ゼブラ企業とは|社会課題の解決と黒字を両立する持続的な会社像

ゼブラ企業とは|社会課題の解決と黒字を両立する持続的な会社像

「ゼブラ企業」という言葉を耳にして、ユニコーン企業となんとなく似た響きを感じた方もいるのではないでしょうか。けれども、この2つが目指す方向は、実は正反対に近いものです。

先に答えをお伝えします。ゼブラ企業とは、社会課題の解決と黒字経営という経済性を、両方あきらめずに両立させながら、長く持続的に成長していく企業のことです。急成長と巨額の企業価値を追うユニコーンとは異なり、共生と持続を重んじます。

本記事では、ゼブラ企業の意味と由来、ユニコーンとの違い、注目される背景、そして中小企業がこの考え方から得られるヒントまでを順に整理します。経営者の方への取材を重ねるなかで感じてきた視点も交えてお伝えします。

ゼブラ企業とは|言葉の意味と由来

ゼブラ企業とは、社会課題の解決と、黒字経営という経済性を両立させながら、長く持続的に成長する企業のことです。相反するように見える2つを、同時に追い求める点に特徴があります。

急拡大や一攫千金を目指すのではなく、社会と共に、着実に歩みを進める。そんな企業のあり方を象徴する言葉として、近年少しずつ広まってきました。

ゼブラ企業の定義をやさしく解説

ゼブラ企業を一言でいえば、「もうけながら、世の中を良くする会社」です。利益を出すこと(経済性)と、社会の課題を解決すること(社会性)を、どちらも大切にします。

ゼブラ企業の基礎知識を解説する動画でも、この社会性と経済性の両立が中心テーマとして語られています。「これだけは知っておきたい」という入門動画も、同じ視点で概念を紹介しています。

なぜ「シマウマ」になぞらえるのか

ゼブラ、つまりシマウマには、白と黒の縞があります。この白黒が、「経済性(もうけ)」と「社会性(世のため)」という、相反する2つを併せ持つことの象徴になっています。

さらに、シマウマは群れで助け合って生きる動物です。一頭で突き進むのではなく、仲間と共に歩む。この生態も、共生を重んじるゼブラ企業のイメージに重なります。

提唱された背景

ゼブラ企業という概念は、2010年代後半に米国のスタートアップ界隈から生まれました。ひと握りの急成長企業だけを称賛する風潮への、静かな異議申し立てでもありました。

短期間で巨額の価値をつくることだけが、企業の成功なのか。そんな問いから、持続と共生を大切にする企業のあり方が言葉になっていきました。

ゼブラ企業とユニコーン企業の違い

ゼブラ企業を理解する近道は、ユニコーン企業との対比です。急成長と巨額の企業価値を追うユニコーンに対し、ゼブラは持続と共生を重んじます。両者は、目指すゴールそのものが異なります。

似た動物のたとえでも、その中身は対照的。主な違いを整理しました。

観点 ユニコーン企業 ゼブラ企業
目指すもの 短期間での急成長と巨額の企業価値 社会課題の解決と黒字の両立・持続
成長の速度 できるだけ速く、大きく 無理のない着実なペース
資金と出口 大型の資金調達とイグジット前提 身の丈に合う資金で長く経営を続ける
価値観 競争して勝ち残る 他者と共生し共に栄える

成長のスピードと目的の違い

ユニコーンは、短期間での急成長を至上の目的とします。一方ゼブラは、成長そのものより「何のために成長するのか」を重視します。

社会課題の解決という目的があるからこそ、無理な急拡大を選ばない。着実なペースで、長く歩み続けることを選びます。

資金調達とイグジットの考え方

ユニコーンは、大型の資金調達と、株式上場や売却といったイグジット(出口)を前提に設計されがちです。ゼブラは、身の丈に合った資金で、経営を長く続けることを大切にします。

ゼブラ企業の資金調達を解説する動画でも、デットやエクイティといった手段を、自社の目的に合わせて選ぶ視点が語られています。

競争か共生かという価値観の違い

もう一つの大きな違いが、価値観です。ユニコーンが競争して勝ち残ることを重んじるのに対し、ゼブラは他者との共生を選びます。

社会課題に協力して向き合うゼブラ企業を扱う動画でも、企業同士が手を取り合って課題に挑む姿が紹介されています。勝ち負けではなく、共に栄える。ここにゼブラらしさが表れます。

