
中小企業マーケティングの現状|データで見る5つの実態
「営業はいつも紹介ばかりで、広告費をかけても手応えがない」。そう感じている経営者の方は、少なくないのではないでしょうか。
実は、その感覚には根拠があります。中小企業の新規開拓は、今も紹介や口コミが主戦力です。Webマーケティングの予算が年間100万円に満たない企業は6割にのぼります。それでいて、成果を十分に実感できている企業は1割にとどまります。「頑張っているのに手応えがない」状態は、多くの中小企業に共通する現状だといえます。
本記事では、私たちコントリ編集部が見えてきた5つの実態を整理します。公的統計・民間調査、そして経営者インタビューを重ねるなかで得た、数字と実例が土台です。あわせて、明日から着手できる4つの打ち手も紹介します。
自社の現在地を数字で確かめながら、読み進めていただければと思います。
「重要」なのに後回しにされる——経営課題ランキングに見るマーケティングの位置づけ
経営課題の調査では、「販路開拓」は上位に入る一方、「ブランド・マーケティング強化」は順位が下がります。企業規模が小さいほど、その差は広がります。
まず、経営課題全体でのマーケティングの位置づけを確認します。帝国データバンクの調査では、経営課題の重要度トップ3に「既存顧客との取引深耕」と「販路開拓」が入りました。両方とも、直接的な売上に結びつく活動です。
販路開拓は重視されても、中長期投資であるブランディングは後回しにされやすい構造がうかがえます。マーケティングとブランディングの違いを押さえると、この差が腑に落ちやすくなります。
| 企業規模 | 割合 |
|---|---|
| 大企業 | 42.5% |
| 中堅企業 | 32.2% |
| 中小企業 | 26.9% |
| 小規模企業 | 20.9% |
※出典:帝国データバンク「企業の経営課題に関するアンケート」2026年3月
経営課題ランキングでは「販路開拓」が上位、「ブランディング」は中位にとどまる
帝国データバンクが2026年に実施した調査では、経営課題の上位に3つの項目が並びました。「人材強化」「既存顧客との取引深耕」「販路開拓」です。いずれも、今の売上や採用に直結するテーマです。
一方、同じ調査の「成長戦略」カテゴリーで見ると、様相が変わります。「ブランド・マーケティング強化」は25.9%にとどまります。既存顧客深耕(66.0%)や販路開拓(60.5%)の、半分以下という水準です。マーケティングという言葉は同じでも、経営者の優先順位ははっきり分かれています。
中小企業庁が公表した2024年版小規模企業白書でも、傾向は同じです。小規模事業者が重要と考える経営課題の1位は「販路開拓・マーケティング」で25.6%でした。販路開拓そのものへの関心は、決して低くありません。問題は、その関心が「ブランディング」という中長期の取り組みには向きにくい点にあります。
企業規模が小さいほど「ブランド・マーケティング強化」の優先度が下がる構造
先ほどの帝国データバンクの調査を、企業規模別に見るとより明確です。「ブランド・マーケティング強化」を経営課題に挙げた割合は、大企業42.5%、中堅企業32.2%です。中小企業26.9%、小規模企業20.9%と続きます。規模が小さくなるほど、割合が右肩下がりに減っていきます。
この構造には理由があります。ブランディングは効果が出るまでに時間がかかります。目の前の資金繰りや人手不足への対応を優先せざるを得ない中小企業ほど、後回しにしやすいためです。ブランド戦略の立て方で紹介した通り、資源が限られているからこそ、狙いを絞った戦略設計が重要です。
ただし、これは「中小企業にブランディングが不要」という意味ではありません。むしろ、後回しにされやすいテーマだからこそ、早めに手をつけた企業ほど差がつきやすいとも言えます。
実態①|新規開拓の主戦力は今も「紹介・口コミ」
BtoB中小企業の6割が紹介で新規開拓し、5割超が最も成果に繋がる手法として紹介を挙げています。仕組み化されていない企業ほど、営業は属人化しています。
紹介・口コミは、古い営業手法だと思われがちです。しかし実態は違います。多くの中小企業にとって、今も最も効果の高い新規開拓の手段が紹介です。
