コラム

中小企業の経営者・ビジネスパーソンに向けたコラム記事をまとめています。経営戦略やビジネスモデル、人材・組織づくり、マーケティング、財務、法務など、日々の意思決定に役立つ実践的な知見と、経営者自身の言葉による気づきをお届けします。

コストコはなぜ安い?年会費で稼ぎ粗利15%で売る会員制モデルの構造

コストコはなぜ安い?年会費で稼ぎ粗利15%で売る会員制モデルの構造

「コストコはあれだけ大きいパッケージを売っているのに、なぜ他のスーパーより安いのか」。買い物に行くたびに、不思議に感じる経営者の方は多いのではないでしょうか。実は、コストコの安さは「仕入れの努力」や「薄利多売の根性」ではありません。

結論から言うと、コストコが安い理由は、商品の粗利を意図的に15%上限に抑え、年会費収入で利益を取る会員制ホールセールモデルを採用しているからです。更新率90%超という安定した会員基盤が、商品側の値付けの自由度を奪い、結果として「値上げを封じる仕組み」を形づくる構造です。

本記事では、コストコの安さを支える5つの運営上の仕組みと、年会費モデルの収益構造、そして中小企業経営者が自社に翻訳するための3ステップを順に解説します。安さの話を入り口に、「商品で儲けるか、関係で儲けるか」という収益構造の選び方そのものを考える手がかりとして、お役に立てれば嬉しく思います。関連する業態分析としては、業務スーパーはなぜ安い?国内28工場と輸入PBで安さをつくるビジネスモデルやサイゼリヤはなぜ安い?6年据え置いた価格を支える製造業の仕組みも合わせて読まれる方が多い記事です。

コストコが「なぜ安い」のかを一言で言うと|商品ではなく会員権で稼ぐ会社だから

コストコの安さの正体は、ビジネスモデルそのものです。商品そのものから得る利益はほとんどなく、年会費という「関係性への課金」で利益を立てる設計です。だからこそ、商品価格を他社より意図的に低く保てる構造です。

コストコの営業利益を支える2つの柱(概念図)
約50% 営業利益に占める
年会費収入の割合
年会費収入
約47.8億ドル/会員との関係への課金
商品販売の粗利
粗利15%上限/PBは14%前後
出典:Costco Wholesale Corporation「2024 Annual Report」2024年。営業利益約95.0億ドルに対する年会費収入約47.8億ドルから算出した概念図。

営業利益の大半を年会費が占める会員制ホールセールモデル

Costco Wholesale Corporation 投資家向け情報によれば、コストコの2024年度(2024年9月期)の年会費収入は約47.8億ドル、営業利益は約95.0億ドルと公開されています。粗利の多くは物流・店舗運営・人件費などの販売コストに消え、営業利益のおおよそ半分が年会費によって作られる計算です。会員制ホールセールとは、一定の年会費を払った会員だけが買い物できる業態のことです。日本でもコストコホールセールジャパンがこの形式を採用しています。

脱・税理士スガワラくんが『コストコ離れが起きている?年会費だけで全体の利益の8割も稼ぐビジネスの裏側を解説します。』(視聴149万回)で解説しているように、「商品販売では儲けていない」という構造は、消費者視点では意外に見えても、会社の決算書を読めば一目瞭然という状況です。

商品粗利は原則15%上限(PBのKirkland Signatureは14%前後)という社内ルール

コストコが社内で守っているとされるルールが、「商品の粗利を15%以内に抑える」という上限設定です。プライベートブランド(PB、小売業者が自ら企画するブランド)のKirkland Signatureは、さらに低い14%前後の粗利を目安にしているとされます。一般的なスーパーの粗利が25〜30%、専門店で30%超も珍しくない状況と比べると、半分以下の水準に見えます。

この粗利上限がある限り、仕入れが安くなった分だけ売価も下がります。つまり「値下げしても会社が儲かる」構造ではなく、「値下げしなければルール違反」の仕組みです。

安さを生むのは『値下げ努力』ではなく『値上げを封じる仕組み』

雑学コレクターズが『40年も値上げを封じられたコストコ #雑学』(視聴276万回)で紹介しているのが、創業以来ホットドッグとドリンクのコンボを1.50ドルで維持し続けているという話題です。原材料費が上がっても、創業者カーク・シネガルの「値段を上げるな、他で工夫しろ」という方針が社内に残り、価格を据え置くことが企業文化そのものに根付きました。