なぜいまゼブラ企業が注目されるのか

ゼブラ企業が注目される背景には、短期的な利益偏重への反省があります。社会課題やサステナビリティへの関心が高まり、長く社会と共に栄える企業像が求められるようになりました。

時代の空気が、ゼブラ企業を後押ししています。3つの流れから見ていきましょう。

いまゼブラ企業が注目される3つの流れ
時代の空気が、社会と共に栄える企業像を後押ししています
1
短期利益偏重の見直し
行き過ぎた利益追求への反省から、持続可能な形の利益が問われる
2
社会課題への関心
課題解決を企業のビジネスとして担う動きが広がっている
3
地方創生との親和性
地域に根ざし課題を解決しながら黒字を出す企業への期待
派手さはなくとも、地域と共に静かに貢献し続ける。そんな企業の価値が、あらためて見直されています。

短期利益偏重モデルへの見直し

行き過ぎた短期利益の追求は、環境や社会にひずみを生むことがあります。その反省から、目先のもうけだけでない企業のあり方が問われるようになりました。

利益は大切です。ただし、それが誰かの犠牲の上に成り立つなら、長くは続きません。持続可能な形での利益こそが、いま強く求められる時代へと入りました。

社会課題解決と持続可能性への関心

気候変動や地域の衰退など、社会課題は山積しています。こうした課題の解決を、行政や非営利だけでなく、企業のビジネスとして担う動きが広がっています。

ゼブラ企業は、まさにこの流れの担い手です。本業を通じて社会課題に向き合う姿勢が、多くの共感を集めています。

地方創生・地域経済との親和性

ゼブラ企業の考え方は、地方創生とも深く結びつきます。地域に根ざし、地域の課題を解決しながら黒字を出す企業は、地域経済を支える存在になります。

派手さはなくとも、地域に静かに貢献し続ける。そんな企業の価値が、あらためて見直されています。

ゼブラ企業の主な特徴と条件

ゼブラ企業には、いくつかの共通する特徴があります。社会性と経済性の両立、他者との共生、持続的な成長、そして理念に基づくオーナーシップです。主な条件を見ていきましょう。

経済性と社会性の両立をテーマにした勉強会の動画や、社会性と経済性を両立するキャリアを扱う動画でも、これらの特徴が語られています。

社会性と経済性を両立させる

ゼブラ企業の第一の条件は、社会性と経済性の両立です。どちらか一方に偏らず、両輪として回していく。ここが最も大切なポイントになります。

社会に良いことをしても、赤字では続きません。もうけても、社会を傷つければ意味がない。両立してこそ、ゼブラ企業です。

競争より共生を選ぶ

第二の特徴は、競争より共生を選ぶ姿勢です。同業他社や地域の仲間を、蹴落とす相手ではなく、共に課題に挑むパートナーと捉えます。

一社だけで解決できる社会課題は多くありません。手を取り合うことで、より大きな価値を生み出せます。

持続性と理念に基づく経営

第三に、持続性と理念に基づく経営があります。急成長より、長く続くこと。そして、その根っこには「なぜこの事業をやるのか」という理念があります。

理念という背骨があるからこそ、目先の利益に流されず、ぶれずに歩み続けられます。

中小企業がゼブラ企業を目指す意味

実は、日本の多くの中小企業は、すでにゼブラ的な性質を備えています。地域や顧客と共に長く歩んできた歩みを、ゼブラ企業という言葉で捉え直すと、自社の価値が新たに見えてきます。

新しく何かを始める必要は、必ずしもありません。順に見ていきましょう。

多くの中小企業はすでにゼブラ的である

地域に根ざし、顧客との信頼を積み重ね、長く事業を続けてきた中小企業。その姿は、まさにゼブラ企業そのものだといえます。

私自身、経営者の方への取材のなかで「うちは地味だけど、地域には必要とされている」という誇りを、幾度も伺ってきました。それこそが、ゼブラ企業の価値です。

自社の価値を言語化し発信する

すでにゼブラ的であっても、それを言葉にできていない企業は少なくありません。「当たり前にやってきたこと」の価値に、自分たちが気づいていないのです。

コントリ編集部が経営者インタビューを続けるなかでも、自社の社会的な価値を言語化した瞬間に、経営者の目が輝く場面を何度も見てきました。ゼブラ企業という言葉は、その気づきを促す鏡になります。