ラクスが2025年に実施した調査では、興味深い数字が出ています。BtoB中小企業の営業管理職の60.7%が「既存顧客や知人からの紹介」で新規開拓を行っていました。さらに52.0%が、紹介を「最も成果に繋がる手法」として挙げています。代表電話への架電や飛び込み営業を含む他の手法は、いずれも成果貢献度が12%以下でした。
中小企業の新規開拓における「紹介」の実態
60.7%
紹介で新規開拓を
行っている企業
52.0%
紹介を最も成果に
繋がる手法と回答
59.0%
紹介依存企業の
KPI未設定率
※出典:ラクス「中小企業の新規開拓に関する実態調査」2025年10月
紹介の実践率60.7%、最重要視52.0%というデータが示す構造
紹介が強い理由は、単純です。知人や既存顧客からの紹介は、初対面の営業よりも信頼のハードルが低いためです。特に高額な商品やサービスほど、この差は大きくなります。
一方で、この数字には注意点もあります。紹介に頼る営業は、既存の人脈の広さに成果が左右されます。紹介してくれる顧客が減れば、新規開拓そのものが細っていくリスクを抱えている状態だといえます。紹介という資産を偶然に任せず、言語化していくことが次の課題として浮かび上がってきます。(ラクス「中小企業の新規開拓に関する実態調査」2025年10月)
紹介依存企業ほど営業が属人化するというリスク
同じラクスの調査では、営業の仕組み化についても実態が明らかになりました。KPI(重要業績評価指標)とは、営業活動の達成度を測るための指標のことです。紹介を主要手法とする企業ほど、このKPIの未設定率が高いのです。全体平均39.0%に対し、紹介依存企業では59.0%にのぼります。営業活動が「ほぼ手動」という回答も、全体平均42.0%に対し61.5%と高い水準でした。
紹介が強い会社ほど、営業を属人的な信頼関係に任せきりにしやすい構造があるといえます。紹介そのものが悪いわけではありません。問題は、紹介が生まれる理由を言語化せず、担当者や経営者個人の頑張りに依存し続けることにあります。
【一次情報】99%紹介で成り立つ経営を「信念」で選んだ白金コンディショニングセンター
紹介・口コミを、偶然ではなく戦略として選んだ経営者もいます。港区白金台でパーソナルジムを営む株式会社Leaf代表・田口昌宏氏は、コントリの取材でこう語っています。
「信頼関係こそが商売の基本だと考えているんです。資金も知名度もない個人が事業を成功させるには、専門家として、そして人として信頼していただくしかありませんでした」
田口氏の顧客の99%は、紹介・口コミで訪れます。広告費を削るための選択ではなく、長期的な信頼関係を重視した結果として、この比率にたどり着いたそうです。「2〜3ヶ月で終了ではなく、信頼関係が築けたら一生お付き合いしていくつもりです」という言葉に、紹介が続く理由がにじんでいます。白金コンディショニングセンターのインタビュー記事で、この信頼構築の詳細を紹介しています。
実態②|デジタル化は「入口」止まり、予算100万円未満が6割
中小企業のWebマーケティング予算は6割が年間100万円未満で、成果を十分に実感している企業は1割にとどまります。
紹介・口コミに次ぐ課題が、デジタル施策の伸び悩みです。取り組んではいるが、成果が出ていない状態が、数字にはっきり表れています。
株式会社LiKGが2025年に実施した調査があります。中小企業の年間Webマーケティング予算は「100万円未満」が58.5%と過半数を占めました。SEO・コンテンツ制作の実施率は27.5%、SNS広告19.5%、リスティング広告18.5%です。施策自体に取り組んでいる企業は少なくありませんが、「成果を十分に実感している」と答えた企業はわずか10.0%でした。
中小企業のWebマーケティング予算と成果実感
58.5%
年間予算が
100万円未満の企業
10.0%
成果を十分に
実感している企業
64.5%
成果が見えていない
と回答した企業
※出典:LiKG「Webマーケティング投資実態調査2025」2025年11月
ホームページ・SNSの保有は進んだが「活用の深さ」に課題が残る
