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なぜ忙しい経営者ほど「考える時間」を確保すべきなのか——朝の静寂を経営に組み込む話

「最近、ゆっくり考える時間が取れていない」

経営者の方と話していると、この言葉を本当によく聞きます。僕自身もそうだったし、今でも油断するとすぐにそうなる。やることは無限に湧いてくるし、誰かの判断を待っている案件はいつも机に積まれている。

そんな日々のなかで、「ただ考えるだけの時間」を確保するのは、想像以上に難しい。でも僕は、ここにこそ経営の質を左右する分かれ道があると思っています。

「考える時間」が最初に削られる理由

不思議なもので、考える時間というのは、いちばん最初に犠牲になります。

理由はシンプルで、緊急じゃないからです。

考える時間をスキップしても、今日のオペレーションは止まらない。クレーム対応のほうが、見積もりの返信のほうが、どう考えても優先順位が高く見える。だから後回しになり、結局ゼロになる。

でも、緊急ではないけれど重要なこと——これを後回しにし続けた経営が、どこに向かうのか。多くの人がうすうす気づいているはずなんです。日々の判断は速くなっても、その判断が正しい方向を向いているかを点検する機会だけが、ぽっかり抜け落ちていく。

経営の精度は「立ち止まる頻度」で決まる

経営者の仕事の本質は、作業ではなく判断だと思っています。

そして判断の質は、どれだけ手を動かしたかではなく、どれだけ自分の現在地を正確に把握できているかで決まる。

走り続けている人ほど、自分がどこを走っているのか見えなくなる。これは怠けの問題ではなくて、構造の問題なんです。視界は速度が上がるほど狭くなる。だからこそ、意図的に立ち止まる仕組みを持っている経営者は強い。

僕はこれを、朝の時間でやっています。

誰も起きていない静かな時間に、コーヒーを淹れて、ただ考える。タスクを処理する時間ではなく、自分と事業の輪郭を確かめる時間として確保しています。

「考える」を習慣ではなく仕組みにする

ここで大事なのは、考える時間を「意志」に頼らないことだと思うんです。

「時間ができたら考えよう」では、永遠にその時間は来ない。だから僕は、考える時間を予定として固定しています。朝のこの時間は、何があっても誰の予定も入れない。自分との約束として、先に枠を取ってしまう。

経営者と向き合っていてよく感じるのは、優秀な人ほど自分を律する仕組みを持っているということです。気合や根性ではなく、考えざるをえない環境を先につくっている。

これは発信の話とも、実はつながっています。コントリで多くの経営者の発信をお手伝いしていて思うのは、続く人は「やる気があるから続く」のではなく、続く仕組みを先に整えているから続くということ。考えることも、伝えることも、同じ構造なんですよね。

自分の言葉を持っている経営者は、伝わる

朝に考える時間を持っている経営者には、ある共通点があると感じています。

自分の言葉で、自分の事業を語れる。

借り物の言葉ではなく、自分の頭で噛み砕いた言葉を持っている。これは発信において、ものすごく大きな武器になります。なぜなら、伝わるかどうかを最終的に決めるのは、表現の巧みさではなく、その言葉に本人の体温が宿っているかだからです。

うまい文章を書くことより、自分が本当に思っていることを掘り当てるほうがずっと難しい。そして、その掘り当てる作業こそが、静かに考える時間の中で起きていることなんだと思います。

コントリが「伝える」ではなく「伝わる」にこだわるのも、ここに理由があります。発信のテクニックの前に、語るべき中身が自分の中で熟しているか。それを育てる時間が、経営者にはもっと必要なんじゃないかと思うんです。

静かな時間は、未来への投資

朝の考える時間は、その日の成果には直結しません。

数字にもならないし、誰にも評価されない。でも、半年後、一年後の自分をつくっているのは、間違いなくこの時間だと感じています。

事業を遠くまで運んでいくのは、派手な打ち手ではなく、こうした地味な積み重ねのほうだったりする。自分の向かう先を、何度も確かめ直す。その繰り返しが、ぶれない経営をつくっていく。

もし最近、走ることに精一杯で立ち止まれていないなら、明日の朝、ほんの少しだけ早く起きて、何も予定の入っていない時間をつくってみてほしいなと思います。

その静かな時間が、きっと事業の輪郭を、もう一度くっきりさせてくれるはずです。


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