安さが続くのは、努力で下げているからではなく、上がることを許さない設計を内部に持っているからです。経営者の方への取材を重ねるなかでも、「値上げしない覚悟」を仕組みに変換できている会社は、価格競争に巻き込まれず、ブランドが積み上がっていく傾向を見かけます。

コストコの安さを支える5つの仕組み|仕入れ・在庫・店舗・人件費・広告

年会費で稼ぐモデルを成立させるには、商品側のコストを徹底的に削る必要があります。店頭を観察するだけで分かる5つの仕組みを順に見ていきましょう。

コストコの安さを支える5つの運営上の仕組み
仕組み 01 SKU約4,000品目に絞り込み

一般的なスーパーの4〜5万品目に対し、約1/10に絞ることで1品あたりの販売量を増やし、仕入れ交渉力を極大化

仕組み 02 パレット陳列の倉庫型店舗

段ボール・パレットのまま陳列し、1個ずつ棚に並べ替える補充コストを最小化する

仕組み 03 高時給で離職率を下げる

意図的に高めの時給設定で離職を抑え、採用コスト・教育コスト・欠員の機会損失を圧縮

仕組み 04 広告宣伝費をほぼゼロに

会員の紹介とクチコミで集客し、削った広告費を商品価格の安さに還元する循環

仕組み 05 大容量パッケージで物流・荷姿のコストを吸収

1個あたりの包装・物流コストは容量が大きくなるほど下がる。4L洗剤1本を売るほうが、500mL8本を売るよりピッキング・輸送・陳列のすべてが安く済む設計

仕組み①|SKUを約4,000品目に絞り込みメーカーとの交渉力を極大化する

SKU(ストック・キーピング・ユニット、商品の管理単位)は、一般的な総合スーパーで4〜5万品目、大型のGMSでは10万品目を超える場合もあります。これに対して、コストコが店舗に並べるSKUは約4,000品目と言われます。桁がひとつ違う絞り込みです。

品目を絞ることで、1品あたりの販売量が桁違いに増えます。メーカーからすれば「1店舗で年間に数万個売れる商品」という扱いになるため、調達原価の交渉力が別次元に跳ね上がります。結果として、仕入れ値そのものが他社より下がります。

仕組み②|段ボール・パレットのまま陳列し補充コストを最小化する倉庫型店舗

店舗に入って最初に目に入るのが、段ボールやパレット(荷物を載せる木製の台)のまま積み上げられた商品陳列です。これは倉庫型店舗(ホールセールクラブ)の典型的な作り方で、商品を1個ずつ棚に並べ替える手間を省く設計です。

補充担当者が1個ずつ商品を並べる作業がなくなるため、人件費が大幅に下がります。装飾を極端に減らし、照明も倉庫そのもの。「見た目の美しさ」より「補充の速さ」を取る割り切りが、価格に直接反映されます。

仕組み③|高時給・長期雇用で離職率を下げ採用教育コストを圧縮する

ひろゆき氏の切り抜き動画『コストコがなぜ高時給なのか。高時給にすることで〇〇が集まる!』(視聴27万回)でも紹介されるとおり、コストコは同業他社より意図的に時給を高く設定した制度を採ります。日本国内でも、物流倉庫の時給より明らかに高い水準の求人が出る点が知られる会社です。

一見「人件費が高い=安く売れない」ように見えますが、離職率が下がれば採用コストと教育コストが減ります。アメリカの小売業の離職率が年60%前後と言われる業界で、コストコは十数%レベルを維持しているとされます。1人あたりの熟練度が上がり、同じ人数でより多くの作業がこなせるようになります。

仕組み④|広告宣伝費をほぼゼロに抑え会員とクチコミで集客する

テレビCMや新聞折込チラシを目にする機会は、ほぼありません。会員制の業態では、新規会員の多くが既存会員からの紹介で入ってきます。SNSで「コストコで買ったあれが良かった」というクチコミが日々生まれているため、広告を打たなくても認知が広がる状態です。

広告費を削った分を商品価格に回すため、「広告を出さないから安くできる、安いから話題になる、話題になるからさらに広告を出さなくていい」という循環が成立する状態です。