ホームページやSNSといった入口の整備自体は、一定程度進んでいます。中小企業庁の2025年版小規模企業白書によれば、SNSを活用している小規模事業者は約4割にのぼります。活用している事業者の52%が、新規顧客数の「増加」を見込んでいます。SNSを活用していない事業者の29%と比べると、その差は歴然です。
問題は、更新頻度や運用の深さです。民間調査では、ホームページを「月1回程度」しか更新していない企業が最多という結果もあります。持っているだけで、育てられていないサイトが少なくないというのが実情です。経営者のためのPR戦略の立て方でも触れた通り、低予算でも継続的に更新する仕組みづくりが、成果を左右する分かれ目です。
施策別の実施率と成果実感のギャップ
SEO・SNS広告・リスティング広告と、施策の種類自体は多様化しています。しかし前述の通り、成果を十分に実感できている企業は1割にとどまります。成果が出ない理由として最も多かったのは、「社内にマーケティング知見がない」で31.0%でした。
これは、施策を選ぶ前の段階でつまずいているケースが多いことを示しています。予算をかける前に「何を測るか」を決めておくことが、遠回りに見えて最短の近道です。無駄な広告費をカットする戦略的アプローチも、この「測る仕組み」を先に作る発想と重なります。(LiKG「Webマーケティング投資実態調査2025」2025年11月)
| Webマーケティング施策 | 実施率 |
|---|---|
| SEO・コンテンツ制作 | 27.5% |
| SNS広告 | 19.5% |
| リスティング広告 | 18.5% |
| YouTube広告 | 17.0% |
施策には取り組んでいても、「成果を十分に実感」10.0%に対し「成果が見えていない」64.5%と、ギャップが大きい
※出典:LiKG「Webマーケティング投資実態調査2025」2025年11月
【一次情報】広告費をかけても動かなかった数字——株式会社LITA代表・笹木郁乃氏の転換点
広告費をかけても成果が出ない経験は、専門のPR会社の創業者にもありました。株式会社LITA代表・笹木郁乃氏は、独立前に在籍したエアウィーヴ時代の試行錯誤を、コントリの取材でこう振り返っています。
女性誌への広告出稿は売上につながりませんでした。月30万円のプレスリリース代行サービスを半年続けても、店頭の状況は何も変わらなかったといいます。この経験から笹木氏がたどり着いたのが、「どれだけ頑張っても、先にブランドを作らないと無理だ」という気づきです。
その後、笹木氏は営業担当者を置かない会社をつくり上げました。メディア露出と口コミだけで顧客が集まる仕組みです。「うまい文章より、熱量のある文章」という哲学のもと、企業のPRを支える立場に転じています。株式会社LITA代表・笹木郁乃氏のインタビュー記事では、広告に頼らないPRの作り方が語られています。
実態③|専任担当者が不在——「人・ノウハウ・戦略」の三重苦
マーケティングの専任部署を持つ中小企業は4割未満です。課題は人員不足・戦略設計の不十分さ・ノウハウ不足に集約されます。
デジタル施策が伸び悩む背景にある、体制そのものの弱さ。多くの中小企業では、マーケティングを専任で担う人が、そもそもいません。
PLAN-Bが2025年に実施した調査によると、複数名体制の専任部署を持つ企業は38.0%にとどまりました。残りは「専任担当者1名のみ」16.5%、「他業務と兼任」24.0%です。「特定の担当者はいない」20.0%と続き、約6割が体制として整っていません。課題として最も多く挙げられたのは、「人員・リソースが不足している」で42.0%でした。
| マーケティング体制 | 割合 |
|---|---|
| 専任部署(複数名) | 38.0% |
| 専任担当者1名のみ | 16.5% |
| 他業務と兼任 | 24.0% |
| 特定の担当者はいない | 20.0% |
※出典:PLAN-B「中小企業のマーケティング体制と外注活用の実態調査」2025年3月
専任部署38.0%、残り6割は兼務か担当者不在という体制の実態
体制の弱さは、そのまま戦略の弱さにつながります。同じ調査で挙げられた課題は、「人員・リソース不足」42.0%が最多でした。次いで「マーケティング戦略の設計が十分にできていない」38.5%です。「専門知識・ノウハウが不足している」37.0%と続きます。人・ノウハウ・戦略という3つの不足が、同時に起きている状態です。
