思考が現実をつくる——加納さんの一言で気づいた、僕の甘さ
9月9日、水曜日。株式会社Nova Clearlyの加納社長に、コントリとしてインタビューをさせてもらった。サウナハットのブランドを手がけている方だ。
インタビューの終盤、加納さんがこう言った。
「自分自身をペルソナにする」
自分が好きなことを、突き抜けて考えられるか。本当に強い思いがなければ、大きな物事は成し遂げられない。
正直、その言葉を聞きながら、僕は少し居心地が悪かった。画面越しでも、加納さんの話し方に迷いがないのが伝わってきたからだ。
100社を超える取材をしてきて、忘れていたこと
コントリは2023年4月の設立以来、僕自身が会社員時代に手がけた30社を含めると、これまで100社を超える経営者にインタビューをしてきた。「経営者の想いを伝える」というミッションを、ずっと掲げてきたつもりだった。

取材の現場では、いつも相手に問いかける側にいる。何を大切にしているか、何のために事業をやっているか。100社を超える経営者から、同じ問いへの答えを聞いてきたことになる。求める心の強さが事業を動かす、という話も、数えきれないほど聞いてきたはずだった。
経営者インタビューを仕事にしようと思ったきっかけは、2011年に遡る。当時勤めていた自動車会社で、年間180億円規模の工場設備調達を担当していた。中小企業の経営者と直接商談する機会が多く、そこで何度も、製品への強いこだわりや、従業員との温かいエピソードに触れた。伝えたいことがあるのに、伝える手段を持っていない経営者が、あまりに多かった。それが、コントリの原点になっている。
加納さんの言葉を聞いた瞬間に思い出したのは、その日の朝に受けた研修の内容だった。テーマは「未来をつくる思考の力」。
「求める心を忘れてはいけない」
講義でその一文が出たとき、僕はペンを持つ手を止めた。ここ最近、自分の目標やミッションから、目が離れていたんですよね。目の前の案件や調整に追われて、「何を求めているか」を確認する時間を、後回しにし続けていた。取材する側として経営者に「想いを聞かせてください」と言い続けながら、自分の想いを確認するのを怠っていた。これは、格好悪いけれど事実だ。
「思考が現実をつくる」を、コントリの外に置いていた
その研修では、うまくいかないことばかり意識していれば、うまくいかない現実を手にすることになる、という話が出てくる。自分の今の状況は、過去の自分が作り出している。自分は、自分が考えた通りの人間になる。
これは個人の話として聞いていたけれど、加納さんのインタビューを通して、事業にもそのまま当てはまることに気づいた。取材の受け手としてではなく、発信する側として、自分がどれだけ「求める」ことを考え抜いているか。そこが試されているんだと思う。
発信設計も同じだと思う。何を求めているかが曖昧なまま発信を続けても、曖昧な結果しか返ってこない。求める姿を明確に思考し続けている会社の発信は、伝わる力が強い。加納さんのブランドの言葉が強いのは、彼自身が「自分自身をペルソナ」にして、突き抜けて考え続けているからなんだと思う。逆に言えば、発信する側の思考が曖昧なままでは、どれだけ言葉を磨いても、受け取る側には伝わらない。技術の問題ではなく、思考の解像度の問題なんだと思う。
ギバーズゲインという、答え合わせ
前日、参加している経営者ネットワークの朝ミーティングに出席した。リファラルマーケティング、紹介の力でビジネスを回す仕組みだ。そこでは「貢献の心」を先に差し出すギバーズゲインという考え方が土台になっている。自分の売上を求める前に、相手にとって価値のある紹介を差し出す。求めるだけでも、渡すだけでも、この仕組みは回らない。
これは、その朝の研修で聞いた「他人の力を借りる天才になる」という言葉と、そのままつながる。求める心を強く持ちながら、同時に他者への貢献を先に差し出す。この両輪が揃って、初めて物事は動いていくんだと思う。
コントリが経営者インタビューを無料で続けているのも、根っこは同じだ。出会いの質を先に差し出すことで、信頼が積み上がっていく。売り込みから始めた出会いは、たいてい長続きしない。順番を間違えないことが、遠回りに見えて、いちばんの近道になる。
だから、コントリは王道にこだわる
コントリが目指しているのは、日本の中小企業の発信を変えることだ。一過性のバズや、アルゴリズムをハックするような発信には頼らない。経営者の想いを、丁寧に、時間をかけて届く形にしていく。それが遠回りに見えても、本質的な発信のつくり方だと信じている。
100社を超える経営者と向き合ってきて分かったのは、本当に強い発信は、必ず本人の中の強い思考から生まれているということだ。テンプレートやノウハウは、その思考を形にする手段でしかない。順番を間違えると、形だけが整って、中身が伴わない発信になる。
この「求める心」を、テンプレートやノウハウより先に持ち続けること。コントリが目指しているのは、そういう発信のあり方だ。効率だけを追えば、もっと早く記事を量産する方法はいくらでもある。それでも数より質にこだわり続けているのは、思考が伴わない発信は、結局誰にも届かないと知っているからだ。
コントリにも、来期に向けて掲げている数字がある。曖昧に願うのではなく、数字と行動まで明確に考え切ることが、引き寄せる方法なんだと、今日ようやく腑に落ちた。
加納さんの取材データは、もう文字起こしを終えている。次の記事は、彼の「自分自身をペルソナにする」という思いが、ちゃんと伝わるように書くつもりだ。