仕組み⑤|大容量パッケージで物流・荷姿のコストを吸収する

大容量パッケージは、一見「ファミリー向けの消費提案」に見えて、実はコスト設計の中核です。1個あたりの包装・物流コストは、容量が大きくなるほど下がります。4Lの洗剤1本を売るほうが、500mLの洗剤8本を売るより、ピッキング・輸送・陳列すべてが安く済みます。

消費者から見ると「使い切れないかも」と感じる容量も、会社から見れば「1円でも安く届けるための設計」です。知らなかったワンミニッツ『息子が話すコストコ値段の真実』(視聴3,028万回)が多くの共感を集めたのも、この「値付けには理由がある」という透明感が伝わるからだと言えます。

年会費モデルは本当に儲かるのか|更新率90%超が支える安定収益の正体

年会費モデルが成立するかどうかは、更新率と会員単価で決まります。コストコが公開している数字と、国内で有料会員ビジネスを運営する中小企業の実感を重ねながら読み解きます。

更新率90%超が示す『解約しづらさ』の設計

Costco Wholesale Corporation「2024 Annual Report」によると、米国・カナダのコアマーケットでの更新率は92.7%、全世界平均で90.5%とされています。有料サブスクリプションで90%を超える更新率は、業界を問わず極めて高い水準です。

更新率が高い理由は、ガソリンスタンド・薬局・補聴器・タイヤ交換・写真現像など、生活動線上の必要行為が店内に組み込まれているためと指摘されます。年会費を払って入会するというより、「生活インフラの一部に手数料を払っている」感覚に近い状態です。

ゴールドスター・エグゼクティブ会員の2層構造とLTV

日本のコストコには、通常会員のゴールドスター(年会費4,840円、税込)と、上位会員のエグゼクティブ(年会費9,900円、税込)の2層が設定されました。エグゼクティブは年間購入額の2%がリワードとして戻る仕組みで、ヘビーユーザーを上位プランに誘導しやすい設計です。

LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)の観点で見ると、更新率90%超は「10年通ったら少なくとも6回は更新する」ことを意味します。1人当たり年会費5,000円でも、10年で5万円の確定収益が見える状況です。会員数が膨大なので、キャッシュフローの読みやすさは一般小売とは別次元です。

日本のコストコは何会員いるのか|会員単価×会員数で見るキャッシュフロー

日本国内のコストコは、2026年時点で32倉庫店以上を展開中です。1店舗あたりの会員数の公表はありませんが、米国平均の1店舗6〜8万会員というレンジを前提にすると、国内全体で数百万会員規模の年会費収入が、商品を売る前から確定している計算です。

経営者の方への取材を重ねるなかで、「月末の売上読みに追われている」という声は本当によく伺います。年会費モデルの核は、月末の読みが要らない安心感を仕組みに変えている点にあります。

中小企業経営者がコストコから学べる3つの収益構造|年会費・サブスク・制限粗利

ここからは独自章です。コントリ編集部が経営者インタビューを続けるなかで見えてきた、「コストコの構造を自社に翻訳するときの3つの切り口」を整理します。

収益構造の2軸マトリックス:どこで儲けるかの選び方
関係で儲ける ↑ / ↓ 商品で儲ける
価格競争に巻き込まれる関係課金

年会費を取るのに商品価格でも競う。更新率が伸びにくい

コストコの立ち位置

年会費で稼ぎ、商品の粗利は15%上限で封じる。価格競争から降りた安定収益

安い理由
薄利多売の消耗戦

商品の粗利だけで利益を出し、常に値下げ競争に晒される

ブランドと専門性で高単価

商品単体で高粗利を取れる構造。別路線だが共存可

← 価格競争する
価格競争から降りる →

学び①|『商品で儲ける』から『関係で儲ける』への利益源の移動

コストコから学べる最大の論点は、「どこで利益を取るか」の決め直しです。商品単位の粗利で勝負している業態は、仕入れ値の変動・競合の値下げ・原材料高に常に揺さぶられます。一方、関係性の継続(年会費・サブスク・月額保守・顧問契約)で利益を取る業態は、商品の値付けの自由度を手に入れます。