この状態は、経営者一人がすべてを背負っている企業ほど深刻になりがちです。限られた時間のなかで、戦略を練る余白そのものが削られてしまうためです。まずは兼務でもよいので、担当を明確に決めることが最初の一歩です。(PLAN-B「中小企業のマーケティング体制と外注活用の実態調査」2025年3月)
外注しても解決しない理由——「現場で実行できない提案」への不満
体制の弱さを補うために、外部に委託する企業も少なくありません。同じPLAN-Bの調査では、「外部委託はしていない」35.5%という結果でした。「戦略のみ外部委託」25.5%、「マーケティング全体を包括委託」13.5%と続きます。
ただし、外注すれば解決するとは限りません。外注先への不満として最も多かったのは「提案が現場で実行できる内容ではなかった」で26.0%でした。次いで「事業・サービス理解が不足していた」24.5%です。外部パートナーに求められているのは、きれいな提案書ではなく、自社の現場で実際に動く施策だということが分かります。
実態④|新規開拓より「既存顧客との関係」を選ぶ経営者たち
経営課題の調査では、新規開拓よりも「既存顧客との取引深耕」を重視する企業の方が多いという結果が出ています。信頼関係を軸にした発信が、その具体策のひとつです。
ここまで見てきた「紹介」「デジタル」「体制」の3つの実態は、どれも新規開拓に関わるテーマでした。しかし実は、多くの経営者が最も重視しているのは、新規開拓そのものではありません。
帝国データバンクの調査で経営課題の重要度2位に入ったのは、「既存顧客との取引深耕」で66.0%でした。これは3位の「販路開拓」60.5%を上回る数字です。新しい顧客を追いかけるより、今いる顧客との関係を深める方に、多くの経営者の意識が向いています。
| 順位 | 経営課題 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 既存顧客との取引深耕 | 66.0% |
| 2位 | 販路開拓 | 60.5% |
| 3位 | ブランド・マーケティング強化 | 25.9% |
※出典:帝国データバンク「企業の経営課題に関するアンケート」2026年3月
経営課題調査でも「既存顧客深耕」は新規開拓を上回る最重要項目
既存顧客との関係を深める発想は、マーケティングの文脈でも理にかなっています。新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストよりも高くつくことが一般に知られているためです。
紹介・口コミが強い中小企業が多いという実態を踏まえると、既存顧客を大切にすることには別の意味もあります。新規開拓と既存顧客深耕は、切り離された施策ではなく、次の紹介を生む地続きの関係にあるといえます。既存顧客との関係が深まるほど、口コミや紹介という次の接点も、自然に生まれやすくなっていきます。
【一次情報】3万件のカルテを生かすクローズドマーケティング——ルプラボウ・山本光瑠氏
既存顧客との関係を、具体的な仕組みに落とし込んでいる経営者もいます。愛知県豊橋市で美容室などを展開する株式会社ルプラボウ常務取締役・山本光瑠氏は、コントリの取材でこう語っています。
「その信頼関係と絆を持って、今の時代に一番強い『口コミ』に力を入れていけるのが一番いい」
同社には、最後の来店から1年以内の顧客カルテが約3万件あります。そのうち2ヶ月に1回以上通う顧客は、8000人にのぼるといいます。この8000人に向けて、企業情報を掲載した小冊子を配布する「クローズドマーケティング」を展開しているのが特徴です。
「フリーペーパーって、誰からもらうかが大事だと思っていて」。「美容室で推している担当者からもらうんです」という言葉には、信頼関係を起点にした発信の強さが表れています。株式会社ルプラボウ・山本光瑠氏のインタビュー記事では、地域を巻き込むマーケティング戦略の全体像を紹介しています。
実態⑤|生成AI活用は急拡大、「戦略」への応用はこれから
DXの取組内容としての「AI活用」は1年で2倍に増えました。活用方針を明確に定めている企業は、まだ半数に届いていません。
