リーダーのエネルギーが、組織の体温を決める——あるNPO代表の言葉から考えたこと

昨日、認定NPO法人グローブジャングルの代表理事・森絵美子さんにインタビューをさせていただいた。

カンボジアの孤児院運営や学校建設など、21年間にわたって支援活動を続けてきた方です。その話の中で、リーダーとして一番大切にしていることを聞いたとき、こう答えてくれた。

「自分をハッピーにすることが、リーダーとして一番大切な仕事だと思っています。私の気持ちが乗っていないときは、周りもうまく動かない。逆に私が前向きに上がっているときは、チームが自然と動き出す」

この言葉を、コントリとして多くの経営者と向き合う中で受け取ったとき、「これは経営の本質だ」と思った。今回は、この言葉を起点に、リーダーのあり方と組織・発信の関係について考えてみたいと思います。

リーダーの感情が「組織の体温」をつくる

組織の中で、リーダーの感情状態は想像以上の速さで伝播します。

リーダーが機嫌よく、前向きに仕事をしているとき。チームは自然と動きやすくなる。報告や相談がしやすくなる。アイデアが出やすくなる。「ちょっといいですか?」が言いやすい空気ができる。

逆に、リーダーが疲弊していたり、不機嫌だったりするとき。チームは萎縮する。「今は話しかけないほうがいいかな」という空気が生まれ、情報の流通が悪くなる。問題が早期に上がってこなくなる。気がついたら、小さなトラブルが大きな問題に育っていた、なんてことも起きやすくなる。

これは性格の問題じゃなくて、組織のコミュニケーション設計の問題だと思うんです。

リーダーの感情状態は、チームの空気をつくる。その空気が、チームの行動を決める。だとすると、リーダーが**「自分の感情をマネジメントする」**ことは、立派な経営上の仕事だと言えるんじゃないかなって。

「笑顔しか使わない」という戦略——21年間の逆張りが証明したこと

森さんのインタビューの中で、もう一つ強く印象に残ったエピソードがあります。

活動を始めた当初、支援金が集まらず苦しんでいたとき、先輩の支援団体にこんなアドバイスをもらったそうです。「ガリガリに痩せた、グレーがかった写真でポスターを作って、悲しいキャッチコピーにしたら集まるよ」と。

確かに効果はあるかもしれない——そう思いながらも、森さんはそれをやらなかった。

「私が現地で出会ったカンボジアはカラフルすぎる。みんな笑顔で、暗い写真を使うなんて、私が見てきたものと全然違う」と。

**「笑顔の写真しか使わない」**と決めて、21年間貫き続けた。

その結果、集まってきたのは「支援することで自分もハッピーになりたい」という人たちだけ。ポジティブブランディングを貫いたことが、全NPO法人の約3%しか取得できない「認定NPO法人」という信頼に積み上がっていった。

これは、NPOだけの話じゃないと思うんです。「共感を集めるために、ネガティブを前面に出す」という判断は、中小企業のブランディングでもよく見かけます。でも「困ってる人を救ってあげる」という構図で集めたお客さんとの関係は、どこかぎこちなくなる。

森さんが証明したのは、**「ハッピーを軸にした発信が、長期的な信頼をつくる」**ということでした。

満たされた組織は、外に与えたくなる

森さんが運営支援するくっくま孤児院には、こんなエピソードがあります。

生まれて初めて誕生日を祝ってもらった子が、ホールケーキを切って、その一口目をためらいなくお客さんに差し出す。自分が先に食べようとする子は、一人もいない、と。

「どの子も、一番最初に食べるのは自分じゃないんです。孤児院を始めた最初の頃から、それはずっと変わらない」

満たされた人は、誰かに与えたくなる。

これは組織にも当てはまると思うんです。リーダーが満たされていれば、チームに与えられる。チームが満たされていれば、お客さんに与えられる。その連鎖が、**「回り巡るハッピー」**をつくっていく。

逆に言えば、リーダーが消耗している組織は、どこかで「与えること」が難しくなる。お客さんへの対応が守りに入ったり、発信の言葉が薄くなったりする。それは意欲の問題じゃなく、リーダーのエネルギー状態の問題だったりするんです。

発信の質は、発信者の「状態」で決まる

情報発信という観点からも、これはすごく重要なことだと思っています。

発信の内容は、発信者の状態を映す。

気持ちが乗っていないときに書かれたコンテンツは、どこかそっけなくなる。言葉は合っているのに、何も伝わってこない。逆に、心が動いている状態で書かれたものは、技術的に粗くても伝わる。

「伝わる発信」と「伝わらない発信」の差って、実はそこにあることが多いと感じています。

テクニックより先に、発信者自身が「届けたい気持ち」に満ちている状態であること。これが、コンテンツの土台になる。

コントリがクライアントの経営者と関わるとき、発信の技術よりもまず「その人が今、どんな想いで仕事をしているか」を引き出すことを大切にしているのも、そこに理由があります。その想いが明確になったとき、はじめて**「届く発信設計」**ができると思っているから。

リーダーが「自分をハッピーにすること」を、仕事として捉える

森さんは今年、カンボジアの子どもたちを日本に招いてバンドLIVEと公演を予定しています。横浜では1,000人規模の会場を押さえているそうです。

そして、公演の収益はカンボジア農村部の子どもたちの学校建設に充てる。孤児院の子どもたちが、目標として一緒に描いているビジョンだと言いました。

「自分たちが一生懸命踊って得た収益が、どこかの村の子どもたちの笑顔に変わる。その体験を子どもたちと一緒に作ることが、今回の一番の目標なんです」

かつて「この世の終わり」のような顔で孤児院に来た子どもたちが、今度は誰かの笑顔を作るために舞台に立つ。これが、21年間「ハッピーを軸にした経営」を続けた結果として生まれた光景です。

リーダーが自分をハッピーにすることは、単に自分が気持ちよく過ごすためじゃない。チームに与えるエネルギーになり、発信の質になり、**「出会いの質」**を決めていく。

コントリが大切にしている「想いが伝わる経営者を増やすこと」も、突き詰めればここに行き着く。想いが届くためには、その想いを持つリーダーが、ちゃんと自分を満たしていること。

想いのある経営者の声が、もっと届く世界をつくっていきたい。それがコントリの存在理由です。


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