士業・美容サロン・飲食店・小売・BtoBサービスなど、既存顧客との関係が強い業種では、関係性課金への移行余地があります。全てを変える必要はなく、「売上の20%を関係課金で立てる」という設計から始めても、意思決定の落ち着き方が変わります。

学び②|意図的に粗利の上限を決めて価格競争から降りる

コストコの「粗利15%上限」ルールは、一見すると会社の利益を自ら削る不思議な仕組みに見えます。しかし、ルールとして固定することで、営業現場や購買担当が「値上げ」の誘惑から解放されます。経営判断が属人的な駆け引きではなく、仕組みで動くようになります。

中小企業でも、「見積の粗利は原則○%とする」「○%を超える値付けは代表承認」といった社内ルールを置くだけで、価格競争に巻き込まれにくくなります。重要なのは、ルールを明文化し社内で共有することです。

学び③|SKU削減で単品あたりの販売量を増やし仕入先の協力を引き出す

品目を絞ると売れなくなる、という不安は根強くあります。しかし、SKUが減ることで営業・在庫・接客の集中度が上がり、1品あたりの販売量と仕入れ交渉力が増すのが、コストコが30年以上かけて証明したことです。

中小製造業の二代目経営者の方々からも、「取扱商品を半分に絞ったら、残した商材の売上が逆に増えた」という事例を伺うことがあります。絞り込みは縮小ではなく、集中への投資です。ユニクロはなぜ安い?SPAで低価格と高品質を両立するビジネスモデルでも、同じ絞り込みの思想がどのように機能したかを紹介しています。

コストコ型モデルが機能しないケース|中小企業が真似して失敗する3つの罠

一方で、コストコのモデルは誰でも成立するわけではありません。会員制・サブスク導入でつまずく中小企業の典型パターンを3つ整理します。

罠①|会員費を値付けできる前提の顧客基盤がない状態での会員制導入

コストコの年会費モデルが成立する前提は、「お金を払ってでも継続したい」と思える既存顧客が一定数いることです。関係ができていない状態で会員制を導入しても、新規獲得コストばかりがかさみ、更新率も伸びません。

まずは「無料でも通い続けてくれる人」が何人いるのかを棚卸しし、その人数が増えてから有料化を検討するのが順当です。

罠②|SKU削減だけ真似て品揃えが貧弱になり既存客が離脱するパターン

コストコのSKU削減は、絞った上で「1品あたりの深さ」を増やすことで成立する形です。小売店が単純に品目を減らすだけだと、既存客からは「置いてないから他で買う」という離脱が起こります。

絞るのは、販売量が増える確信が持てる品目に対してだけ。残した商品の売上を1.5〜2倍にする見通しとセットでない削減は、ただの縮小になります。

罠③|年会費モデルを導入したのに値上げを封じる仕組みがなく価値が薄まる

年会費を導入しても、商品側で値上げを繰り返してしまうと、「年会費を払っているのに安くない」という状態になり、更新率が崩れます。コストコの40年間ホットドッグ1.50ドルという話が象徴するように、「値上げしない宣言」まで含めて会員制です。

値上げしない代わりに、原価が上がった分の工夫(容量調整・原材料見直し・物流効率化)を、会社側が負担する覚悟が要ります。

コストコの『なぜ安い』を自社に翻訳する3ステップ|関係課金・粗利上限・絞り込み

最後に、コストコの構造を自社の商材に翻訳する3ステップを示します。業種を問わず、サブスク化や会員制の導入を検討している経営者の方が最初に通る論点です。

コストコ型モデルを自社に翻訳する3ステップ
STEP 1 関係への課金設計

既存顧客が商品か関係性のどちらに価値を感じているかを棚卸しし、関係課金の芽を確認

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STEP 2 粗利上限の社内宣言

「○%までしか乗せない」と「○%までは必ず乗せる」の両方を決め、価格競争から降りる

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STEP 3 提供範囲の絞り込み

SKU・サービス範囲を絞り、残した対象への深耕に経営資源を集中投下する

ステップ1|自社の顧客が『どんな関係』にお金を払いたいかを棚卸する

まず、自社の既存顧客が「商品そのもの」と「関係性」のどちらに価値を感じているかを棚卸しします。リピート顧客に「なぜ続けてくださっているのですか」と直接聞くのが最短です。

