「貢献」を経営の土台に置くと、何が変わるのか

経営をしていると、ときどき、自分が何のためにやっているのかを見失いそうになることがあると思う。

売上をつくる、組織を動かす、発信する、採用する…やることは山積みで、気づいたら「こなしている」だけになっている。そういう状態になっているとき、たいてい仕事が重く感じる。消耗している、という感覚に近い何か。

僕自身も、そういう局面に直面したことがある。

そのとき気づいたのは、「貢献している実感」が薄れていたということだった。

目標に向かって動いているのに、誰かに届いている手応えがない。やればやるほど、何かがすり減っていく気がする。これはもしかすると、経営者が抱える「見えにくい消耗」のひとつじゃないかと思っている。

「役に立った」という感覚が、動力になる

「誰かの役に立ちたい」という動機は、よく「青臭い」と言われる。

現実的なビジネスの話をするとき、そんな綺麗事ではやっていけないと言いたげな空気が流れることもある。でも、僕はこの動機を、ずっと手放さずにいたいと思っている。それは理想主義からじゃなくて、実際に機能するからです。

コントリで経営者インタビューを続けてきた中で、届けた記事を読んだ経営者が「こんなふうに見てもらえると思っていなかった」と言ってくださることがある。そのとき感じる手応えは、数字の達成とは種類が違う。静かで、でも確かな満足感。

そしてその感覚が、次の仕事への推進力になるんです。

「貢献できた」という経験は、モチベーションを自己生成する力を持っている。外からの評価や報酬に依存しない、内側から湧く力。経営を長く続けるためには、この力が思っているより大事だと思っている。

「誰のため」がぼやけると、発信がぶれる

経営者が発信をするとき、「何を伝えるか」に意識が集中しがちです。

でも本当に問うべきは、「誰に届けたくて、その人に何を感じてほしいのか」という問い。ここがぼやけていると、発信がぶれる。どんなに丁寧に書いても、読んだ相手の心に届かない。

コントリが経営者インタビューに取り組む理由のひとつが、ここにあります。

経営者が自社の魅力を語るとき、その言葉の奥に「誰かに伝えたい」という想いがある。製品へのこだわり、従業員との関係、地域への誇り。それを丁寧に引き出して、届く形に整えることが、僕たちの仕事だと思っています。

「伝える」は自分発信です。「伝わる」は相手起点。

この違いはシンプルだけど、実際に発信設計をしていくとき、この視点がずれているケースをよく見かける。自分が言いたいことを発信しているけれど、相手が受け取りたいものとのズレが生じている状態。そこに、貢献の視点を持ち込むことで、方向性が変わります。

「貢献」を置くことで、出会いの質が変わる

発信の目的を「集客」に置くか、「貢献」に置くかで、集まる人の種類が変わる。

集客を目的にした発信は、興味を持った人を引き寄せる。それは必要なことです。でも、そこに「貢献したい」という視点が加わると、届いた相手との関係の深さが変わってくる。

「この経営者の考え方が好きだ」「この会社と一緒に仕事をしたい」と思ってもらえるとき、それはたいてい、発信の中に「誰かの役に立とうとしている姿勢」が感じられているときだと思うんです。

コントリが大切にしているのは、拡散力よりも出会いの質です。

数多くの人に届けることよりも、本当に必要としている人に、ちゃんと届くこと。その出会いの質を高めるために、発信の設計を丁寧に考える。それが、僕たちが経営者インタビューやハッシンラボで提供したいものの本質だと思っています。

喜ばれることへの「慣れ」に、気をつけたい

少し話が変わるんだけど、ひとつ思っていることがあって。

「貢献すること」を続けていると、だんだんそれが当たり前になってくる。相手が喜んでくれることへの感動が、少しずつ薄れてくる。

これは自然なことで、悪いことでもないんだけど、ここに気をつけていないと、少しずつ「こなす仕事」になっていく。「誰かに届けたい」という感覚が、いつの間にか「仕事を終わらせる」という感覚に置き換わっていく。

だから、意識的に「届いた実感」を受け取り続けることが、経営者にとって大切だと思う。

顧客からの言葉を丁寧に受け取ること。スタッフが喜んでいる瞬間を見逃さないこと。地域から感謝されたときに、ちゃんとそれを自分の中に入れること。

そういう小さな積み重ねが、貢献を動力にし続けるための燃料になる気がしています。

想いが届くことを、事業の中心に置く

「誰かに喜んでもらいたい」という動機は、経営においてもっと評価されていいと思う。

それは綺麗事じゃなくて、本当のことだから。

経営者が自分の事業に誠実に向き合い、「この人たちの役に立ちたい」と思い続けることが、事業の継続性を支えている。発信がぶれないのも、そこに軸があるから。出会いの質が高まるのも、貢献の視点が発信に宿っているから。

コントリが「想いを伝えることが、未来をつくる」というミッションを掲げているのは、この確信があるからです。

想いが届いたとき、人は動く。行動が変わる。場合によっては、その経営者のことを誰かに話してくれる。そうやって、ご縁がご縁を呼んでいく。

それが、僕たちが大切にしている発信の姿です。

貢献して、喜ばれること。それが最大のご褒美だと、今も変わらずそう思っています。


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