最後に触れておきたいのが、急速に変化している生成AIの活用状況です。中小企業のDXにおいて、最も伸び率が大きいのがAI活用という項目です。
中小企業基盤整備機構の調査では、興味深い伸びが確認できます。DXの取組内容としての「AIの活用」は、2024年12月調査で14.3%でした。それが2025年12月調査では28.4%に達し、1年でほぼ倍増しています。中小企業のデジタル施策のなかでも、突出した伸びです。
生成AI活用の伸び率と国際比較
28.4%
DX内「AI活用」
(前年14.3%)
49.7%
生成AI活用方針を
策定済みの日本企業
84.8%
同・米国企業
※出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査」2025年12月/総務省「令和7年版情報通信白書」2025年7月
AI活用は業務効率化が中心、マーケティング戦略への本格活用はこれから
伸び率は大きいものの、活用の中身にはまだ偏りがあります。中小機構の別調査では、AI導入企業の目的として「業務効率化・作業時間の短縮」が87.0%と突出しています。マーケティング戦略そのものへの活用は、まだ少数派です。(中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査」2025年12月)
総務省の「令和7年版情報通信白書」では、気になる数字が示されています。生成AI活用方針を明確に定めている企業の割合は、日本49.7%にとどまりました。米国84.8%、中国92.8%と比べると、国際的に見て大きく後れを取っています。業務効率化から一歩進んで、マーケティングや情報発信そのものにAIを活用する余地は、まだ広く残されています。
「AIが見ているのも結局、信頼できる実績や口コミ」——一次情報から見える示唆
生成AIが広がっても、変わらない価値があります。前述の株式会社LITA代表・笹木郁乃氏には、ある気づきがありました。AIがPR会社としてLITAを推薦する理由を調べたときのことです。その体験を、コントリの取材でこう語っています。
「AIが見ているのも結局、信頼できる実績や口コミなんですよね」
AI検索や生成AIが情報を集める先も、結局は実績や口コミといった一次情報だということです。紹介・口コミが強い中小企業にとって、この指摘は示唆に富んでいます。AIに使われる技術を追いかける前に、まず自社の実績や顧客の声を、言葉として残しておくことが土台になるはずです。
自社は何から始めるべきか——明日から動ける4つのステップ
データを眺めるだけで終わらせないための、明日から着手できる4つのステップを、順番に示します。
ここまで、5つの実態を数字と一次情報で見てきました。大切なのは、数字を眺めて終わりにしないことです。現在地を知っただけでは、自社の売上も体制も変わりません。動き出すきっかけは、大きな投資でなくても構いません。自社の状況を振り返りながら、以下の4つのステップを順に試してみてください。どれも、特別な予算をかけずに、今日から始められる内容です。
1
紹介・口コミの
流れを言語化する
2
成果を測れる
施策をひとつ選ぶ
3
兼務でも意思決定者
を1人決める
4
既存顧客への発信を
ひとつ始める
ステップ1|紹介・口コミの流れを言語化して仕組みにする
まず、既存の紹介がどこから生まれているかを、書き出してみてください。どの顧客が、どんなきっかけで紹介してくれたのかを言葉にするだけで、再現性のある動きが見えてきます。属人的な信頼関係も、パターンとして整理すれば仕組みに近づけることができます。
紹介元・紹介理由・その後の成約までの流れを、1件ずつ書き出すことがポイントです。3〜5件集めるだけでも、共通する傾向が見えてくることがあります。「なぜ紹介してくれたのか」を言葉にできれば、次にお願いすべき相手も自然と見えてきます。
ステップ2|予算内で「成果を測れる」施策をひとつだけ選ぶ
次に、今の予算で続けられる施策をひとつだけ選び、成果の測り方を先に決めてください。問い合わせ数なのか、来店数なのか、指標を決めてから始めることが、成果実感につながる分かれ目です。複数の施策に手を広げるより、ひとつを測りながら育てる方が、結果的な近道といえます。