共感する仲間や資金とつながる

自社のゼブラ的な価値を発信すると、その姿勢に共感する仲間や顧客、そして資金の出し手とつながっていきます。同じ志を持つ人々との、新たなご縁が生まれます。

社会性を大切にする投資家や金融機関も増えています。想いを発信することが、思いがけない支援を呼び込むこともあります。

国・自治体のローカルゼブラ政策の動き

近年は、国や自治体もゼブラ企業に注目し始めました。中小企業庁は「ローカル・ゼブラ企業」の創出を後押しする動きを見せており、地方創生の担い手として期待が高まっています。

政策という追い風も、少しずつ強まってきました。

中小企業庁のローカル・ゼブラ政策

中小企業庁は、地域の課題解決と経済性を両立する「ローカル・ゼブラ企業」に着目しているのです。中小企業庁が登壇するローカル・ゼブラ政策のセミナー告知動画でも、その方向性が示されています。

詳しい政策の動きは、中小企業庁の公式サイトでも確認できます。地域に根ざす企業への、新たな支援の枠組みが広がりつつあります。

地方創生の担い手としての期待

地方では、人口減少や産業の衰退が深刻な課題です。その解決を、本業を通じて担うゼブラ企業への期待は、年々高まっています。

地域と共に栄える企業が増えれば、地域経済そのものが強くなります。ゼブラ企業は、地方創生の希望の一つです。

支援制度をどう活かすか

国や自治体の支援制度は、うまく活かせば大きな追い風になります。補助金や伴走支援など、地域の課題解決に取り組む企業を後押しする仕組みが整いつつあります。

まずは、自社の取り組みがどの制度に当てはまるかを知ることから。専門家や支援機関に相談しながら、活用を検討してみましょう。関連して、中小企業のSDGs経営の記事や、地域貢献と経営の記事経営理念の言語化の記事利他の経営哲学・自利利他の記事もあわせてご覧いただけたらと思います。

よくある質問(FAQ)

Q. ゼブラ企業とは何ですか?

社会課題の解決と黒字経営という経済性を両立させながら、長く持続的に成長する企業のことです。白と黒の縞を持つシマウマになぞらえ、相反する2つを併せ持つ企業像を表します。

Q. ゼブラ企業とユニコーン企業は何が違いますか?

ユニコーンは急成長と巨額の企業価値を目指しますが、ゼブラは持続と共生を重んじます。競争より協調、短期の急拡大より長期の共栄を大切にする点が異なります。

Q. なぜゼブラ企業が注目されているのですか?

短期的な利益偏重への反省や、社会課題・サステナビリティへの関心の高まりが背景にあります。社会と共に長く栄える企業像が求められるようになったためです。

Q. 中小企業もゼブラ企業になれますか?

多くの中小企業は、地域や顧客と長く歩んできた点ですでにゼブラ的な性質を備えています。その歩みをゼブラ企業として捉え直し、言語化・発信することに意味があります。

Q. ゼブラ企業に関する国の支援はありますか?

中小企業庁が「ローカル・ゼブラ企業」の創出を後押しする動きを見せています。地方創生の担い手として期待されており、関連する支援制度の活用が検討されています。

編集部より

ゼブラ企業という言葉に、はじめは縁遠さを感じる経営者もいるかもしれません。けれども、その中身を知るほどに、多くの中小企業がすでにこの精神を体現してきたことに気づかされます。

地域と共に、顧客と共に、着実に歩んできた日々。その一歩一歩こそが、ゼブラ企業の価値そのものです。派手ではなくとも、社会に必要とされ続ける会社であること。その誇りを言葉にして発信することが、新たなご縁と未来を引き寄せます。この記事が、あなたの経営を見つめ直すきっかけになれば嬉しく思います。

飯塚昭博

この記事の著者

飯塚 昭博

Akihiro Iitsuka

コントリ株式会社 代表取締役

青山学院大学卒業後、自動車会社にて年間180億円規模の設備調達を担当。中小企業経営者の想いに触れる中でその価値を伝えることに使命を感じ、2023年独立。経営者インタビューメディア「コントリ」を運営し、100社以上の経営者を取材。SEO・AI活用・発信設計を通じて中小企業の「伝わる発信」を支援している。

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