なぜ「目が輝いている経営者」の言葉は届くのか——発信設計から考える

8月12日、経営実践研究会の関東ブロック会長講演を聞く機会があった。印象に残った一節がある。

「目がキラキラしている人の夢は、否定できない」

未来を語る人は目が輝いているから、相手が否定できなくなるのだ、とも話されていた。

コントリの仕事は、経営者の想いを言葉にして届けることだ。だからこの話は、他人事として聞けなかった。言葉にする前の段階で、実はもう伝わり方が決まっているんじゃないか。そう考えさせられた講演だった。

発信の技術やノウハウは、世の中にたくさん出回っている。文章の書き方、投稿の頻度、見出しのつけ方。どれも大事だと思う。でも今回の講演を聞いて、その手前にもっと本質的な問いがあると気づかされた。技術の話をする前に、経営者本人の目に何が宿っているのか、という問いだ。

経営者と話していて、いつも引っかかること

これまで100社を超える経営者に話を聞いてきた。取材の現場で、繰り返し気づくことがある。話がうまいかどうかと、想いが伝わるかどうかは、必ずしも一致しない。

言葉

  • 話す前に選べる
  • 後から取り消せる
  • 内容の正確さで判断される
vs

目の輝き

  • 選べない
  • 隠せない
  • 熱量そのもので伝わる

言葉数が少なくても、話し方が上手じゃなくても、なぜか強く記憶に残る経営者がいる。逆に、受け答えは整っているのに、なぜか印象に残らない場合もある。

その差はどこにあるのか。ずっと引っかかっていたテーマだった。今回の講演を聞いて、ようやく輪郭が見えた気がする。差を生んでいたのは、話術の巧拙ではなく、もっと手前の部分だったんじゃないか。

経営者向けの発信の相談を受けていると、似た悩みによく出会う。「うまく話せない」「文章が苦手」という相談は多いが、実際に取材で話を聞いてみると、話し方そのものは大きな問題ではないことがほとんどだ。むしろ、本人が自分の未来像をどこまで言葉にできているか、その手前の解像度の方が影響している。

なぜ「目の輝き」は言葉より先に伝わるのか

答えの一つが、あの講演の言葉にあった気がする。目の輝きは、言葉よりも前に相手へ届いている。伝わるという現象は、話の内容が整う前、もっと手前の段階からすでに始まっているのかもしれない。

朝もやの森に差す光

経営者として自社の未来を語るとき、そこに本気の像があるかどうか。言い換えると、経営者の想いが本人の中でどれだけ実体を持っているか。ここが曖昧なままだと、どれだけ言葉を磨いても、相手にはどこか伝わりきらない。

逆に言うと、経営者自身がまず自分の未来像を、輪郭のあるものとして持っている必要がある。発信の技術は、その後の話だ。順番を間違えると、どれだけ洗練された文章を書いても、なぜか空回りする。この順番の問題は、発信の相談を受けるときにいちばんよく見かける落とし穴でもある。

発信の現場で起きている、もう一つの問題

ここでコントリの立場から、もう一つ付け加えたいことがある。

1

想い

なぜ伝えたいのか

2

言葉

何を、どう語るか

3

誰に、どこで届けるか

想いが本物でも、それを見てもらえる場所がなければ、輝きは届かないまま終わってしまう。実はこれが、中小企業の発信でいちばん見落とされがちな部分だと感じている。

  • ウェブサイトを作っただけで満足してしまい、その先の更新が止まる
  • SNSで発信を始めても、担当者の熱量に頼りきりで、続かずに止まる
  • 誰に届けたいのかが曖昧なまま、とりあえず情報を出してしまう

こうした状態は、決して珍しくない。想いはあるのに、届く場所の設計がされていない。発信設計という言葉を僕たちが使うのは、この隙間を埋めたいからだ。輝きがあるのに届いていない、というのは、経営者本人にとっても、それを見られなかった相手にとっても、もったいない話だと思う。

発信設計というのは、単に更新頻度を上げることでも、投稿のテンプレートを整えることでもない。誰に、何を、どんな順番で届けるのかという設計図を、事前に描いておくということだ。これがないまま発信を始めると、せっかくの想いが、行き先の決まらないまま宙に浮いてしまう。

コントリが「出会いの質」にこだわる理由

コントリでは、拡散力やバズを目的にしていない。出会いの質を優先している。

窓辺で向き合うふたつの椅子

理由はシンプルで、目の輝きが本物であるほど、それを雑に大量拡散しても意味が薄くなると考えているからだ。むしろ、その輝きにきちんと気づいてくれる相手と、丁寧に出会う方が、経営者にとっても読み手にとっても価値が大きい。

経営者インタビューを無料で行っているのも、同じ理由からだ。取材を通じて、経営者本人がまだ言語化できていなかった想いに輪郭を与える。本質的な部分を一緒に掘り起こす作業だと思っている。話を聞きながら、目の奥に何かが灯る瞬間があって、それがそのまま記事の核になることも多い。

数だけを追う発信は、続けるほどに空虚になっていく。だからこそコントリは、継続できる発信の仕組みをつくることを大切にしている。一度だけ輝いて終わる発信ではなく、輝きを保ち続けられる仕組みを、という考え方だ。

輝きを、届く場所へ

目の輝きは、自分一人では完結しない。誰かに見られて、初めて意味を持つ。

経営者と向き合う中で、素晴らしい目をした人に何度も出会ってきた。ただ、その輝きを届ける場所や機会が、十分に用意されていないケースも多いと感じている。せっかくの未来への想いが、社内のごく一部にしか共有されないまま埋もれていく。そんな場面を見るたびに、なんとかしたいという気持ちになる。

発信設計というと、少し硬い言葉に聞こえるかもしれない。でもやっていることは単純で、輝いている目を、見てもらえる場所まで運ぶ。ただそれだけのことだと思っている。

経営者として日々の業務に追われていると、自分の目に何が宿っているかを見つめ直す時間は、後回しになりがちだ。だからこそ、外から光を当ててくれる誰かの存在が要る。取材という形でその役目を担えたら、それはコントリにとっても嬉しいことだ。

信頼できる相手に、丁寧に届く発信を。それが、僕たちの仕事の土台にある考え方だ。

コントリは、経営者の想いが「届く」その先まで、一緒に伴走していきたいと思っている。もし発信のことで迷っているなら、気軽に声をかけてほしいなと思う。

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