指標が決まれば、月に一度は数字を振り返る時間を確保してください。振り返りの習慣そのものが、社内にマーケティング知見を育てます。数字が動かない施策は、思い切って止める判断も必要です。
ステップ3|兼務でもいいので「意思決定者」を1人決める
専任部署をすぐにつくれなくても、兼務でよいので、マーケティングの最終判断をする人を1人決めてください。担当が曖昧なままでは、外注先への発注判断も、社内での優先順位づけも進みません。決定権を持つ人を明確にするだけで、施策のスピードは変わってきます。
決定権を持つ人には、経営者自身が就いても構いません。大切なのは、誰が最終判断するかを社内で明文化しておくことです。担当が曖昧なまま外注を進めると、前述の「現場で実行できない提案」という不満につながりやすくなります。
ステップ4|既存顧客に向けた発信をひとつだけ始める
最後に、新規開拓ではなく、既存顧客に向けた発信をひとつ始めてみてください。ニュースレター、LINE公式アカウント、担当者からの一言でも構いません。山本氏の事例が示す通り、既存顧客との関係を深める発信は、次の紹介を生む土台にもなります。
発信の頻度は、無理のない範囲で構いません。月1回の一言でも、続けることで信頼関係は積み上がっていきます。新規開拓に予算を割く前に、まずは今いる顧客との接点を見直すことをおすすめします。
まとめ|数字が示す現在地から、次の一手を選ぶ
ここまで、中小企業のマーケティングが置かれている5つの実態を見てきました。紹介・口コミという強い土台がある一方、デジタルの入口は活かしきれていません。
体制面でも、専任担当者を置ける企業は4割に届きません。人・ノウハウ・戦略の不足は、共通して表れています。それでも、既存顧客への発信や生成AIといった、少ない予算から始められる打ち手は残されています。
私たちコントリ編集部は、経営者インタビューを重ねてきました。紹介・口コミを信念や仕組みとして育てている経営者たちに、出会ってきました。田口氏の99%紹介、笹木氏の広告に頼らないPR、山本氏のクローズドマーケティング。共通しているのは、売上より先に信頼関係を育てている点です。
まずは、自社の紹介がどこから生まれているのかを、1つ書き出してみてください。想いを言葉にしてみたい方には、コントリの経営者インタビューという選択肢もあります。
現在地 1
紹介・口コミ
強いが仕組み化されていない資産。誰から、なぜ紹介されているのかが言語化されていない企業が多い。
現在地 2
デジタル施策
入口はあるが活用が浅い状態。ホームページやSNSは持っていても、更新や分析までは手が回っていない。
よくある質問
Q1. 中小企業のマーケティング予算は、どれくらいが目安ですか。
明確な正解はありませんが、目安として売上高の1〜5%程度という調査もあります。中小企業の実態としては、年間100万円未満で運用している企業が過半数です。まずは自社の売上規模と照らし合わせ、無理のない金額から始めることが大切です。
Q2. マーケティングの専任担当者がいなくても、始められますか。
始められます。専任部署を持つ中小企業は4割に届きません。兼務でよいので、最終的な意思決定をする人を1人決めることが、体制づくりの第一歩です。
Q3. 紹介・口コミに頼った営業から抜け出すべきですか。
抜け出す必要はありません。紹介・口コミは、多くの中小企業にとって今も最も成果につながる手法です。大切なのは、紹介が生まれる理由を言語化し、属人的な状態から仕組みに近づけることです。
Q4. 広報・PR活動が思うように成果につながらないのはなぜですか。
社内にマーケティングやPRの知見が不足していることが、最も多い原因として挙げられています。広告出稿やプレスリリース配信そのものより、メディアや顧客との関係づくりに時間をかける方が効果的です。その方が、成果につながりやすい傾向があります。
Q5. 生成AIは、いつからマーケティングに取り入れるべきですか。
早めに着手する価値があります。生成AI活用の方針を明確に定めている日本企業は、5割に届いていません。活用が進んでいる企業ほど、先行者としての強みを得やすい状況です。まずは情報発信やコンテンツ作成といった身近な業務から試してみてください。

