重厚感を手放した日、コントリのランディングページは変わった
金曜日の午後、マレーシア留学をサポートする会社の、広報代理店の方とオンラインで向き合っていた。コントリのウェブサイト経由で届いた、取材のご依頼だった。この経路からの申し込みが、ここ最近、はっきりと増えている。
重厚感を、必死に作っていた
コントリを立ち上げたとき、僕はランディングページのデザインに、かなりの時間を使った。重厚感、高級感、信頼感。中小企業の経営者に「安心して任せられる会社だ」と思ってもらうために、その3つを何より優先した。写真は引き気味の構図に整え、色数を絞り、ロゴを大きく置いた。すべて自社で、細部まで詰めた。
取材先になってほしいと思っていたのは、何十年も続いてきた製造業や、地域に根を張った老舗企業だった。そういう経営者の方々に、軽く見られたくなかった。だから、重みのあるデザインが正解だと、疑いもしなかった。
正直に言うと、あれは自信作だった。だけど、取材の申し込みは、ぽつり、ぽつりとしか来なかった。それでも「会社としての信頼を伝えるには、これくらいの重みが必要だ」と、自分に言い聞かせていた。
人を大きく出しただけで、何が変わったか
ある時期、ページを作り直した。重厚感を、思い切って手放した。人の顔を、いちばん大きく見えるようにした。文言を大きく変えたわけでも、価格を提示し直したわけでもない。ただ、それだけ。
すると、取材の申し込みが急に増えた。数字の変化を目の当たりにして、正直、少し悔しかった。何年もかけて磨いてきたはずの「重厚感」が、問い合わせを増やす方向には、ほとんど働いていなかったということだから。時間をかけたぶんだけ、効果も出るものだと、どこかで思い込んでいたんだと思う。
どんなに素晴らしい仕組みでも、結局、人間味が感じられないサイトには、人は集まらない。想いは、飾った言葉や整ったデザインだけでは伝わらないのだと思う。それが、あの数字の変化が教えてくれたことだった。
考えてみれば、コントリという会社そのものが、人に会いに行くことでできている。なのに、いちばん最初の窓口であるウェブサイトだけは、人を隠すつくりになっていた。矛盾していたんです。
一次情報という、それだけの価値
この打ち合わせの中で、自分の言葉として、こう口にした。「コントリが大切にしているのは、人、そして人から得られる一次情報です。」
一次情報というのは、実際にその人に会って、聞いて、初めて手に入るものだ。会社員時代、自動車会社で工場設備の調達を担当し、年間180億円規模の商談を中小企業の経営者たちと交わしていた。あのとき心を動かされたのは、立派なパンフレットではなく、担当の方が誇らしげに見せてくれた現場の工夫や、従業員とのささやかなエピソードだった。独立してから、これまで100社以上の経営者に取材してきたが、その人にしか語れない話には、必ずその人の本質が滲み出る。
経営者の想いを届けるというのは、整った言葉を並べることではなく、その人にしか語れない一次情報を、丁寧に引き出すことなんだと思う。重厚感のあるページは、実はその一次情報を、いちばん奥にしまい込んでいた。
中小企業の経営者と話していると、ほとんどの方が「うちには特別な話なんてない」と最初におっしゃる。だけど、実際に聞いていくと、そんなことは一度もなかった。特別かどうかを決めているのは、話の中身じゃなくて、話を引き出す側の姿勢なんだと思う。
コントリが経営者インタビューを無料で続けているのも、同じ理由からだ。対価を求めた瞬間、一次情報は少しだけ姿を変えてしまう。下心なく差し出された言葉だからこそ、読む人の心を動かす。効率だけを考えれば、割に合わない仕組みかもしれない。それでも、ここは崩さないと決めている。
全体像が見えれば、発信は止まらない
同じ日の午前中には、別の場面があった。抱えているタスクが多すぎて、動けなくなっていた場面に立ち会った。手が止まっていた理由は、タスクの量そのものではなく、「何から手をつければいいか、わからない」という不安だった。全体を書き出して整理すると、その場で動き出せた。
一次情報の収集も、同じ構造をしていると思う。集める、整理する、継続して発信する。この3つを同時に完璧にやろうとすると、必ずどこかで止まる。
実際に、経営者の方と発信の話をするとき、いつも同じ順番で聞いている。
- 今、社内にどんな一次情報が眠っているか
- それを、誰が拾って言葉にするか
- 週に1回でいいから、出し続ける仕組みがあるか
この3つのうち、いちばん多くの会社が抜けているのは、最後の「出し続ける仕組み」だ。良い話は、大抵どの会社にもある。問題は、それを拾い続ける体力が、担当者ひとりに依存してしまっていること。だから、コントリでは発信設計を、一社が抱える一次情報を少しずつ集め、整理し、担当者が変わっても出し続けられる形に組み直すことを、実務として提供している。経営者インタビューも、ハッシンラボも、根っこにあるのは同じ考え方だ。出会いの質は、量からは生まれない。
その日、画面越しに見えていた顔
重厚感のあるページには、決して映らなかった顔がある。金曜日の午後、画面の向こうで話してくれた、広報代理店の方の顔もそのひとつだ。終始やわらかい表情で、丁寧に話してくれた。あの打ち合わせも、ウェブサイトの向こうにいる誰かが、人を探して、見つけてくれた結果だった。
重厚感を手放すのに、特別なコストはかからなかった。かかったのは、これまでのこだわりを認める、少しの勇気だけだった。同じように、見た目を整えることに時間を使いすぎている会社は、きっと他にもあるはずだ。
届く発信を設計したいと考えている方は、経営者インタビューやハッシンラボのページを、一度覗いてみてほしいと思う。

