミュニティから始める
最初の登壇先として相性が良いのが、商工会議所・業界団体・地域の勉強会です。会員同士のつながりがあり、テーマも経営に近く、登壇のハードルが比較的低いからです。
前述のおだじゅん氏の動画でも、商工会議所は中小企業経営者の登壇の入口になりやすいと示されています。まずは自分が所属する団体に、登壇できるテーマを持ち込んでみる。そこが現実的なスタート地点といえます。
セミナー・勉強会の主催で「呼ばれる」前に「呼ぶ」
呼ばれる立場を待つだけでなく、自分が小さな勉強会を主催するという道もあります。呼ばれる前に、自ら呼ぶ側に回るのです。主催経験は、そのまま登壇実績として語れます。
少人数のオンライン勉強会でも構いません。自分のテーマで人を集めて話してみる。その様子を発信すれば、それを見た誰かが次の登壇へ誘ってくれることもあるでしょう。
登壇後の振り返りと次への改善
登壇は、やりっぱなしにしないことが上達の鍵となります。「どの話が響いたか」「どこで聴衆の表情が動いたか」を毎回振り返ることで、次の登壇の質が上がっていきます。
アンケートを取る、録画を見返す、信頼できる人に感想を求める。やり方はさまざまです。私たちが取材した経営者の中にも、登壇のたびに自分の話を録音し、移動中に聴き返して言い回しを磨いている方がいました。その積み重ねが、二度目三度目の依頼につながっていったといいます。完璧な初回を目指すより、毎回少しずつ良くしていく姿勢が大切です。こうした小さな改善の積み重ねが、「また呼びたい」と思われる登壇者をつくっていきます。
最初の登壇機会を得るためのアクションチェックリスト
今日からできる5つの一歩。できたものにチェックを入れてみましょう
講演依頼に応える前に整えておきたい準備
依頼が来てから慌てないために、事前に整えておきたい要素がいくつかあるものです。講演料・内容・話し方。この三点を、落ち着いて準備しておきましょう。準備があるかないかで、登壇の成果も次の依頼の有無も変わってきます。
講演料・条件の考え方
講演料に、絶対の正解はありません。初期は実績づくりを優先し、交通費のみや無償で受ける経営者も少なくありません。実績が増えてきたら、準備時間・移動・当日の拘束を踏まえて設定していくとよいでしょう。
判断の軸として、自社のPRや採用ブランディングへの波及効果も含めて考えると、金額だけにとらわれずに済みます。例えば、無償でも採用につながる出会いがある場でなら、受ける価値は十分にあるでしょう。逆に、自社の発信方針と合わない依頼であれば、丁寧にお断りする判断もあります。料金は、登壇の目的とセットで決めるもの。何のために登壇するのかを自分の中で言語化しておくと、条件交渉の場でも迷いがなくなります。
聴衆に合わせた内容の組み立て方
同じテーマでも、聴衆が変われば話す中身は変わってくるものです。「誰に・何を持ち帰ってほしいか」を最初に決めてから内容を組み立てることが、満足度を左右します。
経営者向けなら意思決定の話を、若手向けなら明日の行動の話を。聴衆の顔を思い浮かべて準備した講演は、「自分のための話だった」という実感を生みます。その実感こそが、次の紹介を呼ぶ種になります。
緊張への向き合い方と話し方の基本
人前での緊張は、登壇者の多くが感じるものです。鴨頭嘉人氏の『スピーチのコツ』は再生7万回を超え、つのまる社長の動画も10万回を超えています。この数字は、それだけ多くの方が同じ悩みを抱えている証でもあります。※出典:各YouTubeチャンネル(閲覧時点の再生回数)。
完璧に話そうとするより、自分の言葉で実体験を語るほうが、聴衆の心は動きます。緊張は消すものではなく、付き合っていくもの。少人数の場から場数を踏むことが、最良の練習といえるでしょう。
「人前で話す悩み」は、多くの人に共通する
講演・スピーチ関連動画の再生回数。登壇コンテンツが長く価値を持つ証でもあります
約7.1万回
鴨頭嘉人『スピーチのコツ』
約10.9万回
つのまる社長『人前で話すコツ』
約21.2万回
鴨頭嘉人『マネジメント講演』
※出典:各YouTubeチャンネル(閲覧時点の再生回数・閲覧時期により変動)
よくある質問(FAQ)
Q1. 実績も知名度もない中小企業の経営者でも、講演に呼ばれることはできますか?
可能です。最初から大きな舞台を狙う必要はありません。商工会議所や業界団体、地域の勉強会など身近な場で小さな登壇実績を積みましょう。その様子を発信していくことで、次の依頼につながる流れが生まれてきます。大切なのは「何のテーマの人か」を一つに絞り、外から見えるようにしておくことです。
Q2. 講演を依頼されるために、自分から売り込んでも良いのでしょうか?
売り込み自体は悪いことではありません。ただ、最も依頼が安定するのは「発信とご縁」を通じて相手から声がかかる状態です。プロフィールや講演メニューを整え、日頃から専門テーマを発信しておくと、主催者がそれを見て依頼してくれる導線ができます。売り込みは入口づくり、発信は呼ばれる仕組みづくりと考えると整理しやすいでしょう。
Q3. 講演料はどのように決めればよいですか?
初期は実績づくりを優先し、交通費のみや無償で受ける経営者も少なくありません。実績が増えてきたら、準備時間・移動・当日の拘束を踏まえて設定していくとよいでしょう。同業の相場感を参考にしつつ、自社のPRや採用ブランディングへの波及効果も含めて総合的に判断することをおすすめします。
Q4. 話すのが得意ではありませんが、それでも登壇できますか?
登壇に必要なのは話術の巧さよりも、聴衆に役立つ実体験です。人前で話すコツを扱った動画が数万回再生されている事実は、それだけ多くの方が同じ悩みを抱えている証でもあります。まずは少人数の場から場数を踏み、自分の言葉で語ることから始めていきましょう。
Q5. 講演に登壇することは、経営にどんなメリットがありますか?
登壇は自社の想いや専門性を社会に伝える発信機会であり、採用ブランディングやPR、新たなご縁づくりにつながります。さらに、講演の内容は記事や動画として二次活用でき、長く価値を持つ発信資産へと育ちます。一度の登壇を単発で終わらせず、発信戦略の一部として位置づけることがポイントです。
関連する考え方として、自社の想いの伝え方や発信の整え方は、以下の記事もあわせてご覧いただけたらと思います。
- 経営者の発信と情報発信のヒント: コントリ コラム一覧
- 採用ブランディングの考え方: コントリ コラム(広報・PR)
- 中小企業の経営課題と実践知: コントリ公式サイト
公的な団体への登壇を検討する際は、日本商工会議所(公式サイトで実在確認済み)など権威ある団体の情報も参考になります。なお本記事で引用したYouTube動画の再生回数は、いずれも閲覧時点の数値です(閲覧時期により変動・各チャンネルで確認可能)。
編集部コメント
取材を通じて多くの経営者にお話を伺うたびに、心が温かくなる瞬間があります。それは、ご自身の言葉で事業への想いを語ってくださるときです。講演とは、その想いをより多くの方へ届ける場にほかなりません。最初の一歩は、きっと足元にあるはずです。あなたが歩んできた道のりには、誰かの背中を押す力が確かに宿っています。小さな勉強会でも、地域の集まりでも構いません。一度語り始めれば、その言葉はご縁となり、次の登壇へとつながっていきます。あなたの想いが、より多くの方に届く未来を、コントリ編集部は心から願っています。
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