答えが「安いから」なら、関係課金への移行は難しい領域です。「相談しやすい」「人が合う」「来るたびに新しい情報がある」といった答えが出てくるなら、関係課金の芽が立ちます。

ステップ2|商品の粗利上限を社内で宣言し『値下げしない代わりに値上げもしない』を仕組み化する

粗利上限を宣言するときは、「○%までしか乗せない」と同時に、「○%までは必ず乗せる」の両方を決めます。片方だけだと、営業現場が値引きで乱すか、仕入れが上がったときに値上げで乱すかのどちらかに傾きます。

社内ルールとして明文化し、見積・値決めの判定を代表が最終決裁する運用に変えるだけでも、価格の規律は目に見えて整う方向へ動きます。

ステップ3|SKUや提供範囲を絞り込み残した顧客からの深耕に集中する

絞り込みは、「捨てる商品を決める」のではなく、「残す商品にすべての投資を回す」決断です。残した商品の販売量が1.5倍以上になる見立てを立ててから、絞ります。

絞り込んだあとに「深耕」できる経営資源(人・時間・在庫枠)を確保しておかないと、売上はただ下がります。コストコが30年かけて築いた安さは、絞ったあとの努力の量で成立する構造です。

コストコはなぜ安いのかに関するよくある質問

取材・読者から特に多かった質問をまとめて回答します。

Q. 年会費を払うと本当に元が取れるのですか?

個人のゴールドスター会員(年会費4,840円)の場合、ガソリン・大容量日用品・プライベートブランドのKirkland Signatureを月1回利用するだけで、数千円の差額が生まれる計算になります。「元を取るために通う」より、「通える生活動線か」で判断する会員が多い印象です。

Q. なぜコストコは広告をほとんど出さないのですか?

会員制のため、新規集客は既存会員からの紹介とクチコミで成立するからです。広告費を削った分を商品価格に回しており、広告を出すほど安さの根拠が崩れる構造です。

Q. コストコのSKU数はなぜ4,000品目に絞られているのですか?

一般的なスーパーのSKUが4〜5万品目であるのに対し、コストコは約4,000品目に絞ることで、1品目あたりの販売量を桁違いに増やし、メーカーとの価格交渉力を高めているためです。この結果、同じ商品でも調達原価が下がります。

Q. PBのKirkland Signatureが安い理由は何ですか?

ナショナルブランドの一流メーカーが製造を請け負っているケースが多く、品質を落とさずに広告費・ブランド維持費を省いているためです。社内ルールで粗利の上限が設定されているとされ、安さが継続する構造です。

Q. コストコの時給が高いのに安く売れるのはなぜですか?

高時給により離職率を下げ、採用・教育コストと欠員による機会損失を抑えているためです。アメリカのコストコでは離職率が同業平均の数分の1と報告されており、人件費単価が高くても1人あたりの付加価値で回収できる経営モデルです。

Q. 中小企業がコストコのモデルを部分的に真似ることはできますか?

可能です。年会費そのものを導入する前に、まずは「商品で儲けるか、関係で儲けるか」の設計を決めることが先です。士業・美容サロン・飲食店など、既存顧客との関係が強い業種では、会員制・サブスク化が機能しやすい傾向があります。

編集部コメント

印象に残ったのは、コストコが40年間ホットドッグ1.50ドルを維持し続けている話です。原材料費の変動を言い訳にせず、「上げない」ことを仕組みで守り続けている点に、価格を決めることは商売を決めることだという事実を再認識させられました。

経営者の方への取材を重ねるなかで、「値上げしないと利益が出ない」という声と、「値上げしないために仕組みを変えた」という声の両方を伺います。どちらが正解というより、どちらを選ぶかで会社の形が決まる、ということのように捉えています。コストコの構造をそのまま真似る必要はありません。ただ、「どこで儲けるかを決め直す」という一点だけでも、持ち帰っていただけたらと思います。

飯塚昭博

この記事の著者

飯塚 昭博

Akihiro Iitsuka

コントリ株式会社 代表取締役

青山学院大学卒業後、自動車会社にて年間180億円規模の設備調達を担当。中小企業経営者の想いに触れる中でその価値を伝えることに使命を感じ、2023年独立。経営者インタビューメディア「コントリ」を運営し、100社以上の経営者を取材。SEO・AI活用・発信設計を通じて中小企業の「伝わる発信」を支